第1章;まずはどこへ行こうか?03
おっす!みんな久しぶり!勇者にボロクソにやられて逃げるように魔王城を後にした六角ことロッカクです。ようやく街に着いたと思ったらすぐにいろんな問題にぶち当たって早くも心が折れそうです。ってか、折れた。この世界はどうやら俺にすこぶる厳しいらしいです。
「おい、おい!坊主!帰ってこーい!」
ハッ!?思いっきり現実逃避してた。逃避したまま元の世界に帰れれば良かったのになぁ。(しみじみ)そうすればこんな思いもしなくて済んだのに・・・。今、俺は街の広場の噴水の縁にレノ爺と腰を下ろしている。折角、街に来て何をしているかと言うと何もしていない。
「レノ爺、ありがとう。ここまで付き合ってくれて・・・俺、なんとかしてみるよ。」
「何とかって・・・アテもないだべ?」
「グスッ・・・。」
—半日前—
「おぉ!!あの城門みたいなデカイのって街か?」
「そうだべ。アレがこの辺で1番大きいトラバって街だ。」
「ほぉぉぉ!」
初めて見る魔王城以外の門に俺は大興奮だ。何てったって門だけでもファンタジーっぽいことこの上ない!何がって別に根拠もない!門番のオッサンがこっちをやたら睨んでるが気にしない気にしなーい。
もう魔王なんてやってられん、俺は冒険者になって一攫千金当てて遊んで暮らしてやるんだ。
「おい、ドワーフと・・・お前。ここには何しに来た?不審者じゃないだろうな?」
俺は冒険者になる為に来たんだ。」
「おらも農作業やら仕事を探しに来ただよ。」
門番が不審者を見るような目で上から下ま見て、フンと鼻を鳴らしながらも目を離さずに様子を伺っている。
「二人で20銅貨だ。」
「え?」
ヒソヒソ
「レノ爺レノ爺!入るのに金がいるのか??」
「そらいるべ。誰彼構わず通す訳にはいかんっぺよ。」
「・・・貸してくれんですか?」
「そういや坊主は無一文だったべな。」
「無一文だった・・・。」
「仕方ねーべな。」
「すまんです。」
ゴホン!
「じゃーこれ!」
チャリン
「ふん、さっさとしろ。後、出る時も入る時も通行料がいるからな。忘れるな。」
「へいへい。」
何だか態度の悪い兵士だ。ちょっとムカムカしてくるぞ。全く蝋人形にしてやろうか!ってそんな魔法ないけど。
「あっ冒険者ギルドとかあれば場所が知りたいんだけど。」
「案内板でも見て、さっさと行け。」
顎で案内板を指しながら促す。俺もレノも素直に従う。門と街を繋ぐ短い通路の途中にある案内板に目を通す。昨夜、レノ爺が言っていたことを思い出す。
「まずは冒険者ギルドで冒険者登録をするといいだ。身分証にもなるし、ある程度の仕事の斡旋や寝床の世話とかもしてくれるらしいべ。」
・・・そこへ来て思いあたることが1つ。もしかしてそれもお金かかるのかな?
「当たり前だべって、坊主は持ち合わせがないんだったなぁ。」
「先に熊の素材を売ったらいいべ?」
「おおぉ!賢い!それもギルドで出来るんだよな?」
「買取カウンターがあるはずだ。」
よし、とりあえずそこまでは異世界物のセオリー通り!ただ出来るだけ目立たずヒッソリと生きて行きたいから絡まれないようにしよう。フラグもガンガンおっていくぞー!
門をくぐり街に入ると、興奮と感動に打ち震えることとなる。何てったってこれまでの俺の世界は魔王城の中と勇者たちとノエルくらいしかいなかった。しかし、それがどうだ!溢れる人人人!いやー活気があるっていいことだ!あとは金があればなお良いんだけどそれは無理なので、後回しだ。
周りを見渡せばデカイトカゲに荷車を引かせている商人っぽい人や、剣に鎧を身に纏った戦士に神官服の女の子やツバの長い帽子にローブに木の杖を持ったこれまた魔法使いって感じの子がいたり目を引く目を引く。思えば勇者たちはやたら高そうな装備してたな。だから実用的な感じがしなくてコスプレって思ったんだよな。今、街で見かけるのは機能性第1、見た目は二の次の質実剛健な奴らばっかだぜ。やっぱそうじゃないとな。
「レノ爺、あれさ・・・って、レノ爺?何してるん?」
「何って裏通りの方に行くべよ。」
「えっ?この道真っ直ぐ行った方が早いし近いのに何でだ?」
「あー・・・坊主は常識知らずだったべな。亜人種はこの国・・・国の名前は分かるべ?分からんのか、この国は神聖王国レミラーマって言うべよ。それくらい知ってないと人族でもバカにされるだ。んで、この国は人種を階級で分けてるだ。王族は別にして貴族を特別市民、街に住んでる人や商売人、冒険者の人族は1級市民、犯罪を犯した人族は2級市民、亜人種は3級市民となるだ。2級より下は大通りは通行禁止でそれだけで捕まる可能性もあるだよ。」
「なんだそれ、くだらない。」
「声が大きいっぺ!侮辱罪や国家反逆罪なんていくらでもでっち上げられるから、騒ぎは起こさないにこしたことはないべ。」
「でも、亜人?何人かいるのが見えるけど?」
「あれは奴隷だべ、使役されてる間は物と同じ扱いだがらな。さ、行くべ行くべ。」
異世界って、そういうの抜きにして和気藹々してるイメージだったけど大分違うのな。差別は何処にでもあるのか、自分と違うのを認められないって人は心が狭いな。俺も人だけど。心は。
げんなりしながら裏通りに入るとそこは更に別世界だった。獣耳の女の子や男の子が道の端で遊んでるわ、尻尾をクネクネさせてる猫耳のおばちゃんや禿げ上がった頭に兎耳の商人にまんま犬顔の戦士風の男やら・・・まさに異世界だった。
これだよこれ!この現実世界では見ることのできないこの光景!心のアルバムに刻んでおくべき風景だな。それに混じってガラの悪そうな人族もチラチラ見える。これはあれだな、犯罪を犯した奴らってことなんだろう。とりあえずは大人しくはしてるんだなぁ。犯罪者っぽいやつの手首には黒い刺青っぽいのが付いてる。あれで見分けてるのかな?あとでレノ爺に聞いたら正解だった。
「レノ爺・・・俺、街に来て良かったよ・・・。こんな光景が見られるなんて。」
「さっきから何をブツブツ言うとるべ?早く行くべよ?」
異世界ものっていえば獣人だ、ファンタジーと言えば中世ってのはセオリーだな。文明レベルはまんま中世か。あっでも魔法とかを考えると一概には言えないのかな。
とにかく、俺達の冒険はこれからだぜ。




