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もう魔王やめます。  作者: まさきえき
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第3章:交易都市in魔王019

連休が・・・もらえませんでした。

うちの職場はどうかしている。わかってたことですけど・・・。

そんな私にせめて、ブックマークをください。お願いします。

第3章:交易都市in魔王019



バリアル視点



 眠りにつきながらバリアルは自分の主についてさらに思慮を深める。人を嫌いだという主。自分が人種であり、リリィも獣人という亜人種である。同様に嫌いなのかわからないが一般的に人種と亜人種は違うと考えられている。それに仲間にシェーラもいる。人種が嫌いなら仲間になどならないだろう。それにミリアという兵士も助けていた。嫌いというのがどの程度かわからないが付き合いのある者を切り捨てたりはしないのだろう。



 ただ、戦力差が絶望的だったあの状況で助けに行くのは、将としてはいかがなものか。手勢はパーティの3名。そのうち2人はまだ半人前もいいところだ。そんな者たちを連れて助けに行くなど無謀、いや死にたがりと言ってもいい。



 それでも、知り合いを助ける、仲間も失わないという目的を達することが出来たのは主の力あってのこと。自分が知っている魔王は弱者は切り捨て、捨て駒にするものだ。もちろん人の王も同様だろう。政をする者には必要なことだろう。それが全て悪だとは言わないが今回は街に近づくことすら無用のことだと思えていた。



 目的が街の中にあったとしてもだ。ただのパーティメンバーの為にそこまでするのだろうか?かといって男女の関係にあるようには見えない。行動原理が見えてこない。それは将として・・・おっと、いかんいかん。将として、なんて今更だ。儂はもう将を語る資格もないしロッカク殿とて将ではない。



 ただ、人として人種の敵になるならこの場で斬ることも必要なのではないかと思ってしまった。あれほどの力、ゴブリンキングを一刀のもと葬ったあの力が人種に向けられると思うと・・・。だがそんな儂の考えを見透かしたように儂の肩に手を置かれた。油断などしていない、いつでも斬れるようにしていたはずなのに、いつの間にか手を置かれていた。



 武人としての自信は砕け散ったな。まだ若者であるはずなのに年齢に合わぬ落ち着きよう。隙の無い所作、冷酷なまでに敵を屠る手技。だが、どこか甘い考えを持ち合わせている。ちぐはぐな印象がぬぐえない。掴みどころのなさはなんなのだろう。



 ただ言えるのは、今の儂ではまだ勝つことが出来ないということ。・・・「まだ」か。齢60を超え挑戦者として挑むことのできる相手が身近に現れようとは。手合わせした感じだとまだまだ力を隠しているようだった。



 奴隷として四肢を切られ、死にゆくだけの死に体だった自分に再度、武人としての自分を取り戻させてくれた。ぐだぐだ考えていたがそれだけで十分なのではないだろうか。それまでの儂はあの奴隷部屋で死んだ。今は生まれ変わった自分なのだ、ならば主とともに好きなように生きることもいいのかもしれない。



 そんなことを考えながら、意識をゆるやかに手放したのだった。









「ちょっと!!あんたたち!いつまで寝てるんだい!!早く朝ごはん食べておくれよ!!」



ガンガンとドアをぶん殴るようなノックで目が覚めた、いや、覚めさせられた。どうやら女将がご立腹らしい。俺はとりあえず皆に声をかけて下に降りる。



「あ・・・なんて顔してんだい、全く。裏に井戸があるから顔でも洗ってきな!」


「あ、はい。」



 言われるままに、裏手に回り井戸のほうへ。小さい犬耳の子が水を汲んでいる。とりこぼしそうになっているのを支えてやる。



「あっありがとうございます。」


「いいよ、それより俺にも水を一杯くれる?顔洗いたいんだ。」


「はい、どうぞー。」


「ん、ありがとう。」



 そう言って犬耳っ子の頭を撫でてやる。にへへーっと笑いながら宿のほうへ走っていった。手伝いの子かな?いや、女将の子か?



