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セカンドハーフ~夢の後半戦~  作者: ふぉるせ
5章

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8

 涼宮透すずみやとおる御子柴達樹みこしばたつきが一緒にクラスに入ると、何やら中央付近でクラスメイトの人だかりが起きている。――まるで体育のサッカー授業の団子状態の様だ。その中心地点には、蓮見翔はすみかける雪乃遥人ゆきのはるとがいた。


「なんだこの人だかり?」


 達樹が首を傾げていると、遥人がこちらに気付いた。椅子に座っているのだが、手にはスマホを持っており、何かを皆して見ていたらしい。


「あ、涼宮くん、御子柴くん、おはようございます!」

「「おはよう」」


 透と達樹もまた、導かれるようにその集団の輪の中に入っていく。


「みんなで何見てるんだ?」


 透も盛り上がっているクラスメイトの面々を見て尋ねる。

 答えてくれたのは、スマホを机に置いてみんなに見せている、遥人だった。


「バーチャルGoTuberの猫芝ねこしばけまりさんが、高校サッカー特集と言う動画を投稿して、埼玉北ブロックで駒野場高校の躍進を紹介してくれているんです!」


 どこか興奮した様子で、遥人が笑顔で言っている。

 見せてきたスマホの画面には、確かにインターハイ地区予選大会を戦う注目高校として、駒野場高校とサッカー部を特集している動画が映っていた。画面の右下には、可愛らしい猫耳をした女の子のアニメーションキャラクターが動いている。

 ざわざわと、クラスメイトたちも色めきだっているようだ。


「こういうのって普通、県大会出場してから取り上げられるんじゃないの?」

「こんな詳しく丸々一本の動画作るって、めっちゃすごくね?」


 と、地区予選の段階で一本の動画で特集されること自体稀だと言うのだ。


「凄いですよね!? 僕、サッカーのスーパープレイハイライトとかをまとめてるチャンネルとか登録してて、猫芝けまりさんのチャンネルもいつの間にか登録していたんです。そして朝、通学中にスマホでGoTube見たら駒野場サッカー部の特集がされてて、凄いですよ、これ!」

 

 遥人が興奮気味に言っている。


「よくわからねぇが、凄いのか、これ……?」


 達樹がきょとんとしていると、遥人がすかさず「凄い事です!」と言っていた。


「普通世間の注目から見ても、昨年優勝校の陽光白崎の事を取り上げる動画が多い中、今話題沸騰中の猫芝けまりさんがわざわざうちを取り上げてくれているんですよ!? これだけでも異例です!」

「そ、そうか……。アニメとか見ないからよく分かんないんだよなぁ……」


 達樹が髪をかきながら言い訳のように呟く隣で、透はあごに手を添えてまじまじと動画を凝視する。


「やけに駒野場高校の歴史とか校内事情の事とか、サッカー部の最新設備とか、プライバシーに配慮されつつも詳しく解説しているな……」


 まるで学校に直接訪れてその場にいるかのような、細かいところまで紹介している。


「もしかして次の試合で活躍したら、駒野場高校サッカー部超絶ハイライト集って事で、取り上げられちゃったりするかも!?」


 翔はただ単に駒野場サッカー部が有名になっていることが嬉しいようで、遥人と同じく盛り上がっているようだ。


『皆さんも高校サッカー、興味沸きませんか!? 激戦区の埼玉以外にももちろん、魅力的な試合はいくつもあります! その中で今日は駒野場高校サッカー部を特集しました! また次の動画で会いましょー!』


 音量が大きいため、クラス中にその元気はつらつとした明るい、猫芝けまりの声が響く。

 一方で、


「ねぇ朝から男子うるさいんですけどー」

「ねぇ、みお?」


 サッカーに一切興味がないクラスメイトの女子が文句を言ってくる中、毬本澪まりもとみおも「そ、そうだね……」と苦笑して、その盛り上がる集団の様子を横から見ているのであった。


『もし見ない人は、顔面にボレーシュート叩きこんじゃうんだから!』

「怖っ! コイツ言ってること怖っ!」


 達樹がおっかなびっくりとなる傍で、遥人が「き、決まり文句ですから……」と苦笑していた。


「だから男子うるさいって……って澪? なんで顔伏せてるの? どこか具合悪いの……? 顔真っ赤だよ……?」

「う、ううん。な、なんでも、なんでもないの……」


 相変わらず文句を言う女子の後ろの席で、ぷるぷると身体を小刻みに震わせながら、なぜか机の上に突っ伏しだす毬本であった。

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