第27話 ナミ、つけられる
マラツンたちは取材を受け終わると、手分けして溶岩キノコを採集し始めた。
そしてある程度集めると、溶岩キノコを採りに来たメイとナミのところへ行って溶岩キノコを渡した。
「メイさん、ナミさん、溶岩キノコっす!」
マラツンたちはメイとナミの前に溶岩キノコを出現させると、メイとナミはマラツンたちにお礼した。
「いつも本当にありがとう! でも、大変だったらいつでも言ってくださいね」
「ぃつもぁりがとぅ。今日はみんなにぉ礼がぁる」
ナミはそう言うと、マラツンに業炎の壺を100個、ツックンとサソリには「捨てる」を選択して所有権を放棄した「ハヤブサの槍」と「ハヤブサの大剣」、そしてマムシには痺れナイフと毒ナイフを50個ずつ送信した。
「ええっ! 業炎の壺を100個もっすか!?」
「ハッ! ハヤブサの槍!? まじすかっ!?」
「1度で2回攻撃できるハヤブサシリーズ……」
「えっ、痺れナイフと毒ナイフをこんなに……」
マラツンたちが驚いていると、ナミがマラツンたちに言った。
「ぃつも手伝ってくれてるから、ぁりがとぅって思った。良かったら使って」
「「「ありがとうございます!!!」」」
マラツンたちが満面の笑顔でお礼をすると、ナミは少しだけ嬉しそうな表情になり、頭の上のアルマジロも嬉しそうに鳴いた。
キュウキュウ!
◆
夕方、マラツンたちは船でG区画の海岸に向っていると、マラツンが後輩たちに納得したように言った。
「なぁ、みんな。やっぱアーボンさんの言った通り、謙虚って最強なのかもな」
「はい。おれらの実力じゃぁ……」
「うん。ハヤブサシリーズなんか」
「みんな、助けてくれますね……」
「謙虚に人の役に立つなんて、損だとしか思ってなかった。だから、そんな奴らを馬鹿にしてた事もあったけど、本当に損をしてたのって自分だったな」
マラツンがそう言うとツックンがマラツンに提案をした。
「先輩! ここはナミさんにお礼するとか、どうっすかね!?」
「おお、ツックンやるなぁ! それだ! それだよ!」
しかし、マラツンはそのまま硬直した。
……。
そして暫くすると、声を漏らした。
「やべぇ……。ナミさんに何をお礼したらいいか……、分からねぇ……」
するとマムシがマラツンに提案した。
「では、1日ナミさんを隠れて観察してみるのはいかがでしょうか!」
「おお、それだ! さすがマムシ! 観察してナミさんが喜ぶものを探そう!」
こうしてマラツンたちはナミを観察することにした。
◆
翌日、マラツンたちは物陰からスマイル道具店の店番をしているナミを観察していた。
「ナミさん、なんか書いてるな」
「はい。学校の課題ですかね?」
「ね。今はリモートで提出だし」
「高校生だって言ってましたし」
するとナミは大きく伸びをして言った。
「ふぅ。シュレディンガー方程式の文章解説、なかなかたぃへん」
それを聞いた国立理系大学、大学院卒のツックンは驚いて声をあげた。
「ふぁっ!? 高校生で量子力学の根本方程式を文章解説してるの!?」
それに驚いたマラツンはツックンに尋ねた。
「お、おい! それって凄いのか?」
「……はい。普通の高校生はできませんし、なにより理解できている先生すら少ないのでは……」
「そ、そっか。ナミさん頭いいんだな……」
「はい。それは間違いなく」
「やべぇな。これは、お返しのハードルが高くなっちまったぞ」
「はい……」
こうしてマラツンたちはナミの頭の良さに驚きつつ、ナミの次の行動を待った。
◆
午後、ナミは店番を哲夫と和代に交代すると、アルマジロを頭の上に乗せて店を後にした。
マラツンたちはその後を隠れながら付いてゆくと、ナミはピンデチの近くにある荒野地帯にやってきた。
そして岩キノコを大量に出現させると、業炎の壺を1つ投げつけて岩キノコを焼いた。
そしてナミは体育座りをして動かなくなった。
その様子を見ていたマラツンは頭の上に「?」を浮かべながらみんなに言った。
「おい……。あれは……。なんだろか」
「なんでしょうか」
「儀式では……?」
「いや、罠では?」
すると荒野の岩の陰から小さなアルマジロたちが嬉しそうにナミのところへと近寄ってきた。
「「キュウキュウキュウ!」」
小さなアルマジロたちはナミが焼いた岩キノコのところへやって来ると、一列に並んでナミにキュウキュウとお礼をするように鳴いた。
それを見たナミは嬉しそうに答えた。
「ぅん。ぁりがとう。ぃぃよ。たべて」
キュウキュウ!!
小さなアルマジロたちは嬉しそうに焼いた岩キノコを食べ始めた。
その様子を見ていたマラツンたちは呆気にとられながら呟いた。
「おい……、まるでジ◯リじゃんか」
「ナミさん、動物とも話すんですね」
「あのアルマジロが心を許すなんて」
「ナミさん、心も綺麗なんだろうな」
こうして心も綺麗なナミへとお返しは、さらにハードルが高くなった。
◆
ナミは暫く小さなアルマジロたちと遊ぶと、アルマジロたちに手を振って少し離れたところへと移動した。
そして今度はララガのお母さんとララ助を召喚すると、お母さんの背に乗ってララ助も連れて砂漠地帯へと向った。
その様子を見たマラツンは慌てて軽自動車のモービルを出現させると、後輩たちと一緒にナミを追いかけた。
◆
ナミは砂漠地帯に到着すると、お母さんとララ助と一緒に手際よく砂漠キノコを集め始めた。
するとその時、コーシャタ行きの定期バスが通りかかると、ナミはお母さんとララ助を呼んで並んでお座りをさせ、通り過ぎていくバスに手を振った。
すると運転手の元自衛官の山口が満面の笑顔で手を振り、バスに乗っていた乗客もみんな笑顔でナミとララガたちに手を振った。
「あ、ナミさんだ!」
「ララ助、かわいい」
「見れたらラッキー」
「うん、だよね!!」
ナミはバスが見えなくなるまで手を振り、バスが見えなくなったらお母さんとララ助をワシャワシャと撫でて、再び砂漠キノコを探し始めた。
その様子を見ていたマラツンたちは静かに頭を下げながら呟いた。
「いや、ナミさん、仕事できすぎ……」
「はい。完全にハイスペック女子です」
「ゲームの事まで考えてますよね絶対」
「うん。それにララガたちも凄いです」
無償でゲームの印象を良くする活動をしているナミへのお返しは、かなりハードルが高くなっていた。




