VRおじいちゃん・パート2♥ おしまい2
その頃、アーボンの家では、アーボンが2階のマラツンたちに声をかけていた。
「おーい! ナミちゃんに連絡しといたから、一緒にスタータスポイント稼ぎ行こーぜー!」
するとそれを聞いたマラツンたちは虎次郎を連れて2階から駆け下りてきた。
「まじっすか! いいんすかっ!」
「ほんと助かりますアーボンさん」
「僕たち、武器も防具も殆ど……」
「モービルすらも無くなって……」
するとアーボンは少しだけ得意げに言った。
「ふっふっふ! おれは運の良いことにオロチ装備2つと大量のホワイトドラゴンの両手剣、そして莫大なプクナだけは残っていた! さらにハデスも元気!」
「「おおぉぉーー!」」
「タケチは……、ええと、なぜか小盾が1個しか残ってなかったけど、清さんは岩の杖も残ってたしな。それに虎次郎も元気そうだし、さっさとステータス上げてまた楽しもうぜ!」
するとマラツンが少し疑問に思ってアーボンに尋ねた。
「あ、ええと、アーボンさん。いくらアーボンさんやハデスさん、それにウチの虎次郎が強くても、おれらワンパンで即死の可能性があるんすけど、ちょうどいいステータス上げの場所ってあるんすかね?」
それを聞いたアーボンは得意げに腕を組んて答えた。
「はっはっは、安心したまえ! それはすでに調査済みだ! おれらはまだメインクエスト第1章すらクリアしていない事になっている。その状態でハーイムに行けば船獲得のイベントは発生しないで、無限に海賊たちが湧いてくる!!」
「「おおぉぉーー!!」」
「海賊たちが現れたら全力で逃げ回って海賊たちをたくさんおびき寄せ、数がまとまったところでハデスがGOだ!!」
「「おおぉぉおおおお!!!」」
するとその時、アーボンは時計を見てハッとして、慌ててみんなに言った。
「やばい、ピンデチからバスが出る時間だ! 急いでコーシャタ行きのバスに乗って、コーシャタからハームまで歩くぞ!!」
「「ええええっ!!」」
アーボンの言葉にその場に居た全員が驚くと、マラツンは思わずアーボンに尋ねた。
「アーボンさん、モービルは……?」
「えっと、いや……。セーブデータがバグったせいなのか、おれの運転免許認証が切れちゃってて。ははは」
「ま、まじっすか! ピンデチからに比べたら、コーシャタからハーイム行ったほうが近いっすけど……、たぶん1時間は歩きますよ!?」
するとマラツンはキョロキョロしながら清とタケチに尋ねた。
「……え、えっと、じゃあ清さんは免許をお持ちでは……?、タ、タケチさんは……?」
「いやぁ、私はすでに免許を返納していまして」
「ごめん、僕もモービル消えちゃって。ははは」
「……」
こうしてアーボンたちは急いで準備を済ませると、一斉に家から飛び出してピンデチのバス停へと走っていった。
そして時間ギリギリでバスに駆け込んだが、その後マラツンがアーボンがモービルを買ってくれれば誰かが運転できた事に気づき、アーボンたちは無駄に走ったことにガックリしたのだった。
◆
その頃、ピンデチふれあい苑の食堂にはミナモトの一団のメンバー、キリ丸とフトシがやって来ていた。
キリ丸とフトシはご高齢者の方々の前に出ると、深々と頭を下げてからキリ丸が話し始めた。
「みなさん初めまして! 僕はキリ丸で、こちらがフトシです。僕たちは大谷専務の命を受けてミナモトの一団というグループからやって参りました。これから暫く、レインさんたちの代わりに皆さまのお手伝いをさせて頂ければと思います」
「まぁ、それは心強いわね!」
「はい、本当に助かりますね」
「んだな。ほんど、たすかる」
するとレインたちの事を心配したサヤおばあちゃんがキリ丸に尋ねた。
「キリ丸ちゃん。レインちゃんたちは大丈夫なのしら……。すぐ強くなって帰ってきますなんて言って出て行ってしまったのだけど」
それを聞いたキリ丸は笑顔で答えた。
「はい、心配ないと思います。先ほどミナモトの隠密部隊から連絡がありまして、レインさんたちは暫く戦いに慣れなかったものの、現在は要領を掴みつつあり、すでに船を獲得してメインクエストを先に進めているとのことです」
「まぁ! やっぱりレインちゃんたちは凄いわね。それなら安心してレインちゃんたちを待っていられるわ!」
サヤおばあちゃんがそう言うと、ご高齢者の方々もウンウンと頷いて笑顔になった。
◆
ブゥゥーン
その頃、おじいさんは久しぶりに軽トラにみんなを乗せて砂漠地帯へと向かっていた。
助手席で膝の上にタッちゃんを乗せたイリューシュは、窓からの景色を眺めながら嬉しそうにおじいさんに言った。
「ひろしさん、この車でこの辺りを走るのは久しぶりですね。とても懐かしくて色々と思い出しますね。ふふふ」
「はい、そうですね。あの頃は色々ありましたけど、とても楽しい思い出です」
