第80話 めぐ、覚醒
その後おじいさんたちは、タンクのめぐを中心に、近接アタッカーの黒ちゃん、大熊笹、アカネ、そして茂雄が前衛で敵を倒していった。
さらに遠距離アタッカーのイリューシュと遠距離アタッカー兼ヒーラーのおじいさんが後衛を努め、さらには遊撃アタッカーの茶太郎が臨機応変に攻撃をするという理想的なパーティで魔城を進んでいった。
そして気づけば、3階層の転移ポイント前のボス部屋まで辿り着いていた。
予想以上のスピードでボス部屋まで辿り着いて驚いている黒ちゃんは、思わずイリューシュに言った。
「イリューシュさん……。ええと、何と言いますか……、我らのパーティはゲームをする上での理想的なパーティと言いますか……」
「はい……。わたしも今そう思っていたところです……。長い時間このゲームをやってきましたが、このような理想なパーティに出会う事は無かったですね……」
「はい。土魔法も使える魔法剣士のタンクを中心に、前衛アタッカーと後衛アタッカー。さらには後衛アタッカーのひろしさんがヒーラーも兼ねて、足の速い遊撃アタッカーの茶太郎も居るという……」
「ふふふ、本当に理想的なパーティですね。これならボスも安心です」
イリューシュは思わず笑顔を見せると、ボス部屋の扉に手を当てながらみんなに言った。
「みなさん、この先はボス部屋です。ボスは大きな体格で木槌を振り回すスケルトンのオーク・キングです。気をつけて行きましょう!」
「「はーい!」」
こうして、おじいさんたちはボスのオーク・キングが待ち構える部屋へと入っていった。
◆
おじいさんたちがボス部屋に入ると、3mはあろうかというスケルトンのオーク・キングが待ち構えていた。
おじいさんたちは顔を見合わせてウンと頷き合うと、めぐが挑発の盾を構えながら先陣を切った。
「いくよっ!!」
オーク・キングはめぐの挑発の盾に乗せられて敵視すると、大きな木槌を振り上げてめぐに襲い掛かって来た。
オォォオオオオ!!
それを見ためぐは、ノックバック(盾で敵の攻撃を受けたときに、その衝撃で後ろへ押し飛ばされる事)を防ぐためにスキルの「不動の盾」を発動した。
「不動の盾!!」
ゴォォオオン!!!
オーク・キングの木槌は、まったく動かなかっためぐの盾に勢いよく跳ね返され、思わず後ろへ仰け反った。
するとそれを見逃さなかっためぐは、スキルの「シールドバッシュ」でオーク・キングの脛を狙った。
「やぁあああ!!!」
ゴォォオオン!!!
オォォオオオオ!!
オーク・キングはめぐの盾で脛を叩きつけられると、今度はバランスを崩して前に倒れ込んだ。
それを見ていたおじいさんは、火薬玉を手に取ってオーク・キングの木槌へと投げつけた。
シャァァアアア……
ドゴォォォオオ!!
おじいさんの火薬玉は見事にオーク・キングの木槌に命中して、木槌を炎上させながら吹き飛ばすと、オーク・キングはさらにバランスを崩して、両手を前に出しながら倒れてきた。
すると大熊笹はアカネと一緒に走り出し、アカネは笑顔を見せながら大熊笹に言った。
「熊じぃ!! これはやっぱ、あれだよね!!」
「そうですな!! 片手ずつ、同時に巴投げに持ち込みましょう!!」
大熊笹とアカネは倒れて来るオーク・キングの両手へと走り込むと、一緒にスキルを発動した。
「気合! 剛力!!」
「気合! 剛力!!」
そして倒れて来るオーク・キングの右手と左手を各々掴むと、オーク・キングのバランスを崩すように2人同時に後ろへと飛んだ。
バッ! ババッツ!!
オォォオオオオ!!!
オーク・キングは両手を引っ張られて大きくバランスを崩し、両膝を突くように倒れ込むと、大熊笹とアカネはオーク・キングの脇を両足で蹴り上げて巴投げへと持ち込んだ。
「やぁぁあああ!!」
「よいしょぉおお!」
すると剛力で強化された大熊笹とアカネの力でオーク・キングの体は宙に浮いた。
しかし、オーク・キングの巨体と蹴り上げる箇所が脇だったため、オーク・キングの体は中途半端に持ち上がり、ひっくり返すには足りなかった。
「熊じぃ! だめかも!」
「これは過信しましたな」
しかしその時、めぐがオーク・キングの下に滑り込み、スキルの「シールド・アッパー」を繰り出して、オーク・キングの肋骨を叩き上げた。
「シールド・アッパー!」
ゴォォオオン!!!
