第17話 ひろし、危険なモノを引き当てる
ヒャァァアアア!
ナミが放った矢は一直線に光るブロックノイズへと飛んでいったが、海上の風に矢は翻弄された。
そして軽い矢は風に巻き込まれ、光るブロックノイズに到達する前に海の中へと落ちてしまった。
その様子を見たゴーストは再び声をあげた。
「だれか! 魔法は届きませんか!?」
しかし、ルルがゴーストに答えた。
「あの距離じゃ無理よ! ってか、なんなのあれ!?」
それを聞いたゴーストは悔しさを滲ませながら呟いた。
「くっ……。ハッカーは魔法の届く距離を想定済みか……」
その時、おじいさんは火薬玉を握りながら冷静に分析していた。
「ここから、あの光の四角までは……。ちょうど外野からキャッチャーの距離くらいですね」
おじいさんはそう呟くと、ピッチャーで投げる時とは違う投球フォームに入った。
「よし!」
そして大きく前に2歩ステップすると、低い位置から大きく腕をしならせて、一気に火薬玉を投げ抜いた。
ブンッ!!
おじいさんが放った火薬玉はレーザービームのように光る四角いブロックノイズへと飛んでいった。
シャァァアアア!!!
それを見ていたおばあさんは、おじいさんの一球に息を呑んだ。
ゴーストとルルもおじいさんが投げた一球に驚きながら声を漏らした。
「えっ! ひろしさん!?」
「すごっ! いけ! いけいけー!」
そして、そこにいたみんなはおじいさんの放った一球に思わず歓声をあげた。
「すげぇ、ひろしさん!」
「いっけーー!」
「じいちゃんの玉、がんばれ!」
「やば!」
「いけー!」
「そのまま、そのまま!」
シャァァアアアアアアア!!
おじいさんの放った火薬玉は唸りをあげて飛んでゆき、球速を落とすこと無くグングンと伸びていった。
そしてその正確なコントロールは、なんと光る四角いブロックノイズをとらえた。
シュッ!
おじいさんの火薬玉が光るブロックノイズに吸い込まれると、ブロックノイズの中で爆発した。
バゴォォッ! ビビ、ビビビビブ、ブブ……
ブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その瞬間、ゲームの世界が白一色の世界に変わり、黒の点と線で描かれるだけの世界になった。
そして、おじいさんたち全員は突然空へと放り投げられると、重力を感じられなくなって空中を漂った。
すると、おじいさんたちの目の前に見慣れない文字が現れた。
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error (エラー)445.32.6432.9119
reboost……(再起動)
failed(失敗)
reboost……(再起動)
failed(失敗)
reboost……(再起動)
failed(失敗)
disconnected (切断)
-------------------
「おや?」
おじいさんは真っ白な世界に居た。
あたりを見回すと、蝋人形のように動かないおばあさんと大熊笹がいた。
そしてゴーストやアーボン、ルルやメイやマユ、そしてナミやバルキリーや黒猫まで至るまで、すべてのプレイヤーが固まっていた。
「みなさん……」
おじいさんは固まってしまったみんなを少し悲しそうに見つめると、何も出来ずに砂浜に腰をおろした。
ー 現実世界 ー
おじいさんがブロックノイズに火薬玉を投げ込んだ瞬間、イグラァでハッカーと戦っていた大谷は、瞬時に大きなエラーが出たことに気づき、ニヤリと笑って呟いた。
「……みつけた。ふっ……。みつけたぞ……。はははは!」
大谷は恐ろしい速さでキーボードを叩くと、敵のハッカーがプログラム・コードを書き直すよりも早くAIを駆使して破損したデータを正常なデータに書き直し始めた。
敵のハッカーも必死に対抗したが、大谷の正確で洗練された美しいプログラムとそれを拡張するAIのスピードは敵のハッカーを圧倒し、瞬時に完全な形でゲームのプログラムを再生した。
その瞬間、ゲームの世界は正常に復帰した。
ヴン!!
「あっ!!」
おじいさんは突然色の戻ったVR世界に驚くと、近くに居たみんなも驚きながら声をあげていた。
「うわっ! びっくりしたー!」
「大きなバグだったようですね」
「急に、真っ白になっちゃって」
「戻ったか……。一時はどうなるかと」
「だね。ちょっと怖かったね、ははは」
「いやぁ、驚きましたなぁ」
こうして今回の騒動は集結を迎え、グレート・リセットを掲げるプレイヤーたちも警戒して、しばらくピンデチに近寄ることは無かった。
◆
大谷がプログラムを再生した頃、秘密裏に部長権限を使って遠隔操作でハッキングを仕掛けていたイグラァの営業部長は絶望の表情を浮かべて呟いていた。
「……う、うそだ……。そんな……。私のハッキングが……、止められた……?」
するとその時、営業部長のスマホに1通のショートメールが届いた。
営業部長はスマホを開いてショートメールを見ると、その予想外の内容に手を震わせ、驚愕の表情を浮かべながら呟いた。
「……なっ、……なぜ、私のプライベートのスマホの電話番号を知っている……? なぜ、イグラァの代表番号から私のプライベートのスマホにショートメールが!? なぜだ!」
ショートメールには差出人の大谷から、今回の事件についてイグラァから正式に提訴する旨が書かれていた。
営業部長は手からスマホを落とすと、愕然としながら涙を流した。
「終わった……。グレート・リセットなんて言うやつが居たから、チャンスだと思ってあのゲームを滅茶苦茶にしてやろうと思っただけなのに……。あんなゲームのために、どれだけ営業部長の私がつらい思いをしているか知らないヤツらに仕返ししたかっただけなのに……」
営業部長はそう言うと、目から光を失って床を見つめた。
◆
翌朝、おじいさんとおばあさんが朝食を摂っていると2人のスマホに運営からメッセージが届いた。
ピロリロリン♪
「おや?」
おじいさんはスマホのアプリを開いてみるた。
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この度は、ゲーム存続の危機にお力添え頂きまして誠にありがとうございました。
つきましては、お礼と致しまして限定のプレミアムガチャ10回券をご用意させていただきました。
【ガチャを引く】
ご利用頂けましたら幸いです。
なお、当社社長の意向により、皆様に「認定英雄」の称号を付与させて頂きました。
認定英雄の特典につきましては後日詳細が決まり次第ご連絡させていただきますので、暫くお待ちくださいませ。
今後ともザ・フラウを宜しくお願い致します。
ザ・フラウ運営部
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おじいさんが驚いていると、おばあさんも驚きながらおじいさんに言った。
「あらあらあら、プレミアムガチャですって」
「ああ、それも10回分も……」
「うふふ、じゃあ早速引いてみようかしら」
「そうだな。ははは」
おじいさんはそう言うと「ガチャを引く」をタップした。
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電動キックボード(ライトモービル) ★★★★
危険なほど臭い排せつ物 ★★★
ネバネバの樹の種 ★★★
防寒マフラー ★★
ステテコ ★★
プクナ 1000p ★★
謎のドクロ ★★★
プクナ 100p ★
eバラキ特産メロン ★★★★
ステータスポイント 1000p ★★★★★
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おじいさんはガチャを引くと思わず呟いた。
「電動キックボードはテレビで見たことがあるなぁ。しかし危険なほど臭い排せつ物とは……」
おじいさんは内容が良くわからなかったので、ログインしたらG区画の家のみんなに聞いてみようと思った。