「ええ本当に。それになんだか、うしろの荷台の風景も懐かしいですね」
イリューシュはそう言って後ろの窓越しに荷台に乗っているアカネとめぐと黒ちゃん、そして大熊笹と茂雄を眺めて笑顔になった。
荷台ではアカネがいつものポジションに座ってめぐに話していた。
「なぁめぐぅ、ほんと懐かしいな! 何年も前の話じゃないのに、すっごい昔みたいに感じるよ」
「だね。こうやって荷台に乗ってコーシャタとかよく行ってたよね」
「だよな! そういえば、ほら、海賊のとこも軽トラで行ったよな」
「あ、それなつかしい! あの時、ボスのところで、わたしの魔法が暴走したよね!」
「そうそうそう! めぐの最高魔法が出ちゃって、あの辺を更地にしちゃったよな!」
「はははは、それそれ!」
アカネとめぐが話で盛り上がっていると、突然、2人乗りのビッグスクーターが追い付いてきて軽トラに並んだ。
そしてなんとビッグスクーターの2人はベンドレとルルだった。
ベンドレとルルは手を振りながら荷台のみんなに言った。
「みなさん、ご無事で良かったです!!」
「みんな大変だったんだってね! とにかく帰ってこれて良かったわ!」
それを聞いたアカネは両手で手を振りながら答えた。
「ベンちゃん、ルルさん!! ってか、今からサンドワーム倒しに行くんすけど、ステータス上げ手伝ってもらっていいっすか!?」
「もちろんです! 全力でお手伝いします!」
「まかせて! なんなら私の魔法で砂漠の中のサンドワームまで全滅させても良いわよ!」
ルルの言葉に荷台のみんなが笑うと、2人に気づいたおじいさんが窓を開けて2人に挨拶した。
「これはこれは、ベンドレさん、ルルさん!」
ベンドレは運転席の横まで加速させると、窓の奥からイリューシュとタッちゃんも2人に笑顔で手を振った。
ベンドレはおじいさんたちに笑顔で一礼すると、並走しながらおじいさんに言った。
「ひろしさん、私たちに出来る事はなんでもやらせてください。必ずひろしさんたちが元の状態まで戻るまでサポートいたしますので」
ベンドレがそう言うと、おじいさんは恐縮しながら答えた。
「ありがとうございますベンドレさん。ベンドレさんたちが居てくだされば百人力です」
するとその時、突然タッちゃんがベンドレに言った。
「なぁベンドレ、ルルとケッコンしたか?」
「っ!!!!」
ズザザザザザザ!!!
ベンドレはタッちゃんの突然の質問にハンドル操作を誤ってフラフラすると、後ろに乗っていたルルがベンドレの頭を軽く小突きながら言った。
「ちょっ、ベンドレ! なにやってるのよ!!」
「す、すまん! いや、ええと、……ああ、すまん!」
その様子を見ていたおじいさんとイリューシュ、そして荷台のみんなは思わず声をあげて笑った。
そしておじいさんはバックミラーから荷台で笑っているみんなを見ると、しみじみと幸せを感じて思わず呟いた。
「いやぁ……、今日も楽しいなぁ。……ほんとうに、みなさんと出会えてよかった」
おじいさんはそう呟いて満面の笑顔になると、心なしか普段よりもこのVRの世界が輝いて見えた。
◆
その後しばらくして、おじいさんたちのセーブデータは無事に復元され、茶太郎や虎次郎、ポンちゃんも一切問題なく一緒に過ごすことができる事になった。
ピンデチのみんなはまた普段通りの生活に戻り、ピンデチふれあい苑のご高齢者の方々もより一層元気にVR世界を楽しみ始めた。
そして、おじいさんたちの冒険はこの後もゆっくりと続き、おじいさんは寿命を全うするまでVR世界と共に楽しく暮らしたのだった。
―― VRおじいちゃん 完 ――
最後までVRおじいちゃんパート2♥をお読みいただきまして、ありがとうございました。
この後、続編の「異世界おじいちゃん」へと続く新たな章「新たな冒険のはじまり」へと続きます。
現在、「新たな冒険のはじまり」と「異世界おじいちゃん」の膨大な量の原稿をチェックしておりますので、少々お待ち頂けましたら幸いです。
新しい章「新たな冒険のはじまり」が準備できましたら、この続きとして掲載してゆきますので、今後ともよろしくお願いいたします。
<追伸>
現在、アルファポリス様にて、VRおじいちゃんの世界の30年後を舞台とした作品「戦国時代の武士、VRゲームで食堂を開く」を公開しております。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/442431477/494860431
主人公は時代を飛び越えた戦国時代のとある武士ですが、つむぎたちのお陰で農業が可能になったVR世界で、VRおじいちゃんのお馴染みのメンバーや、その子供たちも活躍するコメディ作品となります。
こちらもお読みいただけましたら幸いです。
オイシイオコメ