そしてさらに剣で岩の塊を出現させると、勢いよくオーク・キングの骨盤へと投げつけた。
「持ち上がれーーー!!」
ドドドッ!!!
オォォオオオオ!!
するとオーク・キングの体は見事に宙を舞い、その勢いで大熊笹とアカネの巴投げが成功した。
ドシャァァアアアア!!!!
オーク・キングは仰向けに倒れて何が起きたのか理解できずにいると、その視野に茂雄の拳とモーニングスターで殴り掛かって来る黒ちゃん、そして飛びかかって来る茶太郎と8本のオロチの矢が見えた。
◆
おじいさんたちは無事にオーク・キングを倒してG区画の家へと転移してくると、アカネが嬉しそうにめぐに言った。
「めぐぅ! さっきは最高だったよ!! めぐの一撃が無かったら巴投げ失敗してた!」
「へっへっへー。でしょ! でも、正直言うと体が勝手に動いたっていうか、オーク・キングをシールド・アッパーして岩の塊を当てたら飛びそうって思ったっていうか」
「すげーよ、めぐ天才! ね、熊じぃ!?」
すると大熊笹は笑顔を見せながらめぐに言った。
「はい、めぐさんが助けてくださらなかったら失敗していました。さすが我らのタンク、めぐさんです」
「えっ? へへへ……。そ、そうかなぁ……。ははは」
めぐが嬉しそうに照れ笑いをしている横で、イリューシュと黒ちゃんは真剣に話していた。
「イリューシュさん。めぐさんが、あれほどタンクに向いているとは思ってもいませんでした……」
「はい……。見事な盾スキルの組み合わせと、機転を利かせた補助攻撃。驚きましたね……」
「まったく同意します。一流のタンクも顔負けの素晴らしい立ち回りでした……」
「魔城の4階からは敵が強くなるので、少し皆さんのステータスを上げてから挑むのが良いかと思っていたのですが……」
「ええ。この様子では、一気に次の転移ポイントまで行けそうな感じがしますね」
こうしておじいさんたちは、次回もそのまま魔城の先へと進むことになったのだった。
◆
その頃、ナミ一家のメンバーも魔城を攻略しようと、最初の転移ポイントにやって来ていた。
ナミはララガのお母さんではなく、ララ助を呼び出してお座りさせると、マラツンたちに戦闘隊形の説明をした。
「今日ゎ、ララ助と寅次郎が先頭で、その後ろにマラツンたちで、後はゎたしが守る。マラツンは危なくなったらベヒーモスね」
「「はい!」」
「ほんとゎ遠回りしてスケルトンが少ないところを通るけど、今日ゎ中央突破」
「「ええっ?」」
「今日ゎスケルトンがいっぱぃ居る道を中央突破してショートカット」
「ナ、ナミさん……」
「大丈夫でしょうか」
「ちょっと、自信が」
「こ、怖いっす!!」
「だぃじょうぶ。みんな強くなった。それに地下2階はマラツンが召喚できるよぅになるモンスターがぃる。そのモンスターと戦ぃたぃから、はやくぃく」
するとそれを聞いたマラツンはナミの気遣いに嬉し涙を流しながらナミに言った。
「ナ……、ナミさん……。いいんすか、おれのために?」
「ぅん。地下2階の隠し部屋に、召喚できるよぅになるイフリートがいるってきぃた」
「え゛ええ゛っ!!! イッ……、イフリートっすかぁ!?!?」
「ぅん。アーボンがつよぃって言ってた」
「いやいやいやいや、そりゃメッチャ強いっすけど!!」
「だから、はやく地下2階にぃく。それにララ助と寅次郎にも戦闘経験をつませたい。ララ助と寅次郎ゎステータスとか上がらなぃけど、経験するのはたぃせつ」
こうしてマラツンは半ば強引にイフリートの元へと連れて行かれる事になったのだった。




