第1章:無職からの盗賊へ05
義姉の結婚式で家を空けていました。また書いて聞きますのでよろしくお願いします。
pcの不具合からか、段落が上手くついていません。すいません。
第1章:無職からの盗賊へ05
「どうしたの?行くんでしょ?」
「周囲を探ってくれ。」
「!?、か囲まれてる!?」
「血の匂いにでも誘われてきたかな?」
索敵持ちのシェーラが気付かないっていうのは俺の索敵のほうが精度がいいってことなんだろうな。さて何者に囲まれてるか、だな。背後を取られないようにレッドボアの死体を背に警戒すると茂みから矢が放たれる。危なげなく叩き落とすシェーラの両手には一本ずる短剣が握られている。
ゲゲゲゲッ グゲゲッ
涎を垂らしながらニヤニヤした下卑た笑いをシェーラに向けながらゴブリン達が茂みから出てきた。そういえばゴブリンやオークは雑食で異種交配が可能だって話だったな。それで色気たっぷりなシェーラにそんな目を向けているんだな。それにしては数が多い気がする。最初は10匹程度だったのが今じゃ索敵には30匹くらい反応があるぞ?どうなってるんだ?
「ちっ!まさかいきなりこんなことになるなんて・・・。あんた、私が突破口を開くからそこから逃げな。」
「はぁ?置いて逃げるなんて出来るわけないだろ?」
「いいんだよ!これは私が招いたことなんだから!」
そうか、不幸招来ってのがあったな。それで不幸が引き寄せられるのか。でもなぁ。
「置いて逃げてシェーラはどうすんだよ?」
「私はきっと酷いことにはならないはずだよ。今までも私だけは無事だったから。」
確信はあるみたいだが、膝が笑ってるじゃないか。もし捕まったら・・・そんなことを考えてるんだろうな。今までが大丈夫だからって今回が大丈夫って保証はないんだ。なら、置いていくなんて選択肢はなしだ。
「そうは言ってもな、一妻多夫ってのは嫌だろう?目の前に未来の旦那がいっぱいいるが幸せがないなら送り出せないなぁ。お父さん泣いちゃう。」
「誰がお父さんだよ!・・・後悔しても知らないからね。」
「まぁ生き残ってからじゃないと後悔も出来ないからな。もし生きて帰ったらその胸思う存分揉みしだかせてもらおうか。」
「ふん、そういうのは生き残ってから言うんだね。」
俺が無駄口を叩いている間にも包囲網は狭まっている。とりあえず目の前のやつらから潰していくか。
ゴブリン達は簡単に獲物を狩れると思っていた。目の前にはレッドボアと肉付きのいいメスと若い男がいるだけ、対して自分たちは30を超える群れだ。負ける要素などない簡単な仕事のはずだった。それがすでに残り10匹を切ろうとしていた。いや、すでに5匹を切った。次は自分だろうか、逃げなくては。そう思ったゴブリンの意識は闇に閉ざされていった。
「そろそろ終わりだな。」
最初に無詠唱の土魔法で土槍を目の前の10匹に向け放つ。突然足元から出現した土槍に成す術もなく貫かれるゴブリン達。そこで一瞬の静寂が出来る。シェーラには援護を頼んで俺は槍を片手に浮き足立つ群れへと駆け出した。まず狙うのは弓を持つ奴だ。流れ矢にシェーラが当たる可能性もあるからな。その始末が終わればあとは混乱するゴブリンどもを各個撃破だ。その頃には、シェーラも短剣でゴブリンを切り裂いていっている。俺も訓練の成果を試すべく円の動きを駆使して捌いていく。槍も円の動きを混ぜることで相手の武器を絡めとり弾き飛ばす。危なげなく倒していき最後のゴブリンをやった時には周囲はむせ返るような血の匂いで充満していた。
最終的に数えると、43匹のゴブリンの死体が横たわることになった。辺りには赤黒い血だまりが出来ており、シェーラは息を切らして横たわっている。小さな傷はあるようだが致命傷はないようで疲労困憊の様子だ。俺もシェーラも返り血で赤黒く周囲に同化してしまっているな。
「横たわってはぁはぁ言ってるとまるで事後みたいだな。」
「はぁはぁ・・・はは、童貞が。はぁはぁ。」
「童貞ちゃうわ!」
お互い軽口が聞けるくらいなら、大丈夫だろう。ゴブリンの討伐部位の回収をしていく。回収が終わったら死体は土魔法でまとめて地面に埋めてしまう。これでしばらくしたら匂いも消えるだろう。
『体術レベルが上がりました。』
結構、動いたからかスキルレベルが上がったようだ。そのタイミングでシェーラが体を起こしている。
「あんた、何者なんだい?昨日とは別人もいいところだよ。あんな動き昨日は出来なかったのに。」
