第4章:とうとうなれる?冒険者ギルドへ011
こんにちは。
いかがおすごしですか?師走です、忙しいですか?私は・・・もう限界です。
そんな私にご褒美プリーズ!ブックマークを!できれば心温まる感想を・・・!お願いしますです。
第4章:とうとうなれる?冒険者ギルドへ011
あー見た感じ、火熊に追いかけられてるな。兵士達が必死の形相でこっちのほうに走ってくるが俺には気が付いていないみたいだな。とりあえずは通り過ぎたのを確認して漆黒の長斧”無名”という名の愛斧を横薙ぎに振るう。突然、首を落とされ現実に体が付いていかないのか体だけが数m走ったのち、倒れ込む。
「はぁ、俺にも気が付かないのか。当たり前か。」
足りない物が見えてきたが、他の班も見とくか。
一応、全ての班を見たけど・・・狩りに関しては素人だったな。元日本人にも一般常識的な狩りの仕方も兵士たちは知らないときた。狩人がその技術を教えてるわけもないか。
それから数時間経ち、結局数匹のホーンラビットを仕留めたやつがいただけで、数は全然足りなかった。
「お前らに食料の調達を任せたら、街の人は餓死だな。」
「・・・面目ない。」
「情けない。」
「さ、じゃー帰ったら筋トレな。ミリア隊監督を頼む。」
疲れ切った顔で兵たちは帰っていく。夕焼けに照らされた背中は皆、煤けていた。いやー背中に哀愁が漂ってるな。朝から何も食べてなかったからな。
「ミリア隊長、あとで・・・あ、筋トレのあとでいいからこの、熊肉でも振舞ってしっかり休ませてやって。」
「これは・・火熊か!結構美味らしいが・・・いいのか?」
「え?そうなのか?・・・なら明日は狙ってみるかな。」
「いいねー!俺達も狙うとするか!明日は競争だな!」
◇◇◇
軽口を叩きあいながら、兵舎前で別れる。バリアルはまだ元気そうだが、シェーラとリリィは疲れもピークみたいだ。宿で飯食ったら早めに寝かせよう。
「ロッカクーもう・・眠い・・・おんぶ・・・・。」
「ほら、もう少しだから頑張って!あーりりィ、もうちょい!ほら歩いて歩いて!」
結局、俺がシェーラをおぶりバリアルがリリィを担いで宿まで帰ることになった。二人を寝かせて俺とバリアルは宿の1階の酒場兼食堂で食事を摂ることにした。
「今日の演習はどういった意味が?」
「それは明日、訓練場で説明するよ。で、二人はどんな感じ?」
「筋は良いと思います。リリィは獣人だけあって潜在的な身体能力は高いんじゃないでしょうか。シェーラは器用さが抜きん出てます。それを活かしてか体術はなかなか繊細な動きをします。」
「身体能力と器用さか。それを伸ばしていくほうがいいってこと?」
「えぇ、種族特性の身体能力は伸ばしておくのは必定でしょう。器用さも先天的なことが多いですし才能です。伸ばすべきでしょう。」
「俺もまだまだ強くなりたいし・・・そういや、バリアルの発勁みたいの教えてくれ。」
「はっ・・はっけい?なんですか?」
「訓練場で俺にすげーの入れただろ?あの一撃だよ。」
「それなら明日、お見せしますよ。各関節や体幹を順に動かし力を高めながら爆発的に相手の内部にその力を伝える。これが私の技です。でも武技ではないものですよ?」
「俺は武技ってのがわからんけど、発勁のほうが馴染みがあるかな。よく漫画でみたし。」
「まんが・・・?」
「あぁ、気にしないで。でもその技だと一瞬隙が出来るんじゃないか?」
「そのとおり、なので発動のタイミングはかなりシビアです。使いどころを間違えると反撃を受けますから。」
一撃必殺だけど、使いどころを選ぶのか。まぁそうっすよね。そんな技使わないかん相手がそんな隙を見せるとは思えないな。でも、強力な技には違いない。明日はそれも練習するか。符術ももっと教えてもらわないと。
「ロッカク殿はまだ力を求められますか。」
「あー・・・まだまだ他の魔族とかに会うと苦戦しそうだし・・・魔王も何人かいるみたいだしな。何かの間違いで会うことになったら・・ね。戦う力はあるに越したことないと思うんだ。魔王も勇者も嫌いだから
ら、どっちからも理不尽な暴力で蹂躙されないためには、力はあるに越したことないだろ?」
