第11話 タケチ・パーティ
タケチの言葉を聞いたおばあさんは、杖を構えながらタケチに言った。
「タケチさん。わたしたちも……」
しかし、おばあさんの言葉を遮るように美咲がおばあさんの腕を掴んだ。
「だめ、洋子さん」
おばあさんは美咲を見ると、美咲は静かに首を横に振りながら言った。
「洋子さん、これはタケチさんのケジメとプライド。見守ってあげよう」
「……そ、そうね。美咲ちゃんの言うとおりだわ」
おばあさんは美咲の言葉に頷いた。
おばあさんたちは少し下がって戦闘スペースを確保すると、ナミもララガのお母さんを下がらせて、建物の陰に座らせた。
タケチは真剣な表情で前へ出ると、盾でガードしながら剣を構えた。
その姿を見たマユは思わず声を漏らした。
「タケチさん、隙がない……。あれって、ゆぅさんが言ってたパリィ・スタイルかも……」
それを横で聞いていたメイは、不思議そうな表情でマユに言った。
「え? パーティ・スタイル? 良くわかんないけど、なんかパリピそうで無敵そうじゃない?」
「ち、違うよ、パリィ! 盾で敵の武器をタイミング良く弾いて、その隙に急所を攻撃するんだって」
「そ、そっか。良くわからないけど、すごいね」
マユたちが話をしていると、敵の両手剣の騎士がタケチに近づいていくのが見えた。
両手剣の騎士はタケチの前までやってくると、剣を構えてニヤニヤしながら言った。
「タケチさん、いまライブ配信始めたからよ。おれがお前倒したらグレートリセットのリーダーになってもいいだろう?」
タケチは両手剣の騎士との間合いと盾の位置を慎重に調整しながら答えた。
「好きにすればいい。僕にとってはそのほうが都合がいい」
タケチがそう言うと、両手剣の騎士は笑いながら斬りかかってきた。
「ははは! 聞いたかみんな! おれはタケチを殺してリーダーになる!」
ブワッ!
両手剣の騎士は思い切り振りかぶり、タケチの頭めがけて両手剣を振り下ろした。
パンッ!
しかしタケチは小さな盾で体を開くように両手剣を弾き飛ばした。
「なっ!」
両手剣の騎士は剣を弾かれて防御がガラ空きになると、タケチは素早く踏み込んで両手剣の騎士の喉元を切り裂いた。
ズバッ!
「ぐわっ! くそっ!」
両手剣の騎士がタケチの攻撃に驚いて後ろへ下がると、入れ替わるようにハンマーの騎士と槍の騎士が飛び込んできた。
「おれのハンマーをくらえ!」
「串刺しにしてやる!」
しかしタケチは冷静に盾を構えて立ち位置の微調整をすると、先に飛び込んできた槍の騎士に踏み込んだ。
槍の騎士は素早く槍を突き出してタケチの顔を狙ったが、タケチは盾で滑らせるように受け流した。
ガガッ!
そして鋭く片手剣を突き出すと、槍の騎士を一突きした。
ドスッ!!
「ぐえっ!」
その時、そこへハンマーの騎士がタケチの頭を狙ってハンマーを振り下げていた。
「死ねぇ!」
バゴン!!
しかしタケチはハンマーも往なすように盾で受けて弾くと、痺れナイフをハンマーの騎士に投げつけた。
シュッ……、ドスッ!
「ぐっ! くそっ!」
ハンマーの騎士は痺れナイフで麻痺をすると、タケチは鋭く走り込んで急所へ連撃を食らわせた。
ズバッ! ズバズバッ!
