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第67話 ひろし、次々と投げ込む

 ベンドレたちがバーベキューをしている所へ、ルルがミナモトの一団の2人を連れてやって来た。


 そしてルルはバーベキューをしている皆に、ミナモトの一団の2人を紹介した。


「みんなー! この2人はミナモトの一団のメンバーよ。遊びに来てくれたの。さ、2人とも、みんなに挨拶して」


 2人はルルに促されると、みんなに笑顔で挨拶をした。


「ぼ、ぼくは、フトシ。よろしく。ははは」

「僕はキリ丸ですっ! お願いしますっ!」


 フトシとキリ丸が自己紹介をすると、バーベキューのメンバーは拍手で迎え、お互いに自己紹介をしていった。


 ◆


 その頃、ナミはアーボンやマラツンたちの手助けで安全運転講習を終え、黒ちゃんからバイクの基本的な乗り方から砂浜の走らせ方まで学んでいた。


 黒ちゃんはオフロードバイクのモービルで、意図的にアクセルを開いて後輪を滑らせると、ナミに言った。


「ナミさん。このように砂浜ではアクセルを突然開けると後ろのタイヤが滑って最悪埋まってしまいます。ですが一度体験してみたほうが良いと思うので、ハンドルを左いっぱいに切ってアクセルを全開にしてみてください」


「ぅん、ゎかった」


 フィィィイイイン!!!


 ナミがアクセルを全開にすると、搭載されたハイパワーモーターは唸りをあげて三輪バイクの後輪を空転させた。


 ザザザザァァアアアア!!


 しかしナミの体重が軽かった事で、後輪は砂をかいて埋まることもなく、きれいにアクセルターンをしていった。


「ぅゎぁぁ……」


 それを見た黒ちゃんは慌てて飛び出そうとしたが、なんとナミは何かを理解したかのようにカウンターステア(滑る方向とは逆にハンドルを切ること)を当てて、ドリフト走行を始めた。


 ザザザザァァアアアア!!


「ぁ、なんかゎかった」


 ナミは少し笑顔を見せると、砂浜を縦横無尽にドリフトし始めた。


 それを見た黒ちゃんは唖然としながら呟いた。


「ま、まさか……、あの不安定な三輪バイクで、あのような完璧なドリフトを決めるとは……」


 ナミのドリフトを遠目で見ていたマユとメイは驚きながらも笑って言った。


「ナミ、なんか豪快! あはは」

「てか、やばいよね! すごっ」


 しかしその時、ナミは波打ち際の近くで超スローに転倒した。


 ザ……、ザザ……、ゴロン……


「あ、ナミ転んだ!」

「やばい、行こう!」


 マユとメイ、そして黒ちゃんと、ナミを見守っていたマラツンたちは慌ててナミの元へと走っていった。


 ◆


 マユたちがナミの元へとたどり着くと、ナミは少し恥ずかしそうにみんなに言った。


「ごめん心配かけた。ちょうしにのった。反省」


 ナミは服の砂を払いながら頭の上のアルマジロに謝った。


「ごめんね、アルマジロちゃん。大丈夫だった?」


「キュゥキュゥ!」


 アルマジロは元気に返事をした。


 マラツンたちは元気そうなナミに安心すると、みんなで三輪バイクを起こした。


 黒ちゃんは念のため三輪バイクを点検して回り、安全装置で停止していた三輪バイクを再起動した。


 ポーン♪


 すると三輪バイクは何事もなかったように再起動して、走行スタンバイ状態になった。


 黒ちゃんはそれを確認するとナミに言った。


「ナミさん、バイクは問題ないようです」


 それを聞いたナミは少し嬉しそうに答えた。


「ょかった。ぁりがとぅ黒ちゃん。今度は、ゅだんしなぃ」


「そうですね。しかし、転倒する事も悪いことだけじゃありません。たとえ三輪であってもオートバイは不安定な乗り物だと身をもって知れたのですから」


「たしかに。さすが元白バイさん。説得力ぁる」


「え、あ、いやぁ……。ははは」


 するとその時、突然指笛が鳴り響いた。


 ピィィィイイ!!!


