第1章:まずはどこへ行こうか05
更新は遅速ですが、良ければ見ていただければ幸いです。
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そういって連れていかれたのは聖職者が集う神官ギルドだった。ここは神に仕える神官達のギルドらしい。この世界には様々な神が信仰対象になっているようで神官・巫女・神薙・神官騎士なんかも所属しているということだった。だいたいの者が冒険者ギルドとの二足の草鞋を履いているらしい。
分かっていたことだg、らしい、ということだったってことはもちろん入れなかった。入ろうとした瞬間に浄化魔法を掛けられた。それで浄化されるわけじゃないけど、あからさまに敵愾心を見せられると入る気なんて失せる。
早々に退散した。それから魔術師ギルド・呪術ギルド・薬師ギルド・商業ギルド・博徒ギルド・農業ギルド・建築ギルドに踊り子ギルド・・・およそ冒険なんて関係ないとこにも行ったが全部門前払いだった。
酷いところでは兵士の詰め所に通報されそうにもなった。ハッキリ言ってお手上げだった。受け入れてくれるようなところはないんじゃないだろうか。
ちなみにレノ爺は農業ギルドで登録を済ませていた。特に問題もなくね!俺だけダメな子だ、何度もハローワーク行ってる気持ちになってくる。
「ありがとう・・・俺も・・早く仕事が出来るようにならないとな、ははは。」
とても遠くを見ながら呟いている俺を心配そうに見ているレノ爺。本当だったら冒険者ギルドで登録して仕事の当てが見つかればそこでさよならだったはずなのにこんなに突き合わせてしまった。申し訳ないっていうか情けない。
「おい、おい!坊主!帰ってこーい!」
「レノ爺、ありがとう。ここまで付き合ってくれて・・・。俺、なんとかしてみるよ。」
「何とかって・・・アテもないだべ?」
「グスッ・・・。」
広場の噴水に腰を下ろしうなだれている俺。それに必死に話しかけている爺。変な場面だな。そんな俺たちを通りかかる人や亜人は不審そうに見ながら通り過ぎていく。
髪が黒いだけで何だってんだよ。確かにすれ違う人全て青やら赤やら金やら白やらいろんな色がいるけど黒がそんなに珍しいのかよ。
「おい、お前たち!そんなところで何をしている!」
鎧に身を包んだ騎士風の5人ほどの集団に声を掛けられる。違うな、声を掛けられているっていうよりいきなり尋問されているようだ。なんなんだよ、もう。
けだるそうに立ち上がり、その集団を見ながら答える。
「何って広場で喋ってただけでしょ。何か問題でも?」
「ふん、通報があった。広場で黒死鳥がいて目障りだからどうにかしてくれってな!」
知らない単語が出てきたな、黒死鳥ってなんだ?
「黒死鳥って黒髪の蔑称だべよ。」
ありがた迷惑なことにレノ爺が教えてくれた。いきなり絡まなくてもいいんじゃないの?俺何もしてないんだよ?
そんなことを考えているといきなり持っていた槍で打ち据えられる。痛いわけじゃないけどあんまりな扱いについ睨んでしまう。
「ふん、犯罪者面に犯罪者の目だな。汚らわしい、ここを早々に立ち去れ!さもないと連行することになるからな。」
レノ爺が心配そうに寄り添ってくれる。小声で手を出しちゃダメって忠告してくれてる。ここで手を出したら向こうに大義名分を与えてしまう、そんな愚行は起こしません。
「わかりました、お騒がせしました。」
「ふん、腰抜けが。」
やっぱり挑発していたようだ。乗らなくてよかった。騎士風の男たちが立ち去って俺たちはその場にいるわけにも行かずに当てもなく歩き出す。目的地もない散歩・・・金も仕事もない、こんなはずじゃなかったのにな。不毛だ、さっきの騎士も汚らわしいって言ってたな、そう言われて周囲を見たら、横を通るだけであからさまに嫌な顔をしたり、不機嫌そうな顔をしたり睨みつけたりしてる。さっきまでは異世界フィーバーで全然気にならなかったのにな。俺が何かしたわけでもないのにな。
「犯罪者か。」
「坊主?」
心配そうにレノ爺が俺の顔を覗き込む。爺に覗き込まれても嬉しいことはないが、今はそれもありがたい。
「犯罪者のギルドとかもあるのかなぁ。」
「!?。それは・・・ダメだべ、人の道を外れちまうだよ。」
「あるのか?それなんてギルド?」
「盗賊ギルドだべ。表向きは迷宮の探索や偵察を得意なギルドってことだけんど、盗賊ってだけあって悪いこともいっぱいやってるって話だべ。悪いことは言わね、盗賊ギルドだけはやめとけ!」
そう力説するレノ爺の肩を掴む男たちがいた。
「おいおい、何の証拠があって俺たちのギルドが犯罪者みたいな扱い受けねーといけねーんだ?あぁん?」
見るからにチンピラ風の若い男の3人組だ。ガラの悪い言葉を使いガラの悪い人相をしている。正直、関わり合いになりたくない人種だ。だが、レノ爺の肩をガッチリ掴んで逃げ出せないようにしている。これはどうにか逃げないと。
「おっと、変な真似すんなよ?俺たちはなぁ。兄ちゃんたちにいい話を持ってきてやったんだから大人しくしてろよ。」
あぁ、大人しくしててもダメな予感がビシビシしてる。レノ爺も慣れていないようで委縮している。
「いいか、俺たちは所謂ポン引きだ、いや違うな、キャッチ?とにかく有望そうなやつに声をかけてるってわけだ。んで、お前が俺たちのお眼鏡に適ったというわけだ。」
びしっと俺のほうを指刺しながら話を続ける。黙っているのを肯定と捉えたのか饒舌だ。
「いいか、俺たちは何を隠そう盗賊ギルドのもんだ。有望そうなやつには片っ端から声をかけて時に無理やり連れていくってわけだ。おっと誤解すんなよ、面接をするって意味だ、人さらいじゃない。引くんじゃない。」
そこで三人組の一人が割って入る。
「兄貴、とりあえず連れていきましょうや、それで今日のノルマ達成なんですから。」
「あん?そうだな、とりあえずお前!ついてこい!あぁ、ドワーフは別にいらんからどこへなりとも行っていいぞ。」
手でしっしっと追い払うような仕草をするが、動けないでいた。俺のことが気になっているようだ、そら俺を犠牲に自分がカツアゲから逃げるようなものだ。行きづらいだろう、そこで俺が声をかける。
「レノ爺、とりあえずついて行って話聞いてみるよ。俺には他に選択肢もないみたいだし。街までありがとう、助かったよ。この借りはいつか返すよ。いつになるかわからんけど。じゃ、また縁があったらどこかでな。」
「お、おい、坊主・・・。」
「行ってくれ、たぶん大丈夫だからさ。」
「おら、早く行くぞ!」
チンピラに連れられながら、どうにでもなれなんていう自暴自棄になっており、碌に挨拶もしないままレノ爺と別れたのであった。




