第4章:とうとうなれる?冒険者ギルドへ012
第4章:とうとうなれる?冒険者ギルドへ012
気がつけば夜も遅くなっていた、途中カイトとダイタツが簡単な夕食を差し入れしてくれたりなかなか気が利くところを見せてくれて俺を驚かせてくれた。からかうと耳まで真っ赤になっていたが、男でツンデレなんて今どき流行らない。っていうか、美人だったらどんなにいいか。
「さて、これで一通りのことはお教えしました。材料はこの街では一般街のほうでしか買えません。ただし、それはこの街が交易都市だからです。他の街では買えるかどうか・・・むしろ、材料すら置いていないということもありますので気を付けてくださいね。」
「んー、ありがとう。勉強になったよ、あとは自分で試してみる。」
「なら、この見本と空の符と墨をどうぞ。」
「い、いやいや!高価な物なんだから受け取れないって!」
「ですが、試すにしてもこれがないと出来ませんよ?」
「いや、それなんだけどちょっとアテがあるから大丈夫。」
「なら、必要なら言ってください。お店まで案内しますので。」
「何から何まで、ありがとう。」
ひとしきり話が一段落したところで、カイトが入ってきた。
「おう、やっと終わったか。ったくこんな時間まで女の子ところに入り浸るなんてなぁ。」
「カイト、下品な言い方は止めてください。」
「そうだぞ、下品だぞ。」
「うっせ!それより兵たちだが、だいぶん工夫してたみたいだから明日は楽しみにしてな。」
それだけ言うとカイトは自室に戻っていった。なんだかんだで面倒見がいいのな。その姿にアザレアも苦笑いだ。仲間内ではよく知られているみたいだ。
「明日の楽しみも出来たところで、そろそろ帰るよ。」
「えぇ、それではまた明日。」
宿に戻った時には、すでに酒場も片付けをしていた。時間はわからないが本当に遅くまで入り浸っていたようだ。アザレアには悪いことをしたな。もう冒険者の数もほとんどいないし、いてもテーブルに突っ伏して眠りこけているな。と、奥のテーブルに見慣れた赤い髪と薄い茶髪が見える、その二つともテーブルに突っ伏している。飲みすぎ?いやいや、そんなまさかな。
「これは、だいぶん遅かったですな。お楽しみでしたか?」
そんなバリアルの言葉に薄い茶髪、リリィの耳がピクリと揺れる。寝てるんだよね?
「おいおい、そんなわけないだろ?兵舎でお勉強だよ。カイトやダイタツもいたんだからそんな心配ないだろ?」
「はぁ、そうでしょうがこの2人は心配だったようですよ。」
「心配って・・・まぁ、こんなに遅くなるのは俺も思ってなかったけど。でもそれなりに収穫はあったからね。」
「ほほう、それは楽しみですね。ですが、2人のことも気にかけてあげてください。」
「分かってる。でも、力をつけないと・・・守り切れないかもしれないから。」
「この子らもいずれ力をつけるでしょう。」
「んん・・・ロッカク・・。」
寝言を言うシェーラを見ながら思わず目を細める。若返り経験を失い自己のアイデンティティも曖昧なはずなのに、その不安を表に出さずに付いてきてくれる。もともと盗賊ギルドに入れてくれたりパーティ組んでくれたり沢山の恩も受けたし大事な仲間だ。なんとかしてやりたい。リリィだって健気に俺の奴隷であろうとしてくれてる。日本人にとって奴隷って言うのはピンとこないが尽くそうとしてくれてるのは十分に感じている。
「俺みたいなのに関わって不幸になってほしくはないんだ。」
「そんなことは」
「今はないかもな、でもこれからは分からない。俺だって自分自身のことがわかってないんだから。」
それっきり、大した会話もせずに俺がシェーラを、バリアルがリリィを抱え上げて部屋に戻った。ん、シェーラはいい香りがしたよ。クンカクンカしなくてもそれくらい分かる。何故かって?坊やだからさ。
◇◇◇
朝一で兵舎に向かった俺達パーティは、主に俺は集合していた兵たちの様子を満足げに見ていた。兵たちの装備が明らかに森の中を意識した者に改良されていたからだ。
ブレストプレート・手甲・足甲は緑色の布が巻かれ、光の反射や音に配慮されていた。アイアンの兜にも同様の工夫がされていた。いいねえ、これこれ!こういう工夫を待ってたんだよ!
「よく集まった!そして、その工夫は見事だ!あとは実地で気配の殺し方や獲物の取り方を学んでいくことになる!これがただの狩りではないことは、もう気が付いているだろう!獲物を敵だと思え!気が付かれずに接近して狩れ!狩られたことに気付かれないほどに神経を研ぎ澄ませろ!では、目的地は街道沿いの森だ、いくぞ!」
「「「おう!!」」」
こうして、その日の狩りは全員が数匹の獲物を狩ることが出来た。そしてその日より獲物が取れる頻度が増え、食べきれない分はギルドや食堂に直接卸すことで、外苑街のギルド周辺の店では肉料理を安く提供するようになり、周囲の住民にもとても感謝されるようになる。
およそ3週間、パーティでも狩りや討伐をしながら充実した時間を過ごしていた。そろそろ騎士団が帰ってきてもいい頃なんだけどな。野外演習中に街道を早馬が街に向かっていたのを見かける。あれが帰都を知らせる先振れなら、明日明後日には帰って来るか?
