第1章:まずはどこへ行こうか06
ゆっくりと更新しますが、なんといいましょうかタブレットなので遅いです。すいません、よければベックマークをお願いいたします。
細く薄暗い路地のさらに奥、人が二人も並んで歩けば狭さを感じるような道をくねくねと進んだ先に道に面するように扉がある。看板は応あるようだ。花とナイフ?の看板だ。意味があるんだろうけど俺にはどうでもいいな。
前を歩いていた3人組が振り返りながら声をかけてくる。
「ここだ、入んな。」
扉を開けてくれて入るように促す。優しさのようだけど逃げられないように出口を固めるってことなんだろうな。と思いながらも素直に中に入る。造りは酒場と変わらないようだが掲示板もあるし買い取りカウンターもある、冒険者ギルドと似ているな。中は薄暗いながらも灯りはあるしそれなりに人もいるようだ。こちらを訝しむような視線は相変わらずだけど・・・。
「おい、シェーラさんはいるか?」
酒場の主人は顎で奥を指す。チンピラの目的の人物は奥にいるようだ。チンピラの一人がその人物に声をかけてくる。呼ばれて来たのは腰まで伸ばした赤い髪の美人だ。挑発的な切れ長の目に自信たっぷりの口元。露出の多い服装ながら動きやすさを重視し動きには隙が無いように見える。何より巨乳だ、服からこぼれんばかりだ。
「とりあえず、宜しく。」
友好的な笑みを浮かべながら手を差し出してくる。反射的に手を握り返す。
「あっ・・どうむぉ!!」
そのまま、投げ飛ばされ腕の関節を固められ首にはナイフを突きつけられ制圧されてしまう。すぐに解放されるが関節に鈍痛が残ってる。なんなんだよ。
「おぃ・・・いったい。」
「全然だめじゃねーか!こんなの素人以下だろ!」
「す、すいません!見た目からして才能ありそうだったんですけど・・・。」
「は!見掛け倒しもいいところだ!おら、にーちゃんもいつまで地べたに座ってんだい!邪魔だから立ちな!」
すんげー上から目線で俺に声をかけてくるが、別に嫌な感じはない。あっ別に美人に罵られたいとかではない、そう断じて違う。そんな性癖持ち合わせていない・・・はず。
「なんなんですか?いったい。」
赤髪の美人、シェーラとかいったな。彼女が言うには盗賊ギルドに有望な新人をスカウトするための面接みたいなものってことだった。洞察力や堪、とっさの対応力を見るものだそうだ。ちなみに俺は素人以下。あんなに綺麗に投げられたら返す言葉もない。
「お前達はもう一回り行っといで!」
「はぁ、最近はダメなのばかりだ。あんたももう帰っていいよ。」
そう言いながら奥へ引っ込もうとしている。ここでチャンスを逃がしたら身分証も仕事もなくなってしまう。それは困る!
「ちょ、ちょっと待って下さい!俺をギルドに入れてください!」
歩みを止めながらシェーラが振り返る。顔は心底面倒そうだ、だが引くわけにもいかない。
「あんたねー、さっきも言った通りさーあんたは素人以下なの。つまり役立たず、ここギルドは行ってみればプロの集まりなんだ。素人が入っても仕事なんてないよ、分かったら帰んな!」
「俺はこんな見た目だからどこのギルドにも入れなかった。ここがダメならガチで盗賊にならないといけない。他で仕事なんてないんだ、頼みます。なんでもするんで、ギルドに入れてください。お願いします。」
俺は誠心誠意頭を下げた。周りからはクスクスと笑い声が漏れる。俺を馬鹿にしているのは分かったが、これしかやりようがない。ここでギルドに入れないのに他所の町で入れるなんて思えないし、このナリだと買い物も出来ない。他所の町に行く準備すら出来ない。もう背に腹は代えられないのだ。
そんな俺の最敬礼を見ながらシェーラは意地の悪そうな笑みを浮かべながら考えを巡らしていた。
「はぁ、仕方ないね。いいだろう、私のパーティに入れてやるよ。」
「あ、ありがとう!!・・・パーティ?」
「そうそうパーティ!口約束でも契約だからね、この場の皆が聞いてんだ。後から覆すような真似許さないよ!・・・じゃぁ、そこのカウンターで冒険者登録をしてきな。」
「???・・・は、はい。」
よく分からないが周りはニヤニヤしている。もちろんシェーラもニヤニヤしている。カウンターに向かうと受付の男の人は困った顔をしていた。なんなんだ??
