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もう魔王やめます。  作者: まさきえき
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第3章:交易都市in魔王012

ご無沙汰していました。

なかなか更新が出来ず・・・って毎回言ってますが、本当にすいません。

え?待ってない?そんなこと言わないで~!

ブックマークをしてくれたら気合いが入ります。

第3章:交易都市in魔王012



 襲撃に合ってから3日、俺達は魔物たちの踏み荒らした大地をなぞるように進む。森も山も例外なく蹂躙されている。森の中を突っ切ったことで、さながら道が出来たような跡が出来ている。木々は力任せにへし折られている。これはオーガ種や上位のゴブリン達によるものだろう。時々、鋭利な刃物で伐採されているような跡は魔法だろう。



 ところどころに少ないくない数の魔物の死体が転がっている。どれも木に激突した様子だ。おかしい、多少でも知恵があれば木なんて避けていけばいいだけのはずなのに。やはり魔族が指揮をするというのは常識から外れたことをするんだろうか。



「ロッカク殿、そろそろ交易都市まで半日という距離まで来たはずです。」


「そうか、そろそろ警戒して進む必要があるな。」


「出来れば、あの魔族がいないことを願うな。」


「そうね、もし生きているのが分かったら面倒だもの。」


「ん。次は返り打つ。」


「リリィ、まだお主らでは歯が立たんからな。」



 この3日で俺達には隠し事が減ったこともあり、かなり打ち解けることが出来た。お陰でだいぶん戦闘面でも連携も取れるようになってきた。まだリリィが戦力外なのは変わらないが、レベルは底上げされている。






 襲撃されてすぐには移動できず、そのまま体力を回復させることにしていたが、その間の空気に耐えられず切り出した。

 

「俺が魔王だって・・・驚かないのか?」


「そりゃ、驚かないってわけじゃないけど・・・魔王って倒されたって聞いてたし、他の地方の魔王なんて

知らないからどう理解していいかよくわからないよ。」


「そうですな、出来る範囲でいいので説明していただけると助かります。」


「・・・・・・。」



 バリアルとシェーラは現状に理解が追いつかず、説明を求めてきた。リリィは相変わらず感情表現が乏しい。クレーターから抜け出しながら、質問に答えることにする。



「まぁ、この前討伐されたのが俺だよ。それで頭の魔角を奪われて死ぬより強烈な苦痛を受けたんだ。ただ魔角のかけらは残ったみたいでなんとか生き残れたって感じだ。それで土地勘が無かったからレベル上げつつ魔王の直轄地を出たんだ。」


「先日・・・と言いますと、4人の勇者に倒されたのがロッカク殿ということですか。しかし・・・その・・。」


「どうしたの?」


「いえ、その魔王とロッカク殿の印象があまりにかけ離れていると言いますか。討伐された魔王というのは各地に勢力を伸ばし、人間の世界を脅かし人間の勢力圏を半減させたとまで言われる熾烈な魔王だったので。それがこのような若い姿で、しかも・・・こう言うと失礼かもしれませんが、性格的に甘さがあるように感じます。私の思っていた魔王像とかけ離れていて・・・。」


「それはあるかも・・・私が習った魔王も同じだったし。人類最大の天敵って言われている魔王よね。記憶はないけど、一緒のパーティって言われても全然ピンと来ない。」


「んー・・・それに関しては正しい。俺は身代わりだったからな。」


「身代わり?」


「そう、俺の精神というか魂は魔王じゃない。気が付いたら魔王の体にいたんだ。俺の予想も入るが老齢になった魔王は自分の身代わりを勇者に討伐させることで力を蓄える時間を稼ごうとしたんじゃないかな。」


「それは・・・魔王の体に別の魂を入れたということ?そんなことが可能?」


「さぁ?実際、何代もそうしていたようだ。だから俺に魔王の記憶も技術も受け継いじゃいないし、そうやって強制的に魔王にされたやつはもれなく討伐されていたみたいだし。俺が生き残れたのも正直、偶然・・たまたまってやつだろうしね。」


「しかし、魔王の体に移るだけでもかなりの力を引き継いでいるのでは?実際、かなり戦い慣れているように感じました。」



 少し不機嫌そうに反論しておく。



「それはない、本当に受け継いではいないよ。俺が魔王として目覚めたときにはLv1の雑魚だったからな。とりあえずレベルを上げることだけ考えて行動してたから今があるんだよ。何もしなければ勇者に殺されるだけだったからな。」


「そうですか、それは失礼しました。今の力は努力して手に入れた物だったんですね。」


「さて、とりあえず話すべきことは話した。その上で、行動を共にするか聞かせてくれ。嫌な場合はここでお別れだ。奴隷契約は解消する。シェーラも嫌だというならここで別れるよ。」