「向上心は見習うべきところですな。魔族や魔王と戦うにはまだまだ力不足・・・とはいえ、そのような相手は普通、軍を率いて討伐するものです。個人で対処など出来るものではありません。そこは肝に銘じておいてください。」
「もちろん。化け物みたいに強いやつと正面からやり合うっていうより逃げられるだけの力はないとな。」
「ふふ、それも人の領分を超えております。(そんなことを笑顔で言ってのける・・・その自信もあれば、さらなる高みも見据えておられるのか。)」
少し遠い目をしながらこちらを見つめるバリアルだが、何を思っているんだろうな。仲間として愛想をつかされないだけの力を身に付けないとな。リリィとシェーラも守り切れないと話にならない。
◇◇◇
翌日、俺達はゆっくり時間をかけ昼過ぎに兵舎に向かう。兵士たちは俺達が到着すると訓練を止めガチャガチャと集合する。皆の顔には疲労が残っているもののやる気は衰えていないようだ。
「さて、今日の訓練だが昨日と同様のことをする。準備はいいか?」
「はっ!整っています!」
「・・・その装備でいいのか?」
「はっ!昨日のうちに手入れは終えております。」
全員を一度、見渡して装備を確認する。その装備は人員を補充できない為、せめて装備だけでもということで一般街から払い下げられた中古だがよく手入れがされているアイアンの装備だ。ブレストプレートに手甲、足甲を皆がつけているところを見ると標準装備といったところだろう。
「昨日の反省は出来ていないようだな。」
「は?・・・それはどういう??」
「俺達やミリア隊とお前たちとの違いは何かわかるか?」
「・・・俺達のほうが装備がいい・・・?」
「おしい・・・。」
「では・・・動きやすい?」
「それもあるが・・・ミリア隊長、どう思う?」
「ふむ・・・おそらく、音・・・だろうか?」
「そう!ご名答、付け加えるなら匂いもだな。」
「音と匂い?」
「その辺はカイトのほうが詳しいんじゃないのか?」
「ん、俺か?・・・そうだな、野生動物は五感が人より発達しているからな、中には匂いに敏感な狼種や音に敏感な兎種がいるから、そういうやつらには近づかなくてもバレてるだろうな。あと言わせてもらうとその磨き上げられた鎧は光を反射するだろ。それだけでも警戒されるし、熊系のやつらはあえて狙ってくるだろうな。」
「マジかよ・・・。」「そんな・・・。」「せっかくのいい装備なのに。」
口々に信じられないと言った感想を言い合っている。狩人の技術だから知らないやつもいたかもしれないが、少し考えたらわかることだろうに。
「なぁ、失敗したことを反省し次に活かさないと同じ失敗を繰り返すだけだぞ?失敗から学べないやつは戦場では死ぬだけだ。」
「し、しかし!狩りが上手くても敵を倒せません!!」
「・・・そらそうだな。だが、野生動物に接近できるということをそれより五感が劣る人族には近づけるということだ。油断した敵をいち早く発見できれば、仲間に危機を知らせられる。敵が少なければそのまま殲滅することも可能だろう?」
「確かに・・・。」
ここまで説明するとようやくこちらの声に耳を傾けだしたようだ。
「いいか?敵に発見される前にこちらが発見できるというのは戦場ではとてつもない大きなアドバンテージだ。自分たちに置き換えてみろ、敵が知らぬ間に自分たちの部隊の規模、装備、兵種、指揮官、兵糧の場所なんかを知っていて対策を取っていたとして・・・勝てると思うか?」
「それは・・・無理・・です。」
「そう、その時点で勝敗は8割決まっていると思っていいだろう。」
「しかし、強力な魔法使いがいる場合はわからないのでは?」
そう、この世界にはおよそ個人では考えられないほどの戦力を有する個人が存在する。勇者・魔族・魔王や高位の魔法を操る者や強力な武技を使う者たちだ。
「そうだな。そんなやつらがいる場合は逃げればいい。」
兵たちが呆気に取られている。それもそうだろう、兵に逃げろという将などいないからだ。
「無駄に命を散らす必要はない、ってことだ。逃げて勝てる算段を整えろってことだ。まずは死なないこと、自分が死ねばその後ろにいる街の人が無防備に死ぬ可能性があるってことを覚えておいてくれ。自分の命も守れない者に他人を守るなんて出来ないだろう?死ななければ出来ることもあるんだから。」
