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もう魔王やめます。  作者: まさきえき
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第3章:交易都市in魔王016

やる気を出すために・・・

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第3章:交易都市in魔王016


 少し時間を貰って南門の第3層街の大きめの屋敷の下に地下室を2つ大急ぎで製作する。突貫だから、地下室と言ってもただの大穴と言ってもいい。装飾に凝る必要なんかないのだ。



「これは驚いた、こんな場所があるんだな。私もこの街は初めてだがこんな地下室があるなんて・・・この屋敷の持ち主は一体ここで何を?」



 ん・・・思ってもみないことに、この屋敷の持ち主に怪しい者ではないかという嫌疑がかけられてしまったかもしれない。秘密の地下室があるなんて確かに怪しいよな。持ち主よ、すまん。



「俺達は一般街のやつらなんかどうでもいい、街の皆を守りたい。」



 そういう冒険者と元兵士の10名を地下室の守りに残し、バリケードのあるところまで戻ってきた。守るべき市民が避難したことである程度、落ち着きを取り戻すことが出来たようでそれぞれ手当てやバリケードの補強にあたっていた。俺のパーティも同様だった。



 ただ、市民がいないということで格子柵の間から守備隊がこちらを監視している。見られながらの作業というのは存外やりずらいものだ。



「とりあえず、残ってくれて感謝する。」



 兵士や冒険者に皆に対しミリアは頭を下げる。着任したばかりだというのに、周囲はこの場のリーダーとして扱っていた。聞けばバリケードや避難を迅速にしたのはその手腕によるものだそうだ。普段は小隊隊長だが、指揮能力は部隊長以上なんだろうな。



「一時的に、魔物を撃退することが出来た。だが、奴らは必ずまた攻めてくる。これまで通りだと夜の奇襲や早朝の奇襲があるはずだ。今から交代で休みを取るようにしたい。それ以外の者はバリケードの補強にあたってもらう。」



 そう言って解散を指示していた。細かいことはミリア隊のメンバーで調整しているようだ。周囲を行ったり来たりしているアザレアが目についた。



「あ、ロッカクさん。残ってくれてありがとうございます。正直、心強いです。今は碌な戦力はありませんから。」


「その戦力なんだけど、各人の職業を教えてくれるかな?大まかでいいから。」


「え?いいですよ。戦士、騎士クラスが20名、兵士に多いですね。あとは弓士が6名、魔術師が5名、治癒術師2名、薬師3名、それからミリア隊の4名です。」


「それって5名ずつくらいに分けて行動させられるか?」


「小隊編成で動くってことですか?」


「あぁ、戦士、騎士主体で他はサポートするような形が望ましいんだけど。」


「出来ると思いますけど、連携は難しいですよ。」


「いいんじゃないか?」



 そこにミリアが声をかけてくる。各人に声をかけた後こちらにも声を掛けに来たようだった。



「それでどう運用するつもりなんだ?私としては、ロッカクが魔物を撃退したようにもう一度やってほしいんだがな。」


「あれは幻術を使った攪乱だ。そう何度も通用するとは思わないでくれ。魔物と言えど指揮系統はしっかりあるようだし。」


「そうだな、あの撤退は組織立っていた。・・・あれをこの人数でどうにかしないといけないのか。」


「いざとなったら逃げればいいんだよ。」


「そんなことは!」


「まだ着任前なんだろ?誰にも責められないさ。」


「兵には街を守る義務がある!」


「着任前の街を?何の思い入れもないだろうに。それにあの守備隊こそその役目だろ?」


「私たちはな。だがここに残った兵たちは中に家族がいる者たちだ。それを残して自分達だけ逃げるなんて出来ない。」


「隊長がこう言ってるんで私たちもとりあえずは残ります。いざとなったら隊長を引っ張ってでも離脱しますけどね。」



 呆気にとられた顔のミリアをほっておいて話を続ける。なかなかいい性格をしているようだ。



「なっ・・・。」


「それでロッカクさん、小隊編成にしてどうするつもりですか?」


「大したことじゃないんだが・・・。」




 準備をしているだけですぐに日が暮れることになった。あいかわらず守備隊は監視をするだけで支援をすることもなく傍観を決め込んでいるようだ。こんな奴らが守っている一般街には不満が募る一方だが、市民には責任もないだろうから仕方ないか。物資くらい支援してもいいだろうに。