「昨日、シェーラに教えてもらったじゃないか。」
「は?あんだけで覚えられたら苦労はしないよ。」
「それはそうだな。でも綺麗な動きだったからさ、覚えたくて練習したんだよ。円の動き覚えたら攻撃の幅も広がるだろ?」
「私の流派の基本にして奥義だからね。ったく、一晩であんな動きされたらこっちの立場がないじゃないか。」
「何言ってんだよ。それがなかったら今頃どうなってたか。」
結果は変わらないだろうが、時間はかかっただろうなぁ。
「それに関しちゃ感謝してるよ。・・・パーティが生き残れたのは久しぶりだ。」
最後の呟きは消え入りそうだったが嬉しそうだった。備え名もなくあの数のゴブリンに囲まれたらそりゃ全滅するだろうな。
「まぁ、良かったな。ゴブリンの妻にならなくて。いや、この場合は行き遅れたことを悲しむべきか??」
「ん、喧嘩売ってるんだね。そうなんだね、買わせてもらおうか。あぁ?」
「まぁまぁ、小皺が増えるからもう帰ろう、な?レッドボアは俺が持つからさ。」
森を出るときには夕方になっていた。これから戻ると日が落ちた頃になるかな。シェーラを見ると血みどろだった。すっかりスプラッタ仕様だな。
ズズン
「疲れたかい?重いだろ、悪いね。」
さっきと違い申し訳なさそうに声をかける。心を入れ替えてどんどんデレてくるがいい。っとそんなことじゃないんだ。
「あー・・シェーラ。血で気持ち悪いだろ?綺麗にしてやるから、こっちに来てくれ。」
「いや、さっき拭いたし、拭いてくれなくても大丈夫だから。」
「えっと、そんな露骨に警戒しなくても・・・。」
「・・・そうじゃないけど。」
嘘つけ!後ずさってるやん!
「魔法で綺麗にするってことだから。」
「あ・・・あぁ!魔法ね!うん、そうだな。やってもらおうかな。」
何その反応。やっぱり信用ないんだな。まっ仕方ないが。俺は水魔法を発動させてシェーラの全身を洗浄していく。顔が真っ赤になっているシェーラだが、嫌そうではないからいいだろう。真っ赤な髪も洗浄していく、いつもボサボサにしているから念入りに洗い癒し効果を発動させる。水の中に汚れが出ているが、ゴブリンの血の他に汚れがかなり多い。
「ったく、女の子なんだから手入れはちゃんとしろよ。」
その呟きが聞こえたのか、耳が真っ赤になりながら反論してくる。
「仕方ないだろ!冒険者は髪にこだわる暇なんかないんだから。」
「それでもだよ、せっかくの綺麗な髪が台無しだ。」
「綺麗な・・・?なんなんだよ。なんなんだよ・・・うぅ。」
なんかブツブツ言ってるが後ろから髪の洗浄をしているから聞き取れない。言いたいことがあるならはっきり言えばいいのに。よし、終わり。
「終わったぞ。我ながらいい出来だ。」
ボサボサだった髪は今や手櫛も通るしなやかさだ。なんなら天使の輪も出来るだろうな。ふむ、もともとが美人だったからな。整えるとこんくらいにはなるだろう。満足満足。
「・・・・・・こんなに髪が綺麗になるなんて。」
「どうだ、恐れ入ったか?」
「あぁ、すごいんだな。水魔法って・・・。」
「他の奴が同じこと出来るとは限らないけどな。」
「そうか、もはやユニークスキルみたいだな。」
シェーラクリーン化計画も終わって予定通り日暮れに門番に会ったら最初シェーラに気が付かずに見とれていた。俺がいることでシェーラってわかってからはどう対応していいのかわからない様子だった。知り合いが美人に変わるとこんな反応になるのか。ふむふむ、面白いものが見れた。
ギルドに着くと正面の狭いドアからはレッドボアが入らなかったので裏口に回るようキルトに促された。
「確かにレッドボアですね。それにしてもかなりの大物でしたね!普通の1.5倍くらいありますよ!内臓とかは捨ててきたんですか?」
「え?必要だったか?」
「いえ、そういうわけではないです。ただ、わざわざそういう処理をする人はいないので。」
「そうか。まぁたまたまだよ。内臓あったら重いしな。」
「それもそうですね。では、クエスト達成の報酬をお支払いいたしますので、カウンターのほうへお越しください。」
ギルドの中に入ると、シェーラが不機嫌そうな顔で男たちと睨みあっていた。ギルドで揉め事とか勘弁してください。悪目立ちに拍車がかかるやん。
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