 皆の顔を見渡しながら切り出す。どんな答えを出すかはそれぞれに任せた。



「ついていく。」



 最初に声を上げたのは、リリィだった。特に迷うことなく速攻だった。



「いいのか?魔王だぞ?」


「私は魔王がどういうものかわからない。神・・ご主人様はご主人様。地獄から連れ出してくれた人についていくだけ。恩を返す。」


「儂も、同じです。今、こうして五体満足でいられるのもロッカク殿のお陰です。諦めていた全てを繋いでくれました。何者かなど関係ありません。むしろ数奇な運命の一端に触れられて面白いとも感じますよ。」


「わ、私だってもちろん行くわよ!この旅自体私が原因なんだし。それになんか世間知らずっぽいし、私がいないと危なっかしいでしょ。」



 そんなシェーラの言葉を聞いて笑ってしまった。



「なんで私の時は笑うのよー!」


「だってシェーラも十分世間知らずっぽいし、同じくらい危なっかしいって。」


「むー!いいの!これから知っていくんだから!これでも勉強は出来るんだから!その知識は必要でしょ!?」


「そうだな!頼りにしてる。皆、ありがとう。」


「ふん、これからもよろしく頼むわ。」


「そうですな、宜しくお願いします。」


「ん、よろしく。」


「よし、じゃー目指すは交易都市だな。」






 ここ数日のことに思いを馳せていたら、交易都市までもう間もなくというところまで知被いたようだった。魔物が踏み荒らした後を辿るだけだったから、迷うこともなかった。途中には行軍・・・というか暴走に巻き込まれた野生動物や人や亜人の姿もちらほら見られた。


 

 この勢いで都市まで行くとなるとさすがに大きな都市といえ無事だとは言えないかもしれない。一抹の不安を覚えながら歩を進める。



 丘を越えたところでバリアルが立ち止まる。



「見えました、あれが交易都市シャン・フレーシュです。北門と南門、東門があり西側は内海となっていま

す。本来だとあの西門から伸びる街道を通って行くはずでした。」



 今は南門と西門の間、街道からだいぶん離れた小高い丘に俺達はいる。その眼下には交易都市が見えている。



 丘から見えるその都市は三層構造になっているようだ。中心に行くにつれて強固な壁で守られているのが第1層貴族街、ひと際大きいのが領主の館だろう。その周囲には兵舎や軍事施設と思しき建物が見受けられる。そのさらに周囲には第2層一般街、それを囲む城壁には等間隔で黒く巨大な柱が8本あり、魔術的な防御機構があるということだ。詳しくはバリアルも分からないようだが魔物を寄せ付けない効果があるらしい。


 

 ここまでが強固な城壁と魔術により守られた街になる。しかしそのさらに外周にも街が広がっている。それが第3層外苑街。主に亜人達や外様の商人たちが暮らす街だ。平時であれば特に問題なく暮らせていたはずだ。魔王の影響も少なく強固な防壁が無くても大きな被害が起こることもなかったということだが、今回はそれが仇となったようだ。



 防壁はグルッと外苑街を囲んではいるが、あの数の魔物を抑えられるような壁はなく所々木造の柵だったりお粗末としか言いようがなかった。



 第3層外苑街ではあちこちで火事が起こっている。特に南門が酷いようだ。第2層の一般街には火事は起こっていないところを見ると、外苑街と一般街を繋ぐ門は閉じられているのかもしれない。



 キルトは比較的差別は少ないと言っていたが、住みわけが出来ているというだけのようだ。



「このまま、進んでもどうしようもないな。」


「あの中に飛び込むのは・・・死にに行くようなものでしょう。それに先日の魔族もいるようなら・・・。」


「自殺行為・・・だよなぁ。」


「はい。」


「でも、行かないわけにはいかない。となると、まずはあの魔族がいないことを確認したいな。」



 こういう事態は想定内だったから対策は考えている。上手くいけばいいけど。



「ちょっと待っててくれ、確認が出来るかもしれないから。」


「確認が出来るってどうするの?」


「ん、期待はするなよ。もしかしたら出来るってくらいに思っててくれ。」



 土魔法を発動させ円柱を2本作り、水魔法を重ねて発動させ、3枚のレンズを作り出す。昔、夏休みにやった工作が役に立つなんてな。大人になってからは自作キットを買って作ったのも記憶に新しい、いい思い出だ。焦点距離もある程度覚えていたのでそれほど苦労することなく完成させることが出来た。



タラララッタラ~望遠鏡~!(倍率80倍)



 ここからはおよそ5キロほど離れているが、あの魔族は全身黒ずくめだったし目立つ格好だったから多分、発見は出来ると思う。覗き込んでいると・・・おっ!発見した。



 ん?ひと際大きいゴブリンに何か指示を出したような・・・あっ飛び立ってしまった。これはもしかして部下に任せて自分は戦線離脱?希望的観測かもしれないけどそれなら付け入るスキはあるか?