「そんわけで登録したいんですが、よろしいでしょうか?」
今まで散々断られてきたからか、必要以上に丁寧に話しかけてしまう。丁寧に話しかけられたからか受付の優男は戸惑っている様子だ。
「あ、はい。登録ですね、ではこちらに冒険者:盗賊と記入をお願いします。書けない場合は代筆しますが必要ですか?」
「いえ、大丈夫です。」
「あと必要な項目ですが、種族と年齢、性別、特技、主兵装ですね。」
「分からないときはどうしたらいいですか?」
「分からない?」
「はい、自分の年齢はちょっとわからないんですよね。」
レノ爺には坊主と言われていたし、水に映った自分の姿は異世界に飛ばされる前の姿をさらに若くしたような姿だ。魔核がなくなって前の姿に近づいたようだが年齢はよくわかっていなかった。
「でしたら推定で書いておきます。よろしいですか?」
「はい、お願いします。」
「では、これで登録します。申し遅れました、私は窓口担当のキルトと申します。クエストなどで必要な情報なども提供いたします。以後お見知りおきを。では改めて盗賊ギルドへようこそ。」
「は、はい。ロッカクです。宜しくお願いします。」
「では、最初のアドバイスをさせていただきます。」
「え?はい。」
「まず、最初にパーティを組むことを宣言したのは不味かったでしょう。」
「え?でも・・・。」
「ロッカクさんは見た目のせいで他所のギルドでは登録をさせてもらえなかった、違いますか?」
「そのとおりです。」
「それでチンピラさんの話に乗ってここまで来た。」
「はい。」
「シェーラさんにあしらわれて、後がないから頼み込んでギルドに入れてもらった。」
「その通りです。」
「・・・完全にその場の流れに流されてますね。」
「でも、ちゃんとギルドにも入れましたし、パーティも組めましたから結果オーライなんじゃ?」
その発言を聞いて大きなため息をついてしまう、キルト。俺は何か不味かったか?まずは身分証がないとこの町から出るのにも金がかかるし稼ぐことが出来なくなるんだけどな。
「まず、このギルドは誰でも入れます。もちろん犯罪を犯していても入れます。盗賊ですからね。」
「え?誰でも?」
「そう、誰でもです。もちろんあなたでもです。それをさも入れてやったような顔でいたシェーラさん。彼女は無幸の二つ名で呼ばれています。」
「はぁ、無幸ですか。」
もう一度ため息をつきなおすキルト。それ地味に心にダメージが来る。
「幸せが無いっていう二つ名です。これはパーティメンバーに充てられてるとも言って過言ではないんです。知らないようなので教えておきますが彼女のパーティはこれまで彼女を除き全て例外なく全滅しています。」
「全滅??」
「全滅です。彼女以外帰ってきていません。モンスターの仕業か彼女の仕業か分かりかねます。その彼女とパーティを組むって宣言をしてしまいました。契約は守らないといけません。それは信用に関わることなので反故にすることはお勧めしません。ただでさえ、盗賊職は信用が得られにくいですからね。この場で反故にするとギルドの仲間からも締め出しを食らいかねません。」
「軽率・・・だったんですね。」
「そのとおりです。それもこれもあなたが招いたことです。」
「え?騙されたのは俺ですけど。」
「盗賊が騙されてどうするんですか、盗賊の格言には騙すほうが悪いんじゃない、騙されるほうが馬鹿だ、と言われているんですよ。」
そこまでキルトが説明したら後ろから声を掛けられる。
「ほら、後は私が説明しといてやるよ。キルトの説教ももういいだろ?」
「あっ最後に一つだけ!情報収集が足りなかったことを覚えていたください!情報収集をしっかりしていれば今回の事態にはならなかったはずですから!」
確かにその通りだった。シェーラに連れていかれながら、自分の迂闊さに泣けてくる。




