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第244章 王都の歓声と、新たな建設

第244章 王都の歓声と、新たな建設


翌朝。

すすむは、まだ薄暗い王都の空を見上げながら、ゆっくりと馬車へ乗り込んだ。


「すすむさん、緊張してます?」


隣に座ったマリーが、少しだけ笑いながら尋ねてきた。


「……まあね。昨日の今日で、パレードって」


すすむは苦笑した。

王都の城門前には、すでに多くの人々が集まっていた。

戦いの翌日だというのに、街は異様なほどの熱気に包まれている。


馬車の上には、すすむとマリー。

そして先導役として、王都の儀典官が馬に乗っていた。


「これより、白谷すすむ殿の凱旋パレードを執り行う!」


儀典官の声が響くと、王都の大通りに歓声が広がった。


「すすむ様ー!」「ありがとうー!」「帝国を退けた英雄だ!」


すすむは顔が熱くなるのを感じた。


(……いやいや、僕は英雄じゃない。ホテルマンだよ)


しかし、王都の人々はそんなことお構いなしに、手を振り、花を投げ、声援を送ってくる。


マリーは微笑みながら手を振っていた。


「すすむさん、せっかくですし……少しだけ手を振りましょう?」


「う、うん……」


すすむはぎこちなく手を振った。

その瞬間、さらに大きな歓声が上がる。


(……なんでこうなったんだ)


国王の命令だから仕方ないとはいえ、すすむは恥ずかしさで胸がいっぱいだった。


パレードが終わると、政務官がすぐに駆け寄ってきた。


「すすむ殿、国王より伝言がございます。

国境の警備強化、グレンへの陸軍基地建設、そして……街道整備を急ぎたいとのことです」


「街道整備……?」


「はい。グレンからシーラス国境検問所までの道を、軍が迅速に移動できるようにしたいと。

それから――」


政務官は書類を差し出した。


「装甲車Bを追加で百台。

夜行バスも百台。

雪上車も百台。

王国軍として正式に発注したいとのことです」


すすむは思わず目を瞬いた。


「……百台ずつ?」


「はい。王国の防衛体制を一気に整えるためです」


(……まあ、必要だよな)


すすむは頷いた。


「わかりました。準備します」


政務官はさらに続けた。


「それと……王都に高級クラシカルホテルを一件、建てていただきたいとのことです」


「え?」


すすむは思わず聞き返した。


「国王陛下が、グレンのクラシックホテルと登山電車の話を聞かれまして……

王都にも同じような施設が欲しいと」


(……そう来たか)


すすむは苦笑した。


王都の東側には、広い空き地があった。

古い城壁の名残があり、一部は緩やかな傾斜になっている。


すすむはその土地に立ち、風の匂いを感じながら考えた。


(ここなら……公園とホテルを一体化できるな)


すすむは地面に手を触れ、静かに念じた。


――高級クラシカルホテルC、出現。


柔らかな光が広がり、木造の本館が姿を現した。

重厚な梁、広いロビー、クラシックな外観。

グレンのクラシックホテルと同じ設計だが、王都の雰囲気に合わせて少し落ち着いた色調になっている。


傾斜地には、新館が建てられた。最上階部は和食レストラン、その下の階は、宿泊棟とした。


そのほか、庭園を見下ろす、歴史的偉人が引いたピアノが飾られた展望ラウンジとバー。

公園やその池の景色を一望できる絶好のロケーションだ。


すすむは続けて、公園の設備を生成した。

噴水、遊歩道、ベンチ、街灯。

王都の人々が散歩できるよう、広々とした緑地を通る歩道ができる。


「……すごい」


マリーが隣で呟いた。


「王都にも、こんな場所ができるなんて」


「観光客も増えるだろうし、王都の人たちにも喜んでもらえるといいな」


すすむは微笑んだ。


ホテルの前には、馬車専用のバレーパーキングを設置した。

客が到着すると、ホテル従業員が馬車を預かり、駐馬場へ移動させる仕組みだ。


「これは……便利ですね」


マリーが感心している。


「王都は馬車が多いからね。

渋滞を避けるためにも、こういうサービスは必要だと思う」


レストランは洋食と和食の二つを設置した。

厨房は広く、調理学校の学生が実習できるように設計されている。


「後で、ホテル学校と調理学校からスタッフを派遣するように調整しないとね」


「はい。きっと学生たちも喜びます」


ホテルの周辺には、歴史ある寺院や古い街並みが残っている。

国内からの観光客も多く、王都の新たな観光拠点として期待できる場所だった。


すすむはホテルの全体を見渡し、深く息を吐いた。


(……よし。これで王都の要望はひと通り満たせたかな)


ホテルの開業準備が整うと、すすむは冒険者ギルドを訪れた。

あいにくタクトギルド本部長は不在で、ギルド職員に、


「このホテルの開業まで、警備をお願いしたいんです」


と依頼を出す。


ギルド職員は驚きながらも、すぐに依頼を受けてくれた。


「王都の新しいホテル……すごいことになりそうですね」


「まあ、王様の要望だからね」


すすむは苦笑した。


依頼を終えると、すすむはマリーと共にヘリへ向かった。


「グレンに戻ろうか」


「はい。みんなも心配しているでしょうし」


ヘリが上昇し、王都の街並みが小さくなっていく。


すすむは窓の外を見つめながら、静かに呟いた。


(……戦いの後でも、やることは山ほどあるな)


しかし、その声には疲労だけでなく、どこか前向きな響きもあった。


こうして、すすむは新たな建設を終え、再びグレンへ帰還するのだった。

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