「なぁ、あの門の向こうの連中は何なんだ?何で支援をしない?」



 作業中の兵士に声をかける。兵士はそちらのほうへ目をやり少し嫌そうな顔をしながら答えてくれた。



「俺達、第3層街にいるやつらを人とは思っていない。ってことじゃないか?」


「何でだ?それに、何であんたはここにいるんだ?そんなやつらを守るのか?」



 兵士は皮兜を脱ぎながら犬耳を露出させる。



「獣人を嫌ってるんだよ、それでも一般街には家族や友達がいるから。あいつらに街が守れるとも思えない。ならせめて一匹でも減らしたい。」


「そっか。」



 そして、逢魔が刻。魔物たちの時間を迎える。8組の小隊を編成しメインストリートの入り口付近に配置した小隊から光魔法による合図があり魔物の接近を知ることとなる。各区画には足元と、首の位置に鋼線や黒く塗ったロープが張られている。これにより押し寄せる魔物を転ばせ後続が踏みつけることで多少なりとも数を減らすことが出来るだろう。



 弓矢は撃ち尽くしており、遠距離の攻撃は魔法のみだが弓士たちの使える風魔法はそこまで威力が高くなく足止めには使えない。ただ砂を顔のあたりに向けて運ぶことは出来る。目を潰された魔物もまた足を取られて後続に踏みつぶされることになる。



 魔物に気付かれた小隊もいたが、戦士や騎士クラスの兵や冒険者の働きによって速やかに戦線を離脱し逃げおおせている。戦略的撤退というのは軍人のほうが得意としている。撤退をしながら魔物が通り過ぎるのを確認したのち、再度元の位置に戻るよう指示してある。。



 そういった嫌がらせをしながら徐々に数を減らしているが、まだ魔物の数は多い。まだ3-400程度は残っている。せめてもう少し減らせればいいんだが。




 




 メインストリートを進軍してきている魔物の群れを見ながら格子柵の内側でも兵士たちが騒ぎ始めていた。



「たっ、たた、隊長!このままではあんなバリケードなんてすぐ破られますよ!逃げたほうがいいのでは!?」


「そ、そうだな!わた、私は本部にこのことを知らせてくるからお前たちはここを守っているんだぞ!」


「え!?隊長!まっ、待って下さいよ!」



 そんなやりとりをしながら戦う前から、守備隊は瓦解した。その様子は格子柵の外側、ロッカクのほうからも逐一見て取れた。いやはや呆れた守備隊長だ。では俺達が負けるとこの街は魔物の狩場と化すわけか。



 それはそれで好都合。こちらのやりたいように・・・殺りたいようにやれるってわけだ。



 今現在、8組の小隊のうち7組が出ており8組目のミリア隊はバリケードから50m程手前の建物の屋根、両サイドに2名ずつ右にミリア・カイト、左にダイタツ・アザレアが隠れている。



 そして、俺達パーティはバリケード内に残っているというわけだ。誰からも依頼を受けていないし、この街にしがらみもない。にも関わらず、最後の砦として残ったのは俺もこの街でやることがあるからである。



「ロッカク殿、いかがしますか?逃げるのも一つの選択肢だと思いますが。」


「そうだな、これは逃げるほうが現実的なんだろうけど、この街が崩壊するのも困る。ゴブリン以外にもオークにオーガが混じってるし、指揮してる奴がいる。そいつをどうにか出来たら多分、この魔物たちも組織立って動くことが出来なくなるだろうから、そうすれば時間はかかるが各個撃破できるだろう。深追いしなければ味方もサポートしてくれる。」


「そうかもしれないけど、指揮官って大体、後方でドーンと構えてるんだから、そのままだと、最後方まで行かないとダメってことなんじゃないの?」


「ん、ご主人様。危ない。」



 それぞれが意見を述べるが俺がやることなんてたかが知れている。



「皆の心配はその通りだろうな。だーけーど!、俺には望遠鏡がある!こっからでも敵を狙えるはずだ!というか敵より先に相手を補足できるんだから、遠距離からやっちまえばいいんだよ。」



 気分はゴルゴロッカクだが、自分のアドバンテージはしっかり生かさないとな。ただ、長距離の土魔法の制御はやったことがないから、近づかないといけないことには変わりがない。狙撃っていうのは思っている以上に高い技術が求められるものなのだ。



