第4章:とうとうなれる?冒険者ギルドへ03
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第4章:とうとうなれる?冒険者ギルドへ03
朝の外苑街、冒険者ギルド周辺は市場や屋台が立ち並びそれなりに活気があった。朝から張り出される依頼を我先にと受領するために、早朝から動き出すのが冒険者という職業だそうだ。荒くれが多い割に規則正しいという不思議な生活。だた、飲み過ぎて昼過ぎから来る者も少なくはないそうだ。
昔、冒険者をしていたバリアルがリーダー(仮)をしてくれるお陰で形としてはベテランがひよっこを率いているという風に見える為に、絡んでくるような輩は今のところいない。
依頼が張り出されている掲示板の前まで行くと結構な人だかりが出来ていて近づけそうにない。リリィやシェーラでは掲示板の前に行く前に人込みからはじき出されてしまっていた。ブツブツ文句言ってるシェーラを放置して、仕方ないから新規の依頼は諦めて常時受領可能な魔物の討伐依頼や放置されている依頼をカウンターで問い合わせることにする。
「すいません、討伐依頼とかあったら見せてもらえます?」
「はい、カードをお願いします。えっと・・・ロッカクさん・・・あぁ、あなたが。じゃ、これ。破いたりしたら罰金だから。決めたら声かけて。次の人―。」
ギルド職員であるメガネの受付嬢に不審者を見るような目で見られながら依頼書の束を見せられる。なんだろう、とても対応が悪い。荒くれ者が多いだろう冒険者相手だからそんな感じにもなるのかな。
皆で見ていたが、正直箸にも棒にもかからんような依頼ばかりだ。軒並み報酬が安い。ワイバーンの群れの討伐で金貨1枚だった。バリアルが言うにはワイバーンの単体ならまだしも群れの規模もわからないような情報で金貨1枚なんてあり得ない。数によっては騎士団が出張るような依頼だそうだ。
他には戦没者の集団墓地に現れたであろう不死者の討伐。これも金貨1枚だ。不死者というのは上級魔法使いが己の意志で不死となったものと言われておりスケルトンやグールといった魔物を使役して生ある者に害をなすということだ。生前の知識を併せ持つことで魔物の中でも上位に入る危険度を持つ。この依頼では不死者が現れてはいるが実質的な被害は今のところないそうだ。
あとは近隣のゴブリン退治やオーク退治、害獣の除去などだった。正直、Fランクで受けるようなものじゃない。通常のFランク、つまり駆け出し冒険者が行える依頼は素材の採集や街中での仕事だそうだ。Eランクからホーンラビットなどの小型の魔物の討伐が行えると、バリアルが教えてくれた。あと、ランクの高い者がパーティに要ればパーティで一番ランクが下の者の2ランク上まで依頼は受けることが出来るということ。
つまり、バリアルには最低でもDランクにはなってもらいたいというわけだ。空いた時間にでも単独で依頼をこなしてもらったほうがいいのかな。
「とりあえず、ゴブリンとか無難なやつを倒して素材を換金して日銭を稼ぐ。あとはリリィとシェーラのレベルアップと戦闘訓練を行おうと思う。」
「儂もそれがいいと思う。まずは戦闘になれることだろう。」
「そうね、私もまだ・・・ちょっと怖い。」
「ん、ご主人様の盾になるように頑張る。」
盾になられるわけにはいかないが、その気持ちは嬉しく思うのでリリィの頭をなでなでる。目を閉じて嬉しそうにしているリリィを見ながらシェーラが、羨ましくなんかブツブツ。なんか言っているが無視しておこう。
「おいおい、にいちゃんそんな小さい子に守ってもらおうなんて冒険者として終わってんなぁ!」
不躾な声をかけてきたのは俺達の後ろにいた獣人のパーティだ。全員が犬耳の男4人組だった。編成としては剣士、槍使い、盗賊に魔法使い。バランスは悪くないようだ。ついでに言えば声をかけてきた剣士以外は申し訳なさそうにしており剣士を止めるがそれも聞かずに声をかけて・・・いや、絡んできたってとこか。
これは所謂テンプレってやつだ。新参のそれも余所者の冒険者に対するイビリだか牽制高をしないと気が済まないやつってのがいるもんだが、ここではこいつら・・・いや、こいつってわけだ。
面倒事は極力避ける、こういう場合はバリアルの出番だと事前に決めていた。それに従い前に出たバリアルを見て犬剣士は怖気づいたようだ。それもそのはず、相手は人族とはいえレベル80オーバーの強者だ。多少なりとも野生が残っていれば己の無謀に気が付くだろう。
「な、なんだよ。老いぼれがやんのか!?」
「すいません!失礼なことをしました、どうか勘弁してください。」
さすがにバリアルを怒らせるのは不味いと判断したのか魔法使いの若者が止めに入る。どうせ入るならさっさとすればいいのに。俺なら止める気はなかったってことなんだろうな、うん。舐められてるな、俺。
「止めに入らないほうが良かったですかな?」
不機嫌な雰囲気を漂わせていることに気を使い、確認してくるバリアルだが基本的には間違っちゃいない。ただ、俺のストレスが溜まるってだけだ。許容範囲だけど・・・。
「ご主人様、私が盾になることがダメだった?」
「そうじゃないよ、いやダメなんだけど・・・リリィがそれで怪我をするほうが嫌だって話だ。それに俺が主なら守ることも責任の内だ。」
「でも、役に立つようになりたい。」
「急ぐことはないさ、これからこれから。」
「なんか、イチャついているようにも見えるわね。その辺にしときなさいよ、頭撫でるのって獣人には結構特別なことらしいからね。」
そう忠告してくれたシェーラに言われて周りを見ると、獣人の冒険者は結構な数こちらを見ていた。なんか、悪いことをしたのか??
シェーラに助けを求めたが、それ以上は知らないらしく答えは帰ってこない。
「ご主人様、頭を撫でるのは家族やそれに準じる人だけ。それ以外は撫でさせたりしない。」
「そうなの?」
「頭は急所。そこを無防備に預けるのは信頼の証。ご主人様を信頼している。」
じっと俺を見つめながら、そう返すリリィの頭をさらに撫でる。その柔らかい髪はずっと触っていたいくらいだ。
「ほら、周りも注目しまくってるから!その辺にしときなさいよ。」
「そうだな。あんまり注目を集めてもな。」
手をどけると、あっと残念そうな声を上げるリリィ。何この生き物、チョー可愛い。そんなことを思ってると赤い頭が差し出される。この赤毛はシェーラだ。
「ほら、そんなに頭が撫でたいなら、私の頭を撫でたらいいわよ。それなら注目なんかされないから。」
赤い髪と同じくらいに赤い顔をしているシェーラ。そんなに赤い顔で言われるとちょっと萌えるやん。ならばと赤い頭も撫でる。リリィとはまた違うが艶のある美しい赤髪を撫でながら至福の時を堪能する。
「ロッカク殿、もはや注目を集めるのは無理だと思うくらい見られているぞ。」
確かに、周りを気にしだすと注目を集めていた。そういえばそうか、リリィも狐耳の儚げな美少女だしシェーラも色気は減退したが、健康美は増している。そんな二人の美少女たちの頭を撫でまわしている人族が注目されないわけはなかった。注目なんか集める気なんかなかったんだが・・・。これはアレだ、二人が可愛すぎるからいけないのだ。
そんな自分勝手な言い訳をしながら満足げな二人とバリアルを伴い、冒険者ギルドを後にする。ちなみに依頼の束を返し忘れてメガネのギルド職員に怒られたのは言うまでもない。