「は、はい!」
兵たちには死ぬなっていう命令はというか教えは心に響いたようだった。今までは無謀な突撃をさせるような将が多かったみたいだ。そこらへんのことはミリア隊長からも聞いていた。平民や獣人の兵はそんな命令をさせる将が多い。捨て駒って考えてるんだろう。大局みたらそういう役割も必要かもしれないが、それはあくまで他に打つべき手がない時に限る。命はそんなに軽くないはずだ。
盗賊や敵対者に対して容赦ない俺が言うのもなんだけどね。
「分かったら、その装備が不味いこともわかっただろう?今日は狩りはなしでいいから、装備のほうを皆で考えてみてくれ。まずは何が最適かを考えるところから始めよう。与えられたものをそのまま使うだけが最良ではないだろう?」
そう、言い残し俺達は兵舎を出ていく。受付のところでミリア隊長に呼び止められる。
「待ってくれ。・・・その、なんだ・・兵たちの気持ちを汲んでくれて感謝する。」
「気持ち?」
「あぁ、ここに左遷されたと思っている者や向上心をなくした者も多かったんだ。表面的には従ってくれててもな・・・だが、死ぬなってことを真正面から説かれて・・・私も含めて目が覚めた思いだ。」
そこまで言われると苦笑いしかないな。元日本人だからな、出来れば無駄死になんてさせたくないだけ。
◇◇◇
結局、ミリア隊長の勧めで俺はその日アザレアに符術を教えてもらうことになりバリアル達は狩りというなのデスマーチに出かけて行った。バリアルくらい高レベルだとシェーラの不幸招来が働いても乗り切ることが出来るようだし、安心して任せている。
「じゃーアザレア先生お願いします。」
「いえ、あの・・先生は止めてください。そんな大したことは教えられませんので。」
そう言いつつ、いくつかの符をテーブルの上に並べていく。兵舎の一室、ミリア隊の隊室を借りているが思いのほか散らかっていない。どうもカイトが綺麗好きでこまめに掃除しているらしい。人は見かけによらないらしい。
「では、ロッカクさん。この間の演習ではあまり出来ませんでしたので、今日から本格的に行います。まず、ここに並べたのが術を封じてある符になります。」
「封じてある?」
「そうです、ここに描かれている円形の紋様が術の内容を表しています。これに魔力を通すことで術を発動することが出来るというわけです。」
「なら、魔法が得意じゃなくてもここに魔力を通せば発動できる?」
「理論的にはそうです。ただ色々と問題も多く一般的ではないです。その理由としてこの符自体が希少な物ですし、この描いている墨も高い魔力伝導率がなければいけません。つまり、どちらもとても高価だということです。」
「そんなに高価なものを使っているってことはアザレアはお嬢様なのか?」
「そこは発言を控えさせてもらいます。」
「それだけで、確信っぽいが」
「控えさせてもらいます!」
「はい・・・。」
どうやら聞いちゃダメっぽい。
「もう一つの理由ですが、この紋様自体が門外不出の場合が多いんです。この規則性があると思われる紋様ですが、その法則を解明するには至ってません。」
「そんな重要なものを教えてもらっても良かったん?」
「本当はダメですけど、命の恩人ですし構いませんよ。私が知っているのは2つだけですから。」
「2つ?」
「そうです。1つは固定の紋様です。これは扉や物に発動するとちょっとやそっとの力では破壊が出来なくなるものです。この前の時にはバリケードに使ってました。あとは炎の矢の紋様です。炎の矢はどちらかというと威力は魔法の炎の矢と大きく変わりません。費用対効果を考えたら自分で魔法を使うか矢を射たほうがマシですね。」
「自分で魔法使ったほうがマシって・・・実際そんなに金がかかるのか?」
「えぇ、一枚作るのに金貨3枚ほどかかります。それに失敗も出来ませんから、作るのにそれなりに技術がいります。あと技術の漏洩を防ぐために細工をしたりしないといけないので、正直作るのは面倒くさいです。」
金貨3枚!?日本円だと30万円くらいのはずだ・・・それは、おいそれとは使えないし、失敗を考えたら作るのも大変だ。それに面倒くさいって・・・むしろこっちのほうが本音かな。