「ご主人様、おはよう。」


「お、リリィが一番早いなんて珍しい。」


「一番先に寝たから。ご主人様も起きるの早い。」


「もともとあんまり長く寝ないんだ。」



 これは日本にいる時からの習慣だな。習慣という程のものではないな、残業して早朝に出社っていう悲しい社畜体質のなせる技か。いや、もう業だな。はは。



「それにしてもリリィは髪が長いから寝癖もなかなか激しいなあ。」



 いつもにまして、髪があちらこちらに飛び出していた。野営の時はそんなことなかったのに。



「ん、ベッドで寝るとそうなる。奴隷部屋では痛みがあったから極力動かないようにしてた、野営の時も動かないように寝てたから。」



 そっか、奴隷部屋では衛生環境も最悪な場所だったしな。ようやく人並みな生活といったところか。この歳にして苦労の度合いが半端ないな。痛みを我慢するだけの人生か、俺だったら狂ってる。



「なんで・・・。」


「??」


「なんで耐えられたんだ?」


「・・・死ぬ方法が分からなかっただけ。奴隷部屋では一応商品だから最低限命は助けられるの。」


「俺なら耐えられないな。」


「私も。だから寝るのが得意になる。」


「??」


「寝てる間は痛みを感じない。だからあんまり寝ないご主人様は凄い。ご主人様にとって夜が長い。夜の人。」



 うん、よくわからんがきっと褒められてるな。リリィの目がキラキラしてこっちを見てるからな。とりあえず頭をモフっとこう。いつも思うがリリィの大きな耳はとても魅力的だな。



「ん、ううん。んふ。」



 なんか気持ちよさそうだな。満足そうなその顔を見てると俺も満足だぞ。



「なにやってんの??」



 訝し気な顔をしたシェーラがバリアルと一緒に起きてくる。二人とも女将に顔を洗って来いとどやされた口だな。



「おはよう、二人とも。」


「おはようございます、ロッカク殿、リリィ。」


「で?朝から如何わしい行為をしていた弁明を聞きましょうか?」


「如何わしいとはなんだよ、頭を撫でてただけだろ?」


「ニヤニヤしながら女の子の頭を撫でてたら、普通如何わし気に見えるものよ!」



 そんなやりとりをぎゃーぎゃーしながら宿の食堂へ向かう。ようやく集まった俺達に呆れた顔の女将が朝食兼昼食を出してくれる。結局昨日は夕食に呼んでも起きなかったから朝食にその残りを足してくれたようだ。その分、ボリュームがあるが腹が減っていたからありがたかった。



「起き抜けだってのに元気がいいね、あんたたちは。そういえば昨日と今朝冒険者ギルドの人が来たよ。寝てると言ったら出直すって帰って行ったけど。」



 他の客の片づけをしながら女将さんは厨房のほうへ引っ込んでいった。さて、来てくれたんならあんまり待たせるのも悪いだろうと、冒険者ギルドの場所を聞いて向かう。



 途中、被害の甚大さを知ることになる。戦いがあったメインストリートは石造りの為、倒壊なんてことはなかったが、それ以外の通りは民家、それも木造が多かった。火災はなかったが魔物が暴れれば木造の建物なんてひとたまりもない。打ち壊されたり、それを防ごうと抵抗して殺されたり、そんな爪痕が残っていた。昨日は気が付かなかっただけだ。いや、気が付きたくなかった、か。



「酷いもんだな。」


「そうね、でもそれでも生き残っている人がこんなにいる。無駄じゃなかったわよ。」


「そう思いたいね。」


「そうよ!そんな顔してたらこれから来る幸運も逃げちゃうわよ。」



 前向きなシェーラに励まされつつ、ひと際堅牢な建物の前に着く。剣と盾の紋章が掛かっているここが冒険者ギルドのようだな。入る前に、少し緊張する。前回、各ギルドにすげなくあしらわれた苦い思い出が蘇る。くそ、就職だって面接くらいしてくれるってのに。




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