第2.5章:暗躍する者
今回は登場人物が多いですが、今後の展開のためにあえて名前は出していません。読みにくいとは思いますがご了承ください。
第2.5章:暗躍する者
とある都市、暗く深い地下の長い通路を通った先、円卓に集まる数人の人影。そこには灯りはなくお互いの顔は見えない。ある者は円卓をトントンと叩き苛立たしげな表情を、またある者はその様をニヤニヤと眺め、またある者は興味なさげに虚空を見つめている。
「それで、君の部下が官憲に捕まったと聞いたが、それはどういうことかな?」
「それは私も聞きました。工作員としては中々の腕の持ち主だったとも聞いてますが、誰がそれをやったんですか?」
「それよりその失態をどう責任を取るのかを伺いたいものだなぁ。」
「責任だと?・・・そんなものは命を持って償うものではないか?」
「まぁまぁ、それでこの現状をどうするのかを話し合ったほうがよろしくはないですか?一人で解決できないから皆を招集したのでしょうから、フフ。」
「ぐぬぬ・・・ええい、うるさい!此度の招集は今後の供物の徴収についてがメインだ!・・・今回の失態の報告も・・兼ねてはいるが。」
「なら、まずは今回のことから報告してもらおう。ほら、どうした。いつものように舌先三寸で言い訳してみよ。」
「・・・・・・・・くっ、今回はもともとテストケースとしてマイバイという辺境の村で冒険者をターゲットにして供物を集めていた。しかし、現れた冒険者と官憲により阻止された。以上だ。」
「あらあら、そんなお粗末な報告でいいとお思い??」
「では、私のほうから詳細を説明しましょう。調べさせてもらいましたのでね。」
「き、貴様!勝手に・・・!」
「まぁまぁ、熱くならないでください。ではご説明します。その前に、今回の方法に至る経緯ですが、それまでに行われていた魂の魔石を使った魂の収集では効率が悪いということで供物の祭壇の儀式を用いる方法にすることで数倍、効率を上げることができることが分かっています。そこまではいいですか?」
「ふむ、今まではその方法で行っていたがな。」
「私もその方法で行ってましたね、嫌いじゃない方法ですし。」
「そうなんです、今までは人海戦術でコツコツと魂を収集していました。時に戦争を起こしたりしてましたが、最近は情勢が安定してしまってテロくらいしか出来ませんでした。その結果、頭角を現した勇者一行に魔王様が討伐されるという憂き目にあってしまうわけです。我らにも魔王様が討伐されるとは夢にも思っていなかったという落ち度がありました。」
全員の顔に苦虫を噛みつぶしたような表情が浮かぶ。
「絶対者である魔王様が敗れるなど夢にも思わなかった我らにもその責はある。」
「そうなんです、なのでいち早く復活を遂げてもらうために我らは励まなければなりません。そのために、我らは魂の収集に躍起になっていましたが官憲の監視の目が厳しくなってきたため別の方法として街中で襲うという非効率的な方法から特定の村にギルドを通じて依頼を出し冒険者を供物として供物の祭壇の儀式の贄として利用しようとした。これが計画の概要です。」
そう話しながら皆の顔を見渡す。特に意見が出ないことを確認し満足そうに話を続ける。
「しばらくは順調に進んでいました。効率が上がったことで官憲に見つかるリスクも減り、魂の魔石を使うより遥かに効率よく魂の収集が進みました。しかし・・・。ここで誤算があったわけです。こちらが思っていた以上に強力な冒険者が依頼を受けてしまったということです。この点には見極めが必要になってきます。今後の改善点と言えましょう。・・・で、今回の捕縛を行った官憲は獣人を中心とした小隊のようです。もともと街中での失踪を負っていたようです。この失踪事件もどうやら我らの魂の魔石絡みだったわけですからもともとの火種も我らが撒いていたと言えなくもないですね。」
「確かにな、今までの行いで動きにくくなっていたのは確かだ。その捜査も今だ続いているわけだしな。」
「あら、なら不問にするのかしら?」
「不問?責任とは関係ないことだろう。責任は取ってもらわねばな。」
「えっと、皆さん。続きよろしいでしょうか。・・・で、今回の事件を受けて供物の祭壇の運用の方法も改善する必要があるというわけです。その改善点として担当に複数の補助要員を付けることと冒険者の選定の時点でランクを制限すること。定めたランク以上の冒険者がいた場合は餌として撒いた依頼を達成させ追い返す。これで当面は大丈夫だと思います。」
「あー・・・なんだ、殺ってしまったほうが楽そうだがそれじゃダメなんだろうな。」
「そうですね、それだと今までと同じ。官憲に目をつけられてお終いです。」
「出来るだけ、細く長く行うことが肝心です。これはテストケースですので上手く行けばバリエーションを増やして魔王様の早期復活に繋げられればと思います。」
「で、では儂にチャンスをくれ!今度こそ上手くやってみせる!」
責任を追及され、黙り込んでいたが汚名返上したいと声を上げた。それまでワイワイしていた面々が剣呑な雰囲気を出している。丁寧に説明した男だけがニコニコとそれに同意するような表情をしている。
「という意見が出ていますが、皆さまどうでしょうか?」
「私は構わないわ。こちらのやり方は変えるつもりはないから、好きにしていいわよ。」
「まぁ、貴様が何をしようと構わん。魔角を手に入れるということは達成したのだし、今は不問でよかろう。次はないがな。」
「では、続いての報告ですがお陰様で先日無事に勇者を送還≪・・≫することが出来ました。決定事項とはいえ心苦しかったですが、これも魔王様の糧になると思えば・・・えぇ、本当に心苦しい。」
ニヤニヤとした顔でそう語る男を見ながら別の男が声をかける。
「ふん、顔と言葉が一致しておらんぞ。不気味な奴め。」
「おっとこれは失礼しました。では、そういうことで定例会は終了ということでよろしいですね。次の開催は追って知らせが行きますので、いつも通りに。」
「うむ。」
「うふふ、ではまたね。皆さま方。」
「・・・・。」
「では、私も失礼します。」
こうして、それぞれが居なくなった広間で罵倒されていた男が残される。
「くそ!儂のことを馬鹿にしおって!・・・・影よ、おるか?」
「はっ・・ここに。」
「邪魔した者を始末せよ。」
「それは容易いですが、官憲のほうは関係した者を消すと怪しまれる可能性があります。」
「ふん、ならば冒険者だけでも殺せ。儂の気が収まらん。出来るだけ惨たらしく生きているのを後悔するようにな。」
「はっ・・マグナ・カルタのほうはいかがしますか?」
「誰だ?」
「今回失敗した工作員です。」
「役立たずはいらん。」
「はっ。」
そう言い残すと影と言われた者は闇に溶けるように消えていく。陰惨な空気だけを残して。
なかなか定期的な更新が出来ずに申し訳ありません。初心者投稿者ということで大目に見てもらえればうれしいです。
とはいえ、もっとサクサク進む予定だったんですが思いのほか、詰まり詰まりでした。もう少しスピードアップできたらと思ってますです。




