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セカンドハーフ~夢の後半戦~  作者: ふぉるせ
5章

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3

 全体練習の途中。水分補給をしにやって来た御子柴達樹みこしばたつきに、同じ中学校出身であり、次戦の相手校に所属する同級生、神宮司奏多じんぐうじかなたの事を尋ねてみる、鷲田わしだ

 紙コップの水をごくりと飲み込み、あご下から汗を垂らす達樹は「神宮司は知ってます」と短く答えていた。


「同じ中学校で、サッカー部でした」

「ユースじゃなくて、部活だったんだ」


 U-15クラスの逸材であればよくあるのは中学の部活ではなく、浦和や大宮と言ったJリーグクラブのユースに所属しているものだが、あくまで普通の中学の部活に、達樹と共に所属していたという。


「はい。理由は後で言いますが、とにかく滅茶苦茶やべぇ奴で、何もかもが俺より上です。ゴールへの嗅覚、状況把握力、攻守の切り替え。周囲からは和製メッシ、なんて言われてましたが、俺からすれば正直メッシ以上だと思ってます。守備も徹底的に手を抜きませんからね」

「御子柴くんがそこまで言うとはねぇ。なんで中学の部活なんだろ。確かに柳瀬川第七中は強いけどさ」


 鷲田が改めて尋ねると、達樹はやや芳しくない表情を浮かべていた。


「人格もまったく問題ありません。入団テストに行けば即合格だったでしょう。ただ……」


 達樹は一息、ため息の様なものを零してから、再度口を開いた。


「本人にやる気がないんです。いや、表面上は真面目に戦って、サッカーを楽しんでいるようにしてみせているんですが、心の奥ではサッカーを嫌っている」


 達樹の口から出た衝撃の発言に、鷲田も神楽坂も一瞬だけ言葉を失っていた。しかし何よりも間近で彼を見ていた達樹がそういうのだから、間違いないのだろう。


「……うーん。これだけ才能に恵まれているし、将来も約束されているようなものなのに、なんでだろうね」

「中学の時、俺も聞きました。冗談交じりですが、なんでお前みたいなやつが普通に部活にいるんだよって。アイツ曰く、キツイ練習が嫌だとは言っていましたが……」

「それなのに再び強豪校の陽光白崎に入学して、サッカー部所属。そこもまた謎ですね……」


 神楽坂もあごに手を添えて首を傾げているようだ。


「そんなキツイ練習が嫌だったら駒野場ウチ来ればよかったのに。アットホームな環境だよ?」

「ははは……。普通にハードワークな練習してますが……」


 達樹は苦笑していた。


「まあ遅かれ早かれ次の試合で当たることになる。御子柴くん的にはどうだい? 試合で相手として戦えて嬉しいか、それともまた一緒に仲間で戦いたかったか」


 鷲田にそう問われると、達樹はやや間を置いてから、そっと口を開く。


「俺は……――」


 その瞬間、後ろでコーンっと、何かが金属にぶつかるような鈍い音が響く。

 何事かと三人が振り向くと、ゴールポスト前でおでこに手を添えて叫ぶ、蓮見翔はすみかけるの姿があった。


「わー!? 蓮見くんが、ゴールポストにぶつかった!? 大丈夫!?」

「だ、大丈夫大丈夫……じゃないかも、痛いーっ!?」


 遥人が上げたクロスのボールを追いかけて宙を見上げたまま走り、ゴールポストに真正面からぶつかった様子の翔に、あたふたと慌てる遥人。


「大丈夫かー?」


 そんな二人の後ろから、とおるが駆け寄って声を掛けている。


「脳撃った、俺、馬鹿になっちゃうかも……」

「大丈夫だお前はそこまで元から賢くない」

「慰めてくれてるつもりだけど、ひ、ひどい……」


 などと、透と頭を押さえる翔が言っている。


「あ、えっと、大変です。すぐに見てきます」


 神楽坂が翔の容態を確かめに向かうのを視線で追いつつ、達樹はやれやれと肩を竦める。

 それが答えなのかもしれない、と鷲田はそれ以上の詮索をいったん止めるのであった。

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