第3章:交易都市in魔王02
第3章:交易都市in魔王02
「あの、やめてください。ほんとに・・・人を呼びますよ!」
「おいおい、気取ってんじゃねーよ!一緒に酒でも飲もうって言ってるだけじゃねーかよぉ。酌でもしていけや。」
部屋にいろって言ったのに、出てきたのか。そろそろ冒険者連中も帰ってくる頃だしシェーラみたいな美人が一人で酒場にいたら絡んでくれって言ってるようなもんだろうな。おっと今は美少女か。ん?そっちのほうが需要あるんじゃないか?
「その辺に・・。」
「やめてくださいって・・・言ってるでしょ!!」
シェーラの腰に手を回そうとした男の手を肩に巻き込むように掴み腰を男に密着させるようにして力が抜けたところを腕を引き込むように前かがみに・・・これは一本背負いか?そう思ったのも束の間、2mを超えるかという大男をシェーラが投げ飛ばし地面に叩きつけた。男は一瞬のことで目を回している。男の仲間も何が起こったのかわからず開いた口が塞がらないって顔だ。
「おい、シェーラ。そろそろ、部屋に戻らないか?」
「あ、ロッカクさん。おかえりなさい。」
「ほら、いくぞ。」
途中、厨房に上に食事を頼み部屋に戻る。ちらっと絡んできたやつを見るとオーハンだった。あいつとはほんと縁があるな。こっちは面倒だから遠慮したいのに。
「さて、部屋にいるように言ったのにどういうことなのかな?」
「だっていつまで経っても帰ってこないから・・・。」
「・・・それはすまん。でもな、さっきみたいなことがあるから出るなって言ったんだぞ?さっきは相手が危害を加えるつもりがなかったからいいけど、そうじゃなかったらどうする気だったんだ?」
「だったら・・・早く帰ってきてくれても・・・。それに。」
「それに?なんだ?」
「・・・・・・・・置いて行かれたのかと思って・・・。」
そうか、今頼れるのは俺だけ。それなのに俺が長時間留守にしたから不安になったのか。今のシェーラは相手が自分を知ってても自分は知らないわけだから話しかけられても不安なだけだしな。それでも俺を探しに出たのはそれだけ不安だったってことなんだろうな。
そういう結論に至り、無造作にシェーラの頭を撫でる。
「あっ・・ちょっと・・・もう。」
「あぁ、すまん。不安にさせたな。とりあえず今日は飯食ってから明日からの話をしよう。」
「なんだか、誤魔化された気がしますけど・・・お腹が空いたのでご飯というのには賛成です。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「反対です!!!」
「ちょ、まだ詳しく話してないじゃないか。」
食事が終わって、今後のプランについて説明しだしたところでシェーラが断固として反対だと言ってきた。何が反対ってもちろん奴隷のことだ。
「なんでそんなに反対なんだよ。」
「だって奴隷って言ったら、買いにくる男性の目的なんてエッチなことに決まってるじゃないですか!!」
「ちょっと待て!話聞いてたか?道案内だって!俺もシェーラも道わからんと目的地まで行かれないだろ。」
「それはそうですけど、そんなの案内人を雇えばいい話です!」
「その案内人の当てがないから道を知ってる奴隷を買おうって言ってるんだ。」
「それでも・・・きっとかわいい女の子を買いに決まってます!」
「決まってない!」
「本当は?」
「決まってないって!」
「道を知ってるかわいい女の子と道を知ってるおじいさん。とっち買います?」
「かわいい女の子。」
「ほら~~!かわいい女の子買う気だぁ!!不潔だぁ!不純だ!変態だ!包茎だ!」
「誘導尋問な上にいろいろ酷い!最後のは訂正を要求する!」
「うるせーぞ!!」
「す、すいません。」
結局、奴隷は買う。女の子はきっと高くて買えないから、今回は安くて道を知ってる人を買う。安い女の子がいたら買うかも?ってとこで隣の部屋の人に怒鳴られて話半ばで切り上げることになった。結構、話し込んでたから夜遅い時間だ、隣の人には申し訳なかったな。
ちなみに同じ部屋ではないので俺は自分の部屋に戻った。シェーラは同じ部屋でもいいということだったがミリア隊から普通男女は別々だと言い含められ渋々納得したって経緯がある。まだ、一人で寝るのは不安があるんだろう。というか、一緒に寝たら俺の理性は保ちません。あしからず。
にしても、この世界に来て早4か月か。もうはっきりした日にちも分からんが、とりあえずは生きていけるような気はする。まだまだ不自由が多いのは難点だがな。一応、勇者も元の世界に帰ったことだろうから俺が直接狙われるってこともないかな。復讐の相手が手の出せないところに行ったのは残念だけど、命の危機は去った・・・はず。
なのになんだろうな。もやもやするな。そうか、ノエルに裏切られて、街でもぞんざいに扱われて・・・これでハイ終わりっていうには、いかんわな。そんなに人間出来てない。魔王だけど。ってか、いつまで魔王の肩書あんだよ。俺には魔角もないただの黒髪の男の子なんだがな。そのうち、消えるのか??
とりあえずはもう少し身を守ることに特化したほうがいいな。仲間を守れないと困る。今のシェーラは黒髪の俺も仲間とみてくれるのか。もんもんとしながら夜は更けていった。
次の日、朝になり扉を開けるとシェーラが立っていた。入ってこないで何をしているんだ?
「えっと・・・おはよう?どうした、そんなところで。」
「いや、こっそり買いに行くかもって思って・・・待ってた。」
「そうか・・・なら行くか」
「はいっ!」
朝市が出ている通りを出店を冷やかしながら奴隷商の館へと向かう。昨日のうちにキルトに紹介状と場所を聞いていたので、迷うことなく向かう。俺もシェーラもそういったところには行ったことがなかったので奴隷商館に着いた時には少し緊張した。
路地に入って少し行ったところに人目を避けるように建つ奴隷商館。現代日本に生きていた俺には馴染みがないがこの世界では合法、犯罪を犯した者の刑罰にも利用されるし借金で首が回らなくなっても世話になることもある。
ただ、やはり一般人にはあまり馴染みがある場所とはいえないようだ。人の命が現代より比べ物にならないほど軽いこの世界でもそれは変わらない。
「ロッカク・・さん、ここですか?」
「そうみたいだな、さて行こうか。」
「えぇ?もう・・・ですか?」
「もう・・って、入らないと話が進まないだろ。」
「うぅ・・怖い・・。」
怖いって。何を可愛らしいことを・・って前ならともかく圧倒的に経験が足りてない今のシェーラは新人冒険者以下の素人に感じられる。むしろ服装を整えたら良いとこのお嬢さんと言われても疑わないな。そういえば、苗字持ちだし本当に貴族なのかもな。
「ロッカクさん!ほら、ぼーっとしてないで入りましょう?」
っと、考え事をしてたらシェーラが扉を開けながら声をかけてきた。あれ?さっき怖いとか言ってたのに、度胸があるんだかないんだか。俺も入ろう。
「待ってくれよ、シェーラ。」
なかなか出発とはいきませんがご容赦ください。
そのうちちゃんと出発しますので。
よろしければブックマークをお願いします。とても励みになります。




