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セカンドハーフ~夢の後半戦~  作者: ふぉるせ
1章

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9/48

8 奇数チーム 2:0 偶数チーム

 御子柴達樹みこしばたつきから奪い取ったボールをドリブルし、前線へと運ぶ涼宮透すずみやとおる。前半でまさしく無味無臭。透明と言われても可笑しくない存在感の無さであった彼が、後半開始から嘘のように、卓越したブロックを行い、ボールを奪取し、前線に駆け上がる。

 驚くクラスメイトたちの声と視線を感じるが、そんな事は今の透の意識に干渉しない。


「お前、さっきのプレー凄いな!」


 そんな透の横を並走するように、蓮見翔はすみかけるが走り、そんな事を言ってくる。


「まるで御子柴の次のプレーが分かってたみたいだな!?」

「……そんなわけ、あるか!」


 久しぶりの全力疾走だ。息が切れる。このスニーカーでドリブルしながらは、走りづらい。

 そんな事を思いながら、透はいくらか明るい口調で言い返す。


「パスだ! 前に走れ!」


 声の後、目線とジェスチャーで翔に合図を出す。

 バレバレのルートであったが、相手は素人同然。今はこれでいいだろう。

 一瞬でこちらの意図する事を理解した翔は、嬉しそうな笑顔と表情で、相手DFの背後に向けて走り出す。


「オフサイドはