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もう魔王やめます。  作者: まさきえき
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第4章:とうとうなれる?冒険者ギルドへ05

もう今月も終わりです。師走です。先生も走ります。

でも私は走りません。早くは走りません、いや走れません。

走ったところでタイムは伸びません。

でもブックマークは伸びるようです、登録お願いします。

第4章:とうとうなれる?冒険者ギルドへ05




 冒険者ギルド、それは一獲千金を夢見る若者が集まる場所。ランクを上げ強力な魔物を仲間とともに討伐し名声を、金を得る。そんなことを夢見る若者が集い・・・夢破れていく場所でもある。また、討伐に参加しなくても収集や護衛、街の雑用など依頼は多岐にわたる。それを冒険者に斡旋し生活の基盤を支えるに役立てるところでもある。つまり・・・仕事の斡旋所でもある。というか仲介所だ。



 そうなると、腕っぷしが強いだけではダメな仕事も出てくる。荒くれ者だけでは依頼がこなせないということだ。だが、冒険者を目指してくるような輩は大方の予想通り腕自慢のチンピラや武芸者といった、およそ教養が乏しい脳筋が多いのだ。中には、貴族のボンボンが騎士を目指して経歴に箔をつける為になる場合もあるが・・・そういった輩はテンプレ通りの奴が多い、らしい。



 だから、上のランクに行くには教養や最低限のマナーも求められるようになる。貴族や王族は高ランクの冒険者しか相手にしない。その冒険者が無教養のならず者であっては困るのは自分達だ。その為、冒険者ギルドでは定期的にマナーや教養の講座も開いていた。あんまり受ける人は少ないみたいだが。



 ちなみに俺も受けない。正直、貴族や王族とは関わるつもりは全くない。そんなのと関わるということは自分の首を絞めることになりかねない。貴族に取り立てられるような高ランクの冒険者に自分の幻術が見破られない保証はないのだ。君主危うきに近寄らず、だ。そう君主には近づかないのが正しいのだ。意味は違うけどな。



 まぁ、もしそんな機会があれば全力でバリアルに押し付ける気満々なんだが。



「聞いていますか?ロッカクさん。」


「は?はいはい、聞いてません。なんでしたっけ?」



 外苑街冒険者ギルド統括、ドワーフのアルスに注意されて意識を戻す。今日は外苑街襲撃から1週間目、ギルドに立ち寄ったら声を掛けられてアレスと面会を行っているわけだが、医者の情報が分かったということで話を聞かせてもらっている。ちなみに今日は俺一人で来ている、残りの3人は街の外で実践訓練と日銭稼ぎだ。



「ですから、医者の事なんですが、遠征中の騎士団に随行しているようです。」

「回復魔法の使い手だっているでしょうに、即効性のない医者がいる意味はあるんですか?」



 前回は、商談だったので強気に言ったが今はギルドのトップと最底辺ランクの冒険者ということで言葉使いは改めている。アレスは気にしなくていいと言ってくれたが、一応自分が所属しているところのトップだから、敬語は必要だろう。日本人的発想かもしれないけど。



「それは私に言われても・・・。ただ、魔法でどうにもならない場合に備えてってことかもしれないですし。なんとも言えないですね。分かっているのは今、一般街にはいないということです。」



 いないものは仕方がない。帰ってくるまで待つしかないということか。



「で、いつ帰ってくるんですか?」


「高速便で街が魔物に襲われたことを伝えているので、もう帰路についているようです。」


「ん?撃退したことは伝えてないんですか?」


「伝えてはいますが、もともと街を守るのが騎士団の務めです。それを第一に考えてのことだと思います。」



 それもそうか、襲撃が一回だけだとは限らないし、どこぞの魔王を討って帰ってきたはいいが街はありませんでした。じゃ、話にならない。本末転倒もいいところだ。



「騎士団が街に着く時期ですが、1週間前に高速便を飛ばしたので、そこからすぐに引き返したとして大体今日から3週間後ってところだと思いますよ。」


「3週間か・・・結構かかりますね。」


「もう魔王の目と鼻の先まで行っていたようですから。もしかしたら今回の襲撃自体、戦力の分断を狙ってのことかもしれませんね。」


「そうなると、相手はより速い情報伝達法があるか、作戦参謀が優秀なんでしょうね。」



 ちょっと驚いたような顔をするアレス。なになに?何か顔についてる? 



「商取引にも通じていて、戦略にも通じているんですか?」


「ん?一般常識程度ですよ。」


「まぁ、ゴブリンキングを撃退できるようなパーティですからね、それくらいは当然といえば当然ですか。そういえば、一般街の兵舎からあなた方の問い合わせが来ていました。」


「問い合わせ?」



 兵士から問い合わせがあるような悪いことはした覚えがないが?



