第3章:交易都市in魔王03
第3章:交易都市in魔王03
薄暗い照明に照らされた中に入ると、据えた匂いが鼻に付く。何の匂いかはあんまり考えたくないな。思ってたより清潔感はあるようだ。匂い意外だけど。最初の部屋は受付があるだけでそこまで広いとは言えない。
「いらっしゃいませ。あの初めての方ですか?最初の受付をしていただきたいのですが。」
「え?あ、あの・・・。」
「これは失礼。今日は購入に来ました。これは盗賊ギルドからの紹介状です。」
「どうも。」
チラチラと俺の仮面を見ながら、紹介状を受け取ってくれる。色んな客がいるんだろう、あえて仮面に言及したりすることはない。お互い不可侵ってことだろう。シェーラは緊張気味に俺の後ろまで下がってきている。やっぱり慣れないと怖いらしい。人が売り買いされる場所なんだし当たり前か。
「確かに。シャン・フレーシュまでの道案内が出来る奴隷ですか。」
「えぇ、出来る限り安いと助かります。旅の準備もありますから。」
受付は興味なさそうに、呼び鈴を鳴らす。するとメイド服を着た妙齢の女性が現れ奥へと促す。
「では、こちらでお待ちください。」
「はい。」
案内のメイドは待合室まで俺たちを通すと、すぐに退室した。案内された部屋は10人ほどが待てるくらいの部屋だ。なんか風俗の待合室って感じだ。行ったことはないんだけどね。俺たちの他に人はいない。それもそうか、まだ朝。むしろ今日最初の客だろう。こういう店って夜やってるイメージだったが一応、開いているのな。
「こ、こういうとこ・・来たことあるんですか?」
「いや、ないよ。初めてだな。」
扉の外から近づく足音と話し声が聞こえてくる。
「ったく、こんな早くから奴隷買いに来るって誰だよ!」
「そうおっしゃらないでください。他の奴隷商はまだ来ておりません。宜しくお願いします。」
「分かってるよ!」
「歓迎はされてないんですね。」
「朝早いからな。奴隷の準備も出来てないのかもな。」
そんな話をしていると、扉が勢いよく開け放たれた。
「朝早くからいらっしゃいませ、お客様!私は奴隷商のカッツと言います。以後お見知りおきを。本日はどういった奴隷をお探しでしょうか?」
慇懃無礼の態度にシェーラは委縮してしまっている。
「朝早くから申し訳ないが、奴隷を買いたい。聞いているとは思うが交易都市までの道を知っているものだ。出来るだけ安いと助かる。」
「そうでございますか!交易都市まで行かれるのですね、道を知っている者はそう多くありませんが、準備してきますので少々お待ちを。」
奴隷商が部屋を出ていくとシェーラが大きくため息をつく。
「はぁ、ドキドキした。」
「なんだ、好みのタイプだったのか?」
「なんで、そうなるんです!そんなわけないでしょう!?」
「冗談だよ、わかってるって。」
「もう、からかわないでください。」
そんな話をしていると、奴隷商が戻ってきた。またシェーラが背筋を伸ばして奴隷商を見据える。
「それではご案内いたします。ご要望の安い奴隷達がいるのが地下の部屋になります。」
「なぜ地下なんだ?」
「なぜ・・・ですか。高い奴隷はすぐ売れますから、見学しやすい近い場所のほうがいいです。安い奴隷はそれこそ求める人自体が少ないんですよ。」
「安いほうがいいと思うんだが?」
「物ならそれでもいいでしょう。だが、人間だと犯罪奴隷や見た目に難がある者が多いんです。あとは訳ありの奴隷もいますので、中々売れないんです。」
「不良在庫ってとこですか。」
「・・・ふふ、理解が早くて助かりますね。あまり売れる目途も立たないので買ってくれるなら、ぜひ売りたいんですよ。」