シュゥゥゥウウ……
するとハンマーの騎士は消滅してゆき、仲間のプレイヤーたちはタケチを警戒するように下がった。
「おい、タケチ強ぇえぞ」
「ああ、パリィしやがる」
「あのハンマーがやられた……」
するとその時、侵入を試みたプレイヤーたちの背後から大きな声がした。
「おい、おまえら邪魔だ! おれが倒す!」
侵入を試みたプレイヤーたちが一斉に後ろへ振り向くと、そこには1人の大司教が立っていた。
それを見た美咲は思わず呟いた。
「あいつ、昼間にいた大司教……」
美咲がそう呟いた瞬間、なんと大司教は前に味方が居るにも関わらず、大司教の攻撃魔法「ウィンド・カッター」を放った。
「ウィンド・カッター!!」
ズババババババババババ!!
大司教が叫ぶと、大司教の両手から無数の真空波が飛び出し、前方にいる味方のプレイヤーたちを切り刻んだ。
「うわっ!」
「こ、こいつ味方じゃ……」
「ぐわぁ!」
「HPが!」
味方のプレイヤーたちは一瞬で消し飛び、大司教は不敵な笑みを浮かべながら言った。
「おまえら弱いくせに邪魔なんだよ。せっかく危険を冒してこの状況を作ってやったのによぉ。少しはピンデチを荒らせよ」
ウィンド・カッターで味方を消し去った大司教に驚いたタケチとおばあさんたちは即座に防御の体勢を整えたが、敵の大司教は再びウィンド・カッターを放ってきた。
「死ねぇ! ウィンド・カッター!」
ズババババババババババ!!
しかしメイだけは、それを待っていたかのように防御魔法陣を展開し、タケチとおばあさんたちを守った。
カカカカカカカカカカン!!
それを見た敵の大司教は予想外の事態に驚き、魔法を強化するための杖に持ち替えながら下がった。
そして杖を構えると、おばあさんたちを警戒しながら言った。
「ウィンド・カッターを防ぎ切る防御魔法陣か……。そっちにも大司教が居るみたいだな」
それを聞いたメイは、思わず手を挙げて答えた。
「うん! わたし」
メイを見た敵の大司教は、思わず声を荒げた。
「なっ! お前みたいなヤツが大司教だと!?」
メイはドヤ顔で答えた。
「そうだよ。すごくない? ほら、モーニング・セットも使えるよ」
メイはモーニング・スターを装備してみせた。
しかし敵の大司教は激昂するように杖を振りかぶると、ドヤ顔のメイにウィンド・カッターを放った。
「調子に乗るな! 次が最後だ! ウィンド・カッター!!」
ズバババババババババ!
しかしメイは冷静にモーニング・スターで防御魔法陣を展開してウィンド・カッターを受け止めた。
しかし、
パリン!
「え、やば!」
なんとメイの防御魔法陣は、杖で強化された敵の大司教のウィンド・カッターに破られてしまった。
敵の大司教はメイの防御魔法陣を破ると、一旦手を止めた。
そして、薄ら笑いを浮かべながらメイに言った
「次で本当に最後だ。モーニング・スターなんて邪道な武器で挑発するからだよ。大司教のくせに武器なんか持つんじゃねぇよ」
その時、
ブンブンブンブンブン……
敵の大司教は風切音に気づいて音のするほうを見た。
するとなんと、2本のモーニング・スターが勢いよく飛んできていた。
「モッ! モーニング……」
ドガン!!
「ぶはぁあ!!」
飛んできたモーニング・スターは敵の大司教の顔面にめり込み、そのまま大司教を吹き飛ばした。
ズザァァアア……
それは黒ちゃんが投げ飛ばしたモーニング・スターだった。
「みなさん、大丈夫ですか!」
黒ちゃんが走ってやって来ると、それを見たナミは物陰に隠れていたララガのお母さんに指示を出した。
「お母さん! ぁのひと!」
ガァァアアアアア!!
ララガのお母さんは待っていたとばかりに火の粉を吹き出すと、火の粉は敵の大司教を包みこんだ。
敵の大司教は慌てて防御魔法陣を展開しながら叫んだ。
「くそっ! テイマーか!! なんだんだ、コイツら!!」
チュッ……
ドゴォォォオオォォォオオ!!
お母さんが大爆発を起こすと、敵の大司教は跡形もなく消滅していった。




