第3章:交易都市in魔王013
昨日振りです、いかがお過ごしですか?
たまたま2日連続更新が出来ましたが、普段は全くできません。すいません。
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第3章:交易都市in魔王013
魔物たちに見つからないように外苑街東門に到着したのはそれからしばらくしてだったが、間近で戦場となっているところに来てみて思うのは来るんじゃなかったってことだ。
到着してから外苑街東門・・・のあったところから中に入るがあちこちに死体が転がっていた。今は魔物の攻勢が止んでいるようで戦いの声は聞こえてこない。おそらく南門が最前線なんだろう。
「う・・・げぇおぇぇ・・・。」
近くには四肢が千切れた女の死体が散乱していた。それを見てしまったシェーラは顔を歪めて嘔吐していた。無理もない、俺だって正視できん。バリアルもリリィも目を背けている。
早く目的を遂げてしまおう。俺達の目的は第2層一般街に入り医者を見つけること。そのためにここまで来たからにはブレるつもりはない。東門から第2層への門までの間には深い堀があり跳ね橋は上げられていた。門自体も固く閉ざされ、こちらからの呼び掛けにはまるで答えてくれなかった。鋼鉄の扉は固く閉ざされて門番も応じない。どうしたもんか。
「どうやって入ればいいのよ・・・。」
思わずつぶやくシェーラを見ながら俺も同意見だった。3つある門は全て固く閉じられているんじゃないか?
いや、それなら何で南門へ魔物が集中しているんだ?・・・あそこが侵入しやすい、何かがあるのか?
「バリアル、なんで魔物は南門に集中していると思う?」
「・・・何で・・む、もしや・・南門は門が閉じてない・・・か、もしくは侵入しやすい何かがある?」
「だよな、それしかないか。」
「もしかして、南門に行く・・・とか?」
「それしかないと思う、中に入るには。」
「・・・ちょっと待って!そんなのそれこそ死にに行くみたいじゃない!」
「中に入るにはそれしか手がないなら行くしかないだろ。」
「でも・・・皆はいいの?私の為にそんな危険犯すなんて。」
「私はすでに覚悟は決まっています。それにリリィとシェーラの二人くらい守って見せますよ。」
「ま、死なない程度で頑張ろうや。危なくなったら即撤退。まずは自分の命を最優先。命を大事に!な?」
「う、うん。ありがとう。」
「お礼・・・早い。私も頑張る。」
「そうね、リリィが頑張ろうとしてるんだから私も頑張らないと。」
よし、皆が行く気になったところで行動を開始する。
南門が近づくにつれ、道に転がる死体の数も増えてくる。その多くが損壊が激しい、食われたような傷跡の死体が多く、殺されてそのまま食料となったのは間違いないだろう。女の死体も多い、むしろ損傷が激しいと言える。ほとんどが衣類をつけておらず股間や肛門には激しい裂傷の跡が見える。犯されて食われたんだろう。ゴブリンやオークが多種族間妊娠を可能にする種族なのは知っていたが、これは予想外に胃に来る光景だ。
中にはまだ少女と思しき死体があるのを見るとシェーラやリリィを連れてきたのは間違いだったか?いや、後悔はまだ早い。
進むにつれ咆哮が聞こえてくるようになる。もちろん、それにも増して悲鳴や断末魔の叫びも聞こえてくる。
気配を殺しそっと近場の平屋の屋根に上がり状況を確認する。もちろん、ここでも望遠鏡は大活躍だ。
外苑街の南のメインストリートと思われる大通りには門へと押し寄せる人の群れが多数いる。そこでこちらが何故狙われているのかが分かった。こちらの跳ね橋は上がっておらず鋼鉄の扉は何か強い力が加わったのかひしゃげて閉まらないようになっていた。
かろうじて格子状の鋼鉄製の防衛柵を下ろすことには成功しているようでそこには第2層の守備隊だか軍隊だかが槍や弩弓、魔術士を配置し防衛にあたっていた。門の内側から。
門が開かないならと力ずくで持ち上げようとする亜人や人間の商人を門の内側から阻止するために突き殺していた。そしてその死体の上に登って門に近づいて突き殺されるという地獄絵図だ。後ろからは魔物の軍勢と前方からは人間からの攻撃で挟まれた民間人は成す術がない。それでも数百人ちかく門のほうに詰めかけている。街に入れる可能性はこの門しかないから当然だろう。
かろうじて跳ね橋の入り口で防衛戦を行う者たちがいるがあまりに多勢に無勢だ。メインストリートには200匹以上いるだろう魔物で溢れかえり押し合いへし合いしている。跳ね橋で簡易バリケードを作りかろうじて防いでいるのは30人にも満たない兵士や冒険者達だ。これは正直時間の問題だろう。
これは、どうしようもないんじゃないだろうか?
