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第16話 ひろし、見つける

 その頃ピンデチの裏口では、教区長エミリーとホワイトドラゴンが変形したドラガを相手にイリュイーシュたちが奮闘していた。


 加勢に来たライラと海、そして応援に来た社長がタンクとなって敵の攻撃を防ぐと、イリューシュと翠が移動しながら弓で様々な角度から敵を狙った。


 そして、黒猫が敵の大技を防ぐように防御魔法を展開すると、その隙を縫うようにタケチが近距離攻撃を仕掛けていた。


 さらに建物の屋根の上からはドラちゃんが真空波で攻撃をしていた。


 するとその時、ルルからイリューシュにボイスチャットが入った。


「イリューシュ、たいへん!」


 イリューシュは攻撃を続けながら答えた。


「どうしたの!?」


「さっき海岸でドラガたちを倒したんだけど、また来た! ちょっとヤバいかも!」


 するとなんと入口のベンドレからもイリューシュにボイスチャットが入った。


「こちらベンドレ。ドラガの大群が後を絶たない。だれか遠距離の援護を頼めないだろうか」


 イリューシュはルルとベンドレの言葉に驚くと、慌てて答えた。


「ルルさん、ベンドレさん、ごめんなさい! こちらも手があきません!」


「ええっ!?」

「なんと」


 イリューシュは2人に答えて弓を構え直すと、なんと空から無数の矢が降ってくるのが見えた。


「あれは!」


 ズドドドドドドドドドド……


 その矢は教区長エミリーの体を無数に突き刺すと、空に光の魔法や4つの属性の魔法の魔法陣が浮かび上がった。


 そして魔法陣から全ての最高魔法が教区長エミリーとドラガめがけて放たれた。


 その様子を見たイリューシュたちが唖然としていると、イリューシュたちの背後から声がした。


「なんだか面白いことやってるってSNSでバズってたので来ちゃいましたよ」


「あたしたち、一応イークラトで名が通ってるのよ」

「うふふ、最近退屈してたのよね。協力するわね!」


 イリューシュがその声に振り向くと、男性の騎士と女性の騎士、そして女性の魔法使いを先頭に、その仲間たちが立っていた。


 女性の魔法使いはイリューシュを見て笑顔になると自己紹介をした。


「わたしたちはイークラトから来たの。あなたイリューシュさんね。イークラトの有名人だったから覚えているわ。ぜひ有名人のあなたと一緒に戦わせてもらえないかしら」


 イリューシュはその言葉に笑顔を返すと女性の魔法使いにお礼をした。


「ありがとうございます、とても助かります。ですが、このピンデチは不安定でセーブデータの保証が……」


 すると男性の騎士と女性の騎士は走り出しながらイリューシュに言った。


「セーブデータ消えたらまた最初からやりますよ! ははは」

「さあ、みんなでピンデチを守りましょう!」


 プレイヤーたちはそう言ってエミリーへ走っていくと女性の魔法使いも杖を構えて言った。


「うふふ。ピンデチで教区長エミリーが相手だなんて最高だわ。……こういうの。……こういうのが欲しかったのよ!」


 女性の魔法使いはそう言うと雷の最高魔法を発動した。


 ◆


 その頃、ピンデチの入口にも助けのプレイヤーが現れていた。


「あぁぁああああいい!」

 ドガガッ!


「はっ! はっはっ!!」

 ドガッ! ドスッ!


 なんと助けのプレイヤーたちはムエタイのタマシリ率いる数十名の武闘家集団だった。


 黒ちゃんはタマシリに気づくと英語で声をかけた。


「Thank you for your help! (助太刀(すけだち)感謝する!)」


 タマシリは黒ちゃんの言葉に笑顔で答えた。


「We are a team of martial artists from around the world. Enjoy the fight together.(我らは世界から集まった格闘家集団。一緒に戦いを楽しみましょう)」


 タマシリは格闘家の仲間たちと集まると、黒ちゃんたちの前に並んだ。


 そしてドラガの大群を牽制するように構えるとタマシリが黒ちゃんに言った。


「Something wrong is happening in this world right now. So we will fight to die to save this world. (この世界で今何か問題が起こっている。だから我らはこの世界を守るために死ぬまで戦います)」