「え~・・っと、一般街臨時所属ミリア隊よりもし見かけたら一般街兵舎まで来てほしい。ということですね。」


「あぁ、ミリア隊か。わかりました、顔を出しておきます。」



 そう言って、ギルドを後にしつつ一般街へ向かう。時間はまだ正午くらいだから、仕事中かもしれないが時間の指定も日時の指定もなかったから構わないだろう。そういえば、宿を取るなら一般街で取るようにとも言われてたな、結局一般街の冒険者ギルドにも行ってない・・・。言われたことを何一つしてないことに今気が付いた。さっきのは捜索願みたいなものか・・・。



 前の世界では38歳、今の年齢は見た目15歳。中身はいい大人なのに捜索願を出されるなんて・・・報告・連絡・相談、社会人として当たり前の事だと後輩には言い聞かせてたが自分が出来ていなかった。ちょっと凹む。



 いや、いきなりこんな環境に放り込まれて数か月。よくやっているはず。うん、大丈夫大丈夫。何も問題ない、無問題だ。怒られたら謝ればいいのだ。・・・完全にダメな大人だな。はぁ。



 なんとなく重い足取りで、外苑街と一般街を繋ぐ跳ね橋を渡り戦いの跡が残る格子柵をくぐり一般街へ。一般街のほうは被害がなかったからか、活気があり市場にも物や人が多かった。ただ、どうにも食べ物の物価が高いようだ。



 当たり前か、外苑街の市場も機能を取り戻してきたといってもまだまだ、外苑街の住民を賄えるほどではない。一般街にも買い付けに来る、絶対量が足りてないんだから値も上がるか。



 この街の造りは簡単だ、貴族街を中心にメインストリートが街の門に向かって伸びている。そして重要施設は中心に近いところに作られるような構造だ。つまり、兵舎・冒険者ごルドは貴族街へ通じる跳ね橋の近くに立てられている。



 一般街まで魔物が攻め込んで来たら、そこを中心にバリケードが作られるんだろうな。一般人は貴族の盾とでも言わんばかりの構造だな。青い血の考えることは常に自分が世界の中心、ということか。地球でもここでも変わりはないのか。むしろ、こっちのほうが命の危険が身近だからこそか。



 治安が悪いのはここだけなのか、それともこの国か、ミーディア大陸が悪いのか・・・治安がいいところがあれば、いつかそこを目指すのもいいかな、魔王なんてもんが何人もいる世界に治安なんて求めるのもどうかと思うし。今も、街に魔王がいるくらいだからな。そう、俺なんだけどね。ニヒルにニヤッと笑ってみる。シェーラがいたら気持ち悪いとか言われそうだ。



 おっ目指す建物が見えてきた。冒険者ギルドから少し貴族街寄りに行ったところに立派な兵舎が立っていた。メインストリートの跳ね橋の入り口左右から挟むような形で兵舎と寄宿舎が立っている。有事の際には休み関係なくたたき起こされるんだろうな。



 そういえば、外苑街にはこんなに大きな兵舎はなかったな。大きく見積もってもこの四分の一くらいだった。もっと金かければいいのに・・・。



「すいません、ミリア隊に呼ばれて来たんですが・・・。」



 入り口付近の受付で要件を話すと、少し待たされてカイトがやってきた。なんでも隊長は上司に呼ばれてるから少し待ってほしいってことだった。にしてもなんでカイトなんだろう?この人、俺を目の敵にしてる感じで苦手なんだよな。



「なぁ。」


「ん?」


「その・・・この間は・・助かった。」


「どうした?頭でも打ったか?」


「ばっ・・・ちげーよ、ただ礼は言っておかねーと、気分が悪いだろ。命の恩人なんだし。」




 あんなに悪意たっぷりだったのに、今日はどうしたんだろうか?・・・あっ、暗黒魔法で回復したからかな?簡単に言うと暗黒魔法で回復すると負の感情を糧に回復するから、ひねくれ者も少し素直になる的な効果があるんだった。



「気にすんなよ、顔見知りが目の前で死ぬなんて寝覚めが悪いだろ?それに死なれたらミリア隊の皆も悲しむ。」


「・・・そうか、お前・・・いいやつだったんだな。」



 出されてたお茶を吹き出しそうになる。同一人物か?



「そんなに驚くことないだろ!俺だって恥ずかしいこと言ってる自覚はあるわ!!」


「えっと、ほんとに気にしないでいいから。今までは誤解があってそれが解けたってことでいいよ。もともと、俺が捕まったっていう事実が色眼鏡になってたんだろうしな。それに女の子大好きなカイトが男に礼を言うなんてめっずらしいもんが見れただけで十分だ。」


「けっ・・・言ってろ。」


「私も珍しいものが見れて良かったよ。」



 背後から声を掛けられて、振り返るとミリアとアザレアが立っていた。アザレアが会釈をしている。相変わらず珍しい組み合わせの小隊だ。



「そういえば、ダイタツは?」


「今、仮宿舎の掃除をしているところだ。辞令がでたところでな。それよりも・・・。」



 なんだろう、ミリアの雰囲気が変わったぞ。ちょっと怖い。



「私言ったよな?一般街で宿を取ってくれって、冒険者ギルドに来てくれてって・・・なぁ?」


「あー・・・ははっは、カイトそうだっけ?」


「俺は重傷だったから覚えてねーよ、隊長との約束破るなんて・・・度胸あるな、お前。」


「不可抗力だよってか完全に忘れてた。」



 うわあ、リアルにこめかみに青筋立ててる人初めて見た。猫人族特融なのかフーフー言ってるわぁ。






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