そこで戦う者を見つけなければ、行動を起こすこともなかったかもしれない。
◇◇◇
「諦めるな!我々の後ろには守るべき市民がいる!必ず死守するんだ!」
「はぁはぁ・・隊長・・・もう、矢が。」
「らしくない弱音を吐くくらいなら槍を突き出せ!」
「ちっ・・人使いが荒いぜ、ったく。」
「まだ、戦えるんだから、頑張って。」
「そう言うアザレアだってそろそろ限界じゃないのか?」
「符がもうないから、直接魔力で起動してるけど、一度破られるともう結界は張れない・・ですね。」
笑顔で答える彼女の額には玉の汗が流れている。限界が近いのは間違いないらしい。何でこんなことになったのかなんて回想している時間もないくらい戦況は緊迫している。隊のメンバーは満身創痍だ。隊長も槍を突き出しているが肩には矢傷を受け頭部からは出血もしている。だが応急処置をしている余裕なんてそもそもない。
無口な相棒も足に傷を負い動きがすこぶる悪い、槍を突き出すのが精いっぱいで動きに精彩がない。俺も商売道具の矢は切れ、魔力もからっぽだ。罠も使い切った。確かに俺にできるのは槍を突き出すくらいのもんだろう。
バリケードから見えるゴブリンやオークに向けて槍を振るう。だがこちらの槍が届くということは相手の槍も届くということだ。そんなことを思っていると肩に衝撃が・・・どうやらオークの長槍が俺の肩に刺さったらしい。息を荒くしながら後退して槍を抜く。くそっ、包帯もない、回復薬もない。
これが「死の足音が肌を薙ぐ」ってやつか?ゾクゾクと寒気を感じる、どうやら血が止まらないらしい、隊長やアザレアが何か言っているようだが聞こえてこない。隊長がこちらを見ている、その背中に矢が刺さる。ほらいつも訓練の最中に余所見をするなって言ってたあんたがそんなんでどうすんだよ。泣きそうな顔すんなよ、アザレア・・・そこで俺は意識を手放し暗い底に沈んでいった。
◇◇◇
戦場で見かけたのは顔見知りの兵士達だった。なんでこんなところにいるのかわからないが、見殺しにするのは忍びないし多少なりとも世話にはなった。怪我をしているなら助けるのもやぶさかではないが、それでも戦場でそんな余裕なんかない。
出ていけば俺達も標的となるだろう。なら、見つからないようにさらに接近して効果的に魔法を叩き込んでやる。不意打ちを行えれば魔物といえど浮き足立つだろう。それで持ち直すとは思えないが時間は稼げるはずだ。
屋根の上から降り、パーティの元へ急ぎ戻る。3人は周囲を警戒しつつ、こちらへ気付くと足早に駆け寄ってくる。シェーラはかなり気を張っているようでキョロキョロと落ち着きがない。
「偵察の結果だがメインストリートの先に一般街への門がある。そこが閉まり切っていないようで、そこに住人が押し寄せているようだ。跳ね橋の前で兵士たちが粘っているようだが時間の問題だと思う。」
「時間を稼げば住民は街に入れるってこと?」
「いや、門自体は開いている。というより閉まらないようだ。だけど格子状の柵があって住民は入れないようだ。」
「え?それじゃ・・・。」
信じられないという表情でこちらを見るシェーラ。言葉に出すか逡巡しているようだ。
「時間が経てば・・・兵士たちが崩れれば皆殺しだろうな。」
「・・・それでロッカク殿はどうされますか?」
「いくつか策がある。もちろん、上手くいくか失敗するかはわからん。」
「魔王であるロッカク殿が言うのであれば、勝算はあると思うんですが。」
「最初から失敗するつもりでやるわけじゃないしな。あと魔王は止めてくれ。俺は魔王を辞めたんだ。」
「魔王ってのが辞めれるのかはどうでもいいけど、早くしないともたないんじゃない?」
急かすようにいうシェーラだが、俺にとって魔王は早く辞めたいんだけどな。いつまでも称号が残ってるしってか、増えることもあるし。
「よし、今回は俺が魔法を使って隙を作る。合図をしたらシェーラは屋根の上から風魔法を敵に向かって撃ってくれ。その間、俺が魔法で認識を阻害しておく。もちろん、バリアルとリリィにもかけておくから。」
「や、屋根の上から・・・気付かれない・・のよね?」
「大丈夫だ、・・・・・多分。」
「ちょっとぉぉぉ!そこは自信もってよー!」
「そうは言ってもこういう防衛戦なんてしたことないから、絶対なんて言えないって。」
「むー・・・それはそうだけど。」
「気付かれても俺が傍にいる。守り切るから。」
「う、うん。そういう・・ことなら、やる。」
「バリアルも二人のことを頼む。」
「お任せを。」
恭しく頭を下げるバリアルを見ながら、その横でちょこんと座り皆の話を聞いていたリリィの頭を撫でる。表情は今だ乏しいが、緊張はしているだろう。
「りりィも怪我がないように。危ないと思ったらすぐに逃げろ。いいな?」
「ん、頑張る。」
逃げるのを頑張るって意味・・・だよな?
さて、と行動指針も決まったことださっさと移動しよう。あまり時間は残されていないようだ。戦の音が聞こえるほうへ急ごう。