「Tamashiri……(タマシリさん……)」


 するとタマシリはニヤリ笑って仲間に叫んだ。


「Forward!!(行けぇ!!)」


「「「おおぉぉぉおおおお!!!」」」


 タマシリの言葉に格闘家集団は走り出すと、ボクシング、ムエタイ、功夫(カンフー)、空手など、様々なスタイルでドラガたちに襲いかかった。


 ◆


 その頃、おじいさんたちはスマイル道具店のおばあさんたちと、再び現れたドラガたちと戦っていた。


 アーボンとマラツンたちは必死でドラガのたちを翻弄(ほんろう)していたが、マラツンの後輩たちは1人、また1人と脱落していった。


 それを見たマラツンは思わずアーボンに言った。


「アーボンさん! もう、さすがにヤバい!」


 アーボンは、当たらない剣を振り回してドラガたちを牽制しながら答えた。


「が、がが、がんばれ! ぜったい誰かが助けてくれる! 信じるんだ!」


「はっ……、はいっ!!」


 キィィ……ン


 するとその時、大きな流れ星が現れた。


 そしてその流れ星はぐんぐんと海岸に近づいてくると、ドラガたちはその流星に一斉に振り向いた。


 アーボンも異常な流れ星に気づいて目をやると、なんとそれはヴァルキリーだった。


 ヴァルキリーを確認したアーボンはマラツンに叫んだ。


「間違いない、助けが来た! あいつはヤバい、逃げるぞ!!!」


「あっ、は、はい!!」


 アーボンとマラツンがドラガたちから逃げ出すと、それとすれ違うように黒猫が駆け抜けていった。


 それを見たおばあさんは黒猫に声をあげた。


「黒猫ちゃん! がんばって!」


 黒猫は加速しながら答えた。


「お任せください、洋子殿!」


 そして黒猫はドラガたちの横を抜けてヴァルキリーの元へと飛び出すと、骸骨の姿に戻り両手を広げた。


 そして巨大な魔法陣を空に展開すると、そこへヴァルキリーが光の槍を投げ込んだ。


 ヒュッ!!


 そしてその槍が巨大な魔法陣に吸い込まれると、無数の光の槍になってドラガたちへと襲いかかった。


 ズドドドドドドドドドド!!!


 それを見逃さなかったルルは両手を挙げると、ゴーストとメイに叫んだ。


「ゴーストさん! メイちゃん! 今から光の矢を降らすから、あの翼の女の子と黒猫ちゃんの上に防御魔法陣を展開して守って!! わたしの魔法はもっと高いところから落とすから!!」


 それを聞いたゴーストとメイは杖を構えて答えた。


「うむ!」

「わかった!」


 ブゥゥー……ン!!


 ゴーストとメイは急いで黒猫とヴァルキリーの頭上に防御魔法陣を展開すると、ルルはニヤリと笑って空に無数の魔法陣を展開した。


「いっくよぉ! やぁぁああああ!」


 ルルが魔法の杖を勢いよく振り下ろすと、空から無数の光の矢が降り注いだ。


 ズドドドドドドドドドド!!!


 するとその時、おじいさんは少し遠い海の上の空中が少しだけ光ったのが見えた。


「おや?」


 おじいさんは気になってその光を見つめると、その光は四角く点滅しながら面積を増やし始めた。


「あれは……」


 おじいさんが不思議に思っていると、近くで防御魔法陣を展開していたゴーストがおじいさんに尋ねた。


「ひろしさん、どう致しましたか」


 おじいさんはゴーストの言葉に遠慮しながら答えた。


「お忙しいところ申し訳ありませんゴーストさん……。ええと、あそこに四角い光がありまして、どんどん大きく……」


 ゴーストはおじいさんが指差すほうを見ると、なんと空中に光るブロックノイズが現れていた。


「なっ!? ブロックノイズがなぜ海の上に!?」


 ゴーストがそう言った瞬間、光るブロックノイズの中からドラガが1体現れた。


「あれは、ドラガ!」


 ゴーストが驚くとブロックノイズからドラガが這い出し、そのまま海に落ちると泳ぎながらこちらへ向かってきた。


 その光景を見たゴーストは冷静に状況を判断した。


 ……あのブロックノイズは明らかにゲームのエラー。そしてそのエラーからドラガが現れた。これは不正なハッキングにちがいない……


 ゴーストは状況を把握すると、大声でそこにいるみんなに言った。


「誰か! あの海の上にある光るブロックノイズに攻撃してください!!」


 それを聞いたナミは急いで弓を構えて答えた。


「わかった。ゃる」


 ナミは弓を引き絞って光るブロックノイズに狙いを定めた。


 そして前後に大きく足をひらいて重心を下げると、鋭く矢を放った。

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