 俺がブツブツ言いながら、望遠鏡から目を離すと皆がこっちを見ていた。そういえば何をしていたか言っていないな。



「どうやら、あの魔族はどこかへ行ったみたいだ。」


「それは・・・。」


「なんでそんなことがわかるのよ?」


「これを覗いてみな。」



 そう言ってリリィに望遠鏡を渡す。最初恐る恐る覗いていたが、そのうち釘付けになったようだ。



「なになに?何が見えてるの?私も見たいー!」


「ほら、次はバリアルにも見せてやって。」


「ちょ、意地悪しないでよー・・・。」


「順番順番。」


「これは・・・魔道具ですか?これほどの距離を眼前に捉えることができるとは・・・。」


「近くに見えているだけだ。だから、相手にも気づかれないと思うぞ。それで、あのデカいゴブリンに何かを話しかけた後にあいつは飛び去ったんだが、どう思う?」


「いくつか考えられますが、おそらくは攻略が時間の問題だと考えたか、もしくは目的を達したか、でしょうな。司令官がその場を離れることは拮抗している状況では考えられません。」


「やはりか。なら、残りをどうにかすればいいってことか。」



 そんなシリアスな会話をしている脇でシェーラの興奮した声が聞こえてくる。



「はわわわわ!こんな近くに魔物がいるなんて!早く移動しないと!ロッカク!ねぇ聞いてるの!?」


「いいから、望遠鏡を離せ!こっから離れてるから!な!どうどう!」


「あっ・・・いない?・・・人を暴れ馬みたいに扱わないでよぅ。」



 望遠鏡を影箱に収納し、それから話をまとめて魔物が攻めている南門は避けて東門から第3層外苑街に入ることになった。




名前;(仮)シェーラ(シエスタ・レ・カストル)

性別:女性

年齢:15

職業:無職(盗賊)

Lv:14

HP:160

MP:90

スキル:体術Lv3 短剣Lv1 火魔法Lv2 風魔法Lv2 礼儀作法Lv3 隠密Lv1 索敵Lv1 

固有スキル;不幸招来

称号:お人好し 不幸招来

B:84(-10) W:55(-4) H:80




名前:バリアル・クロール

性別:男

年齢:62

種族:人族

職業:騎士

Lv:86

HP:800

MP:400

称号:騎士(奴隷)

スキル:怪力Lv3 頑強Lv4 剣術Lv5 大剣術Lv5 体術Lv5 鉄壁Lv3 自己犠牲Lv3 統率Lv5 指揮Lv4 先読みLv4 火魔法Lv3 

武技:強打 大旋風 盾打 鉄壁 


 ステータス的にはあの魔族とバリアルは拮抗しているがHPやMPだけでは越えられない壁が魔族と人族にはあるらしい。バリアルもかなり強いんだけどそれでもダメか。


ついでにリリィはこんな感じだ。


名前:リリィ・リーズフェルト

性別:女性

年齢:12

種族:針狐人

職業:家事手伝い

Lv:11

HP:120

MP:60

称号:奴隷

スキル:忍び足Lv1 軽業Lv2 聞き耳Lv1 風魔法lv1

固有スキル;(針)(防衛針)


名前:ロッカク

性別:男性

年齢;15

種族;人族

職業;盗賊(ギルド所属)

Lv:5

HP:100

MP:80

スキル;闇魔法Lv2 水魔法Lv2 土魔法Lv2 雷魔法Lv1 長斧Lv1 怪力Lv1 索敵Lv1


詐称・隠蔽スキルをしようしなければこうだ。


名前:ロッカク

性別:男

Lv:42

種族;魔族

職業:盗賊

HP:1800

MP:3000(※※※※)

スキル:鑑定LvMAX リスニングLvMAX 隠蔽Lv7 詐称Lv3 長斧Lv3 水魔法Lv6 土魔法Lv7 暗黒魔法Lv5 光魔法Lv7 雷魔法Lv1 物理魔法Lv5

痛み耐性(物理)Lv5 痛み耐性(精神)Lv2 不屈Lv5 魔力変換Lv3 自己再生Lv2 怪力Lv5 

称号:ぼっち魔王 角なし魔王 憤怒の魔王 職なし魔王



ん?物理魔法っていうのが追加されている。なんじゃこら?



鑑定で詳細を見ておこう。



物理魔法;この世界の理とは別の世界の理に基づいた魔法。魔典ヴォイニッチの科学書を理解しその理を創造しこの世界に発現させることが出来る。想像を魔力で形どることで歪めて発現させることも出来る。その効果範囲は想像力の及ぶところまでに至り魔力次第で無限ともいえるエネルギーを得ることができる。ただし扱いには理解と応用、想像力、莫大な魔力を必要とするため、扱えるのはごく限られた才能を持つ者のみと言われている。



 お、おう・・・物理ってまんま現代日本の物理だったのか。どうりで物理の教科書に似ていると思った。まさか、こっちに来てまで物理の勉強しないといけないなんて。とはいえ、あの科学書の内容は物理ってカテゴリー分けされているわけじゃなかったし、さっきの望遠鏡だって他の魔法を組み合わせているからな。それだけで発動できるのかわからん。想像力って言ってる時点で物理からはだいぶん離れる気もするし。んー謎魔法にはかわりないか。



 おっと、街に入る前に暗黒魔法の幻術で髪の色の認識阻害をしておかないと。




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