 すると少し離れたところでバーベキューに参加していたキリ丸が走ってやって来て黒ちゃんに言った。


「敵襲かと思われます! 船が3隻、こちらに向かっています!」


 それを聞いた黒ちゃんは大司教のローブとモーニングスターを装備して答えた。


「承知した。いよいよですね」


 キリ丸と黒ちゃんの会話を聞いたマユたちやアーボン、マラツンたちも慌てて装備を整えた。


 ◆


 時を同じくして、バーベキューをしていたおじいさんたちも装備を整えてメンバー全員で集まっていると、ヨリトミを先頭に集落の寺から完全武装したミナモトの一団がやって来た。


 ヨリトミは女性たちが水着から装備を整えたのを見て安心すると、おじいさんたち全員に言った。


「敵と思われる船は3隻、大きく間隔を保ったまま向かってきます! おそらく砂浜の中央、右、左へ接岸し、3か所から攻撃してくるものと思われます!」


 するとヨリトミは背後のミナモトの一団に手信号で指示を出すと、再びおじいさんたちに言った。


「我らは3か所の壁となり、捨て身で侵入を防ぎます! もし我らが倒れたら、その時は何卒宜しくお願い致します!!」


 するとそれを聞いたルルがヨリトミに言った。


「ちょっと、ヨリトミくん! それじゃ、わたしたちが遠距離攻撃しずらいじゃない。ひろしさんやイリューシュもそうだけど、それじゃ来た意味がないわよ!」


 ルルがそう言うと、イリューシュがルルを優しく制止してヨリトミに穏やかに言った。


「ヨリトミさん。敵の総力が未知数ですから、こちらも最大限の力を出せる陣形が必要です。みなさんが先頭に立って壁を作っても、敵が魔法使いだらけでしたら後衛の私たちが危険です」


 それを聞いたヨリトミはハッとすると、ルルとイリューシュに直角に頭を下げて謝り、イリューシュに意見を求めた。


 ◆


 ほどなくして3隻の船が着岸すると、予想通り大勢のプレイヤーたちが武器を構えて降りてきた。


 しかし、敵のプレイヤーたちは砂浜に広がる異様な光景に皆驚いていた。


 なんと、砂浜には清とめぐが作り出した無数の土壁が幾重にも乱立していたのだった。


 しかし敵のプレイヤーたちは吹っ切れたように攻め込んでくると、どこからともなく土壁の隙間を縫って、おじいさんの火薬玉が飛び込んできた。


 ドゴォォォオオ!!


「Oh !!」

「What !?」


 そしてイリューシュとナミの矢も土壁の隙間を縫って敵の集団に襲い掛かると、空に巨大な光の魔法陣が広がった。


「Be careful!(気をつけろ!)」


 敵たちが一斉に空の魔法陣を見上げると、なんとその瞬間、土壁の隙間から全身に炎をまとわせたララガのお母さんが飛び出した。


 ガァァアアアアア!!!


「Watch out! Lalaga there!(危ない! ララガがそこに!)」


 ララガのお母さんは一直線に敵の集団に走っていくと火の粉をまき散らしながら駆け抜けた。


 そして大きくバク転しながらその場を離れると、火の粉は大爆発を起こした。


 ドゴォォォオオオオ!!!


 するとそこへ追い打ちをかけるようにルルの光の矢が降り注いだ。


 ズドドドドドドドド!!!


 敵のプレイヤーたちは必死に身を守ったが、1人また1人と数を減らしていった。


 さらにそこへイリューシュが曲射したオロチの矢が襲いかかり、おじいさんの火薬玉とネバネバの実も次々と投げ込まれていった。


 そして、おばあさんが作り出した氷の魔法陣から巨大な氷柱が飛び出すと、ゴーストとメイがそれぞれ砂浜の左端と右端に現れて、同時にウィンド・ブッチャーを放った。


「行っけぇ!」

「ふんっ!!」


 ズバババババババババ

 ズバババババババババ


 敵のプレイヤーたちは突然の奇襲に驚いて思わず中央へと移動してしまうと、ゴーストとメイの後ろから二手に分かれたミナモトの一団がゆっくりとした歩みで進撃し始めた。


 ミナモトの一団は敵のプレイヤーたちを左右から圧力をかけて中央へと誘導すると、痺れを切らした数名の敵のプレイヤーの集団がミナモトの一団へと突撃を仕掛けた。


「Diiieee!!(死ねぇぇ!!)」


 しかしミナモトの一団は美しく隊列を組むと、前列の数名が突然甲冑の装備解除して、足並みを揃えて走り出た。


 敵の集団は予想もしなかった出来事に慌てて防御の態勢をとると、ミナモトの一団の前衛は素早く左右に分かれて走り抜けた。


 するとそれに合わせるように後列から敵の集団めがけて矢の雨が降り注いだ。


「BullsXXt!!(クソがっ!!)」


 敵の集団はパニックになると、苛立ちが頂点に達して矢を放った後列の一団へと斬りかかっていった。


 しかしその時、なんと敵の集団の背後に無数の矢が刺さった。


「What!?(なにぃ!?)」


 敵の集団が振り返ると、なんとそこには左右に分かれて走り抜けた前衛がいた。



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