 後から知ったことだが、土魔法の岩弾では長距離の狙撃事態不可能というのは悲しい事実である。



「そういうわけだ、俺達のパーティはメインストリートは通らずに側道から指揮官のところを目指す。すでに、指揮官は補足している。」



 望遠鏡を見ながら、皆に話す。おそらく普通に望遠鏡を使ってもこの夜の闇では見えない。暗黒魔法と夜目を駆使して初めて可能となるものだ。



「こんなに、暗いのに。ご主人様はさすが魔王。」


「うむ、リリィから褒められるのはいいな。」



 リリィの頭を撫でながら話を続ける。もう肉眼にも魔物たちの姿を捉えられるようになってきた。そろそろ頃合いだろう。



「では、行くか。準備はすぐに終わる。影霧(シャドウミスト)!光学迷彩(カウンターシェイド)!建物創造(ロッククリエイト)!」



 バリケード前に黒い霧が発生した瞬間にそれを消し去るように元の風景に戻る。何かが動くような地響きが起こったが周囲に変化はない。ロッカクの魔法で何かが起こされていたはずだが、周囲に変化はない。



「な、何が?」


「では、ロッカク殿行きますか?」


「あぁ。この場で出来ることはやったことだし、指揮官を撃破しに行くか。気合い入れていこう。」



 望遠鏡で見つけた指揮官を望遠鏡越しに鑑定を行う。中々上手くいかない。距離があるせいなのか、分からないが出来る限り相手の情報は知っておきたい。



 見えろ見えろ!鑑定鑑定鑑定鑑定!!



名前;ゴブリンキング

Lv:50

HP:1000

MP:200

称号:ゴブリンの王

スキル:王の威光Lv5 指揮Lv5 一斉命令Lv3 狂信化Lv2 怪力Lv4 剣技Lv5 身体強化Lv4 帝王学Lv3 先見Lv3 同族支配Lv6 精力増大Lv3 強制交配Lv2 

武技:王の一撃Lv2 特攻Lv3



 ※ゴブリンの中でカリスマ性と武力を持ちえた者が群れの中で頭角を現し、一族を率いた時、王として認められる。ゴブリンの王になることで多種族へも多少王の威光が作用しゴブリンだけではなく知能の低い、オークやオーガを率いることが出来るようになる。ゴブリンの王は周囲への影響も大きく低レベルのうちに率先した討伐対象となることが多い。討伐を免れた高レベルのゴブリンキングは高レベルの冒険者のパーティやクランで対処する必要がある。



名前;ゴブリンジェネラル

Lv:35

HP:600

MP:200

スキル:身体強化Lv3 怪力Lv2 剣技Lv3 体術Lv2 咆哮Lv2 鉄壁Lv2 自己犠牲Lv2

武技:四段突きLv2 斬り下ろしLv2 回転斬りLv1


※王の側近の将。王の為に生き、王の為に死ぬ。その為に部族より選ばれた強者をさらに鍛え上げたことでジャネラルとなる。エリート中のエリートであるが忠誠心が高いかはその王との相性による。武技を使いこなし時にゴブリン軍の指揮もすることから、冒険者からも恐れられている。この魔物が現れるときは複数の配下のゴブリンが複数いる為、討伐には高レベルのパーティで臨むのが望ましい。



 お、おぉ・・・見えたけど、結構強いな。体力だけなら魔族より上か。だが魔法は不得意。剣技で攻めてくることと、数で押す戦法でくるんだろう。



「バリアル、シェーラ、ゴブリンキングがこの戦のトップにいる。その脇にゴブリンジェネラルが2匹。ジェネラル2匹と周囲のゴブリン。抑えられるか?」


「え?ジェネラルとキング!?そんなの無理に決まってるじゃないの!」


「ジェネラル2匹だけならば・・・ただ、周囲にゴブリンがいれば手数が足りません。守りながらだとさらに難しいかと。」


「なら、正面突破は無理か。」


「正面突破って・・・正気じゃないって。」



 呆れ顔のシェーラはこの際、ほうっておこう。



「なら、暗殺?」


「・・・おぉ・・・そうだな、・・・リリィの案で行こう。暗殺というかこっちから奇襲をかけよう。あいつら自分らが有利だから奇襲されるなんて思ってもないだろうからな。リリィ何かいい案があるか?」



 驚いた顔でこちらを見上げるリリィ。少し考えて提案する。



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