第3章:交易都市in魔王08
第3章:交易都市in魔王08
そういうわけで、貴族を襲い俺達にも襲い掛かってきた盗賊の鑑定をしているわけだ。俺の仮面を見て襲い掛かってきたところを見ると、もともとは俺達が狙いだったのかな?なら貴族は巻き込まれたってところか、ご愁傷さまだな。
名前;レステ
年齢;45
性別;男性
種族;人族
職業;凶賊・隊長
Lv;34
HP;250
MP;130
スキル;急所付きLv2 忍び足Lv2 気配察知Lv3 暴虐Lv2 恫喝Lv2 火魔法Lv2 暗殺術Lv1 薬物知識(毒依存)Lv1 剣技Lv3
武技;4段突き
とりあえずスペックだけ見たけど、剣技が高いな。どっかの騎士崩れってとこか。他の4人もこの隊長の男に比べたら能力的に低い。5人もいたら街に引き渡すのも苦になるな。
「ロッカク殿、どうされました?」
「いや、ちょっと二人を連れて離れててもらえる?あんまり見せたい場面じゃない。」
「は、わかりました。・・・そうそう、犯罪者や賞金首はギルドカードに登録が出来ます。その者の血を一滴垂らせばそれで完了です。複数のカードに同一人物は登録は出来ないのでご注意を。」
「おい、起きろ。」
腹部にヤクザキックをお見舞いしながら声をかける。呻きながら、頭目が目を覚ます。
「ぐぅ・・・な、何しやがる・・・。」
反抗的な態度だが力がない。半ば諦めているんだろうな。
「一応聞くが、雇い主は誰だ?」
「はっ!教えるわけないだろうが。」
分かり切っていたがなぁ。迷うことなく人差し指を関節とは逆のほうに曲げてやる。鈍い音共に隊長の男の額に球の汗が浮かぶ。
「次もいっとくか?」
「ど、奴隷商だ!あいつに頼まれたんだよ!霊薬と奴隷の女を連れて来いって。」
「それだけか?」
「そうだよ!それだけしかしちゃいねー。もともとこんな仕事も初めてなんだよ・・・なぁ、見逃してくれよ、頼むよ。」
「凶賊が言う言葉じゃないな。」
その言葉を聞いて男の顔が歪む。自分が凶賊であることが知られているとは思ってもいなかったようだ。これ以上は時間の無駄だろう。男が使っていた山賊刀≪マチェット≫で首を撥ねる。気絶している盗賊にも止めを刺していく。自分のギルドカードに血を垂らすと背面に討伐リストとして男たちの情報が記載される。便利なものだな。
これは全人類の情報がどこかでデータベース化されているってことなんだろうか?異世界クオリティーに驚きを隠せないが、便利機能は利用させてもらおう。
皆のところに戻ると、まだ貴族が喚いていた。なんなんだこいつ、意外に元気じゃないか。
「おい、お前たちが遅れたせいで侍女が死んだのだ。その賠償はしてもらいから、そのつもりでいろ!それから馬車はまだか!?全く平民は気が利かん。」
「バリアル、そっちも盗賊のカード登録は済んだ?」
「はい、終えております。二人とも、特に問題ないようです。」
「そうか・・・盗賊は報いを受けて死んでもらった。」
「う、うん。」
「・・・。」
一応、これからの方針は話しておかないといけないんだろうな。
「俺は降りかかる火の粉は払っていく。敵対する者は排除する。そのつもりでいてくれ。」
「わ、分かってる。冒険者だもんね。」
「ん。」
「改めて言われるということは、これからもこういった手合が出てくるかもしれない、ということですか?」
「しばらくは大丈夫だろうと思うけど、今回は奴隷商が差し向けた奴らだったみたいだ。二人の傷を治したのを霊薬でやったことにしたから、それと奴隷二人を取り戻そうと狙ったことみたいだな。リリィは見違えるくらい可愛いからな。」
それを聞いて表情は動かないが、3本の尾がパタパタと揺れてる。なにこれ可愛い。
「主人が死ねば、野良奴隷ということで所有権は放棄されます。それを狙ったんでしょう。」
「そうか、俺を狙ってきたんだな。また来るかもしれないってことだけ、頭においててくれ。」
「分かった、次は私も戦うから。」
「・・・まずは腰が引けるところから改善が必要だけどな。」
「こ、腰が引けてる?そうかな?」
「ビビり過ぎだ。って言っても仕方ないことか。実践初めてか?」
「・・・うん。ある程度護身術は習ってはいたけど。」
「では、私が後でどのくらい戦えるか見ましょう。」
「頼むよ。」
そう言って、旅を再開しようとするとまた怒号が響き渡る。誰かって?バカ貴族しかいないよな。
「私を置いてどこに行く気だ!?馬車を用意しろと言っただろうが!」
「・・・お前さ、うるさいよ。」
まだ手に持ってた山賊刀を向けながら、睨みつける。ビクッと肩を震わせながらも反論してくる。
「はっ!獣人混じりの冒険者パーティ風情がガーユー家の者に立てつくとはいい度胸だ!我が騎士団が直々に捕縛してやるから名を名乗れ!」
馬鹿か・・・捕縛すると言われて名を名乗るとでも思っているんだろうか?シェーラも呆れた顔をしている。うん、バカ確定だ。
「それはすいません。私はグランという者です。では、そういうことで、失礼します。皆行くぞ。あっそうそう、ここから街までだと1日くらい歩けば着きますから。」
「え?は?ちょ、ちょっと待て!馬車は!?」
「あるわけないでしょう?私たちはここまで徒歩で旅をしてるんです。下賤の者と一緒にいると貴族としても不味いでしょう?なので先を急がせてもらいます。」
「確かに下賤も者どもといるところを見られるとまずいか。」
ガーユーとかいう貴族が俺の仮面を見ながらブツブツと呟いている。あんまり気分のいいものではないが、この隙に置いていこう。面倒くさいし。振り返りジェスチャーで置いていくことを伝えてそっとその場をあとにする。しばらく行って振り返るとまだブツブツいっているようだ。やっぱりバカだったんだな。
「よろしかったのですか?」
「ん?迎えに行くか?」
「ぜっったい嫌!あんなのと一緒に旅なんてまっぴら!」
「シェーラがそんなに嫌がるなんてなんかあったか?」
「だって・・・ねぇ、リリィと私をいやらしい目で見てたんだもん。」
「・・・ん。見てた。」
「よし、顔の形が変わるまでぶん殴ってこよう。」
「まぁまぁ、貴族というのは理不尽なものですから。」
「・・・ま、どこの世界も権力を持つと碌なことにはならないからな。」
含みを残す言い方をするバリアルだったが、あえて聞くことはせず。貴族が追いかけてくるかもしれないので先を急ぐ。
街道沿いに見えている岩陰で野営を行うことにして、今日も分担して準備を行う、昨日に比べたらだいぶん手馴れてきた気がするな。
硬い干し肉と塩味の濃いスープという質素な食事だ。というか、不味い。これがしばらく続くと思うと気が滅入る。
そういえば、俺は影収納≪シャドウボックス≫が使えるんだから生鮮食品も入れてれば良かったな。あっダメか、奴隷とはいえバリアルとリリィに見せると後々面倒かもな。せめて肉くらいはどこかで調達したいところだ。
「ところでロッカク殿。私が見たところレベルと強さがちぐはぐな感じがするのですが。」
顔には出さないがちょっと焦る。何しろ、バリアルには鑑定なんかなかったはずだ。高レベルになると相手の強さとかを感じ取れるようになるのかな?ありそうだ、達人が相手の力量を感じるみたいなアレか。
「間違いじゃない、その通りだ。」
「そうでしたか、あの盗賊たちをやり込めた動きは駆け出しの冒険者の動きではありませんでしたから。それに思い切りもいい。」
「んだよ、褒めてもこれ以上の食事はないぞ。」
「それ、私も思ってた!私とパーティ組んでたってことだけど、私があそこまで強くなれる気がしないし。」
「あれ?全然誤魔化せてない?」
「あれ見せられたらね、というか早すぎて見えなかったんだけどね。」
「見てた?」
「私が馬車を切る前まで様子を伺ってました、流石に5人も盗賊がいるのに突っ込むなんて思いもしませんでしたから。隙が出来たら飛び出すつもりでした。その機会は来ませんでしたが。」
「神様は・・・強いのです。」
「リリィ、俺は神じゃありません。」
リリィの頭を撫でながら窘める。そっか、バレバレか。まぁ隠すつもりはハナからないけど。
「我々は奴隷ですので主が何者でも構いません。その仮面も訳があっての物でしょうから。」
「そうね、私の為に交易都市まで行ってくれるんだし、関係ないよ。悪い人とも思えないしね。」
「悪い人かはわからんでしょうが、乳を狙っているかもしれんのに。」
「なっ!」
両手で胸を隠しながら顔を真っ赤にしたシェーラに睨まれる。
「大きい胸のほうが・・・いいの?」
「リリィ、小さい胸がいいという人もおるからな、どちらも一長一短なのだよ。」
いや、バリアル・・・リリィに変なこと教えないように。
「さて、ロッカク殿シェーラさんの鍛錬はいかがしますか?」
「そうだな、腹ごなし程度に頼めるか?」
「では、まずは実力がどの程度か知りたいので組み手から行いましょうか。」
「望むところよ!」
目的地まではまだまだかかるから、その中で少しでも前の実力に近づければいい。そんな風に軽い気持ちで組み手を見学することになった。
なかなか都市にまでたどり着きませんがのんびり読んでください。