そうなると、もうすぐ訓練も終わりということか。では、考えていたものの準備を行おう。
「ミリア隊長、例の件ですがそろそろ支払いのほうをお願いしたいんですが・・・。」
「ん?というと、騎士団が帰って来るのか?こちらにはそんな情報まだ入ってなかったが。」
「演習中に騎士の乗る馬が都市に入っていきましたから。」
「そういうことか、分かった。私のほうから支払っておこう。」
「ありがとうございます。」
兵舎を出てこの3週間のことに思いを馳せる。最初はいろいろ揉めたけどなんだかんだで、皆頑張ってくれたな。アザレアとのことはシェーラとリリィに疑われてなんとも気まずい思いもしたけど、誤解だと分かってもらえたようだし。あれからシェーラとリリィのレベルもかなり上げることが出来た。正直、兵士達よりかなり高めだ。何でそんなに高いのかは途中で一緒に訓練に同行した時に分かったんだが、ほぼ毎回と言えるほど不幸招来が発動していた。討伐に行けば1-2ランク上の魔物が出るし、出なくても数が半端なく出る上に不測の事態も高確率で発生する。ただ、それも慣れたのか当たり前のように臨機応変に対応するシェーラとリリィ。ときどき手を出すバリアルも後半には見守っているだけどいうことも多かった。
そんなわけで、討伐数から言えばダントツでこの二人となっていた。むしろ、魔法の研究に明け暮れていたため、基礎的な実力はほとんど変わっていなかった。サボってたんじゃなよ!符術と物理魔法の研究がね、忙しくて・・・。いや、マジで。
ちなみに、今の皆のレベルだが・・・。
名前;(仮)シェーラ(シエスタ・レ・カストル)
性別:女性
年齢:15
職業:冒険者(ギルド所属)
Lv:35
HP:400
MP:220
スキル:体術Lv4↑ 短剣Lv4↑ 火魔法Lv3 風魔法Lv3 礼儀作法Lv3 隠密Lv4↑ 索敵Lv4↑
固有スキル;不幸招来
武技;十二剣技
称号:お人好し 不幸招来
B:84(-10) W:55(-4) H:80
名前:バリアル・クロール
性別:男
年齢:62
種族:人族
職業:騎士(冒険者ギルド所属)
Lv:88
HP:900
MP:450
称号:騎士(奴隷)
スキル:怪力Lv3 頑強Lv4 剣術Lv5 大剣術Lv6 体術Lv5 鉄壁Lv4 自己犠牲Lv3 統率Lv5 指揮Lv6↑ 先読みLv4 火魔法Lv3
武技:強打 大旋風 盾打 鉄壁
名前:リリィ・リーズフェルト
性別:女性
年齢:12
種族:針狐人
職業:家事手伝い
Lv:30
HP:350
MP:190
称号:奴隷
スキル:忍び足Lv4↑ 軽業Lv4↑ 聞き耳Lv4 風魔法Lv3↑ 雷魔法Lv1 NEW隠密Lv4↑ NEW索敵Lv4↑
固有スキル;(針)防衛針Lv3↑
名前:ロッカク
性別:男性
年齢;15
種族;人族
職業;冒険者(ギルド所属)
名前:ロッカク
性別:男
Lv:44
種族;魔族
職業:盗賊
HP:2000
MP:3500(※※※※)
スキル:鑑定LvMAX(真眼Lv1) リスニングLvMAX 隠蔽Lv7 詐称Lv4 体術Lv4↑ 長斧Lv3 水魔法Lv6 土魔法Lv7 暗黒魔法Lv5 光魔法Lv7 雷魔法Lv1 物理魔法Lv9↑ NEW符術Lv4↑ NEW陣術Lv8↑
痛み耐性(物理)Lv5 痛み耐性(精神)Lv2 不屈Lv5 魔力変換Lv3 自己再生Lv2 怪力Lv5
称号:ぼっち魔王 角なし魔王 憤怒の魔王 職なし魔王
となっている。
シェーラも前提的に強くなってるしスキルのレベルも高くなってきている。Lvも4を超えてくると達人の域に届いていると言っていいだろうし、なにより武技までいつの間にか習得してる。どんなのかは分からないが強くなってるんだろう。
リリィもかなりのレベルアップを果たしている。なにより隠密と索敵の上がり方が早い、さすが獣人といったところか。それに固有スキルまでレベルが上がっているの驚いた。固有スキルってレベルあるのな。
ちなみに俺は符術と陣術を新しく覚えたことになっている。っていうか覚えたんだけど、これに関しては実戦で使う時に解説しよう。他に体術と物理魔法が上がっていた。徐々にだが強くなっている。これは確かだ。
確かな手応えを感じる。これは兵士達も同様だろうな。ただ、それを裏付ける事件が迫っていることに誰一人気がついてはいなかった。