そんな俺とカッツのそんな会話を聞きながら、シェーラは嫌悪するようにこちらの背中を見つめている。これはあれだ、絶賛好感度降下中ってやつだ。嫌な役回りだな。だから連れてきたくなかったんだけど・・・。
「こちらです。では小窓から覗いていただいて気に入った者がいれば声をおかけください。詳しい情報が欲
しければ声をおかけください。」
「先に情報を教えてほしいんだけど。」
「まぁまずはインスピレーションを大事にしてほしいので、ね。」
「それは、そうかもしれないか。」
「では、ごゆっくり。」
そう言って、後ろに下がり壁まで行って控えている。こちらが声をかけるのを待つようだ。一応聞いておくか。
「シェーラは何か希望はあるか?」
「希望?私の?・・・・・・・普通の人?」
「・・・奴隷商が扱う不良在庫に普通の人は・・・いるのか?」
「あっ・・・そうなのかな。」
「まぁ、希望は分かった善処する。」
「うん。」
最初の扉に付いている小窓を見る。中に右手を肩から欠損している獣人が一人。ガタイは良いが目がすでに諦めているというか、奴隷に反骨精神を求めるのも無理な話か。このフロアにいるということはすでに買い手が皆無だと言っているようなもの、奴隷として買い手が付かなければ自分で自分を見受けすることも出来ない。つまりはそういうことなんだろう。
一応、鑑定しておくか。
名前:イグン
性別:男性
年齢:30
種族:獣人(犬人族)
Lv:12
職業;奴隷戦士(身体欠損)
HP:150
MP:60
スキル:怪力Lv1 強硬Lv1 火魔法Lv1 長剣Lv2
戦力としてはレベル相当。身体欠損状態か、状態異常みたいな表示だけど治せれば相応の戦力か。だけど、メリットは何もないな。シェーラも身体欠損を見て声が出ないようだ。
「次だな。」
次の扉には女がいるようだ。よく見ると皮膚に鱗がある、獣人?いや違うのか?もっとや性的な・・・?向こうはこちらに気付いているようで値踏みするように見つめている。
「なんだい?買うのかい?」
「まだ検討中だよ。」
「買うつもりなら媚びるけど、買う気になったら声かけな。」
「サバサバしてるんだな。」
「こんなところにいるんだ、性格だって変わるさ。」
「ところで獣人か?」
「へぇ・・・どう見える?」
「さてな。」
本人からは聞けそうにないので鑑定で確認しておく。
名前:ミヤリーサ
性別:女性
年齢:33
種族:リザードネス(蛇鱗族)
職業:奴隷戦士
Lv:14
HP:220
MP:140
スキル:俊足Lv1 水中歩行Lv2 水中呼吸Lv2 槍Lv2
リザードネス?リザードマンは男だから女はリザードネスなのか?っていうかもともと魔族じゃなかったか?そんなやつを奴隷として使役するのはどうなんだろうな。ただでさえ見た目が仮面つけた怪しいなりの俺が魔族を奴隷に・・・。怪しさに磨きがかかるな。
「ところで、シャン・フレーシュって都市までの道は分かるか?」
「あぁ?それは分かるが行きたくないね。」
「行きたくない?」
「そこで奴隷にされたからね。近づきたくない。・・・だから私を買うのは止めとくれ。じゃーな。」
そう言って壁のほうを向いて眠る態勢を取られる。本人があの調子じゃ道案内にかこつけ他の街に連れていかれるかもな。俺達には道が間違っててもすぐには気付けないだろうな。なら、戦力的にはまずまずだが却下だな。
「次の部屋か、ん?次が最後か。シェーラ大丈夫か?」
「え?・・え、えぇ・・・大丈夫。」
やっぱり、刺激が強かったみたいだ。雰囲気に飲まれてるのもあるがさっきから俺の服の裾をずっと握りしめている。子供返りしている印象もあるな。あんまり長居は精神衛生上よろしくはないな。
「もう少し付き合ってくれ。」
「う、うん。」
さてさて新キャラですが、どんな人が来るのかはお楽しみに。




