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火曜日。2回戦を終えて、休養日を挟んだ本日からまた、週末の日曜の試合に向けての練習の日々が始まる。今週末の日曜の試合を勝てば、県大会出場の切符が手に入る、言わばブロック予選の決勝戦──代表決定戦である。当然、負ければそこでインターハイが終わるのには違いない。駒野場も対戦相手も、死力を尽くして勝ち来ることだろう。
朝に自室で目を覚ました涼宮透は身支度をして、母親の作ってくれた朝ご飯を食べる。
「おはよう透。家出る時に玄関にあるゴミ、出してきてね?」
「はい」
「そういえばサッカー部は、次勝てば県大会?」
「うん。地区予選トーナメントの決勝戦なんだ」
「そう……こういうのもなんだけど、頑張ってね」
「もちろん」
透は着替えを終え、駒野場高校の制服を着て、玄関に置いてあった家庭ごみの袋を握って、マンションの通路に出る。
9階の角部屋が涼宮家の住居なのだが、その隣の部屋はしばらく空き家であった。ところが昨日から、転居者が引っ越しをしてきたらしく、玄関にあった南京錠が取り外され、業者が昨日の昼頃から荷物運び作業をしているらしい。今は早朝という事もあり、さすがにこんな時間から作業はしていないが。
透はその玄関前を素通りし、エレベーターを使って1階に降り、ゴミ捨て場にゴミを捨てて駒野場高校まで向かうのであった。
火曜日の1時間目が終わったタイミングの休み時間で、1-Aのサッカー部4人組は集合していた。
「次の対戦相手が決まったって、神楽坂先輩からグループSNSに投稿がありましたね」
雪乃遥人がスマートフォンを三人に見せるように机に置き、指でスライド。
「次勝てば、県大会?」
翔が聞いてくる。
それに対して透は頷いた。
「うおー! やっぱ県大会って聞くと、なんかグレードアップした感あるよな!?」
「地区大会を勝ち抜いた勝者だけが行ける大会だからね。当然、駒野場サッカー部の知名度も上がるだろう」
「絶対負けられないな!」
「ありました、投稿」
遥人が画面をタップし、拡大表示する。
「陽光白崎高校、という高校らしいですね」
「陽光白崎……」
遥人の言葉に、御子柴達樹が復唱して反応していた。
「確かこの高校って……」
「昨年の地区大会優勝校の一つ。北平高校より強い、県大会出場が当たり前の、強豪校だ」
達樹が近づけていた顔を上げながら、そう言っていた。透は久しくサッカーから離れていたため、よく分かっていないのだが、達樹曰く知る人ぞ知る強豪校のようだ。
放課後のサッカー部の集団ミーティング。食中毒から回復したサッカー部員全員が戻ってきて、50名規模の人口密度高い人員が一同に介している。
「皆さん、専用グループSNSには投稿したと思いますが、地区予選決勝戦の対戦校が決まりました。次戦の相手は陽光白崎高校。昨年の県大会出場校であり、地区予選大会優勝校でもあります」
モニター前に立つ神楽坂がタブレットを手に、説明している。
陽光白崎。その名前が出た瞬間、前方に座る先輩たちの間でどよめき声が広がる。初戦の北平の時とその反応自体は似たようなものだった。
「皆さんも知っての通り、陽光白崎は昨年の県大会出場校であります。初戦はシード枠で免除。二回戦は5-0で勝利し、決勝戦に臨む強敵です。戦力を見ても間違いなく、北平を凌駕しており、埼玉北区のトップと言っても過言ではないでしょう」
「5-0って、漫画かよ……」
「全員がユースレベルで、サッカー部の入部も推薦とかがないとできないレベルだって聞いたぜ……」
ひそひそと、そこかしこで週末に戦う相手校の噂が聞こえてくる。
「……」
そんな中、隣に座る達樹の表情が曇っているのを、透は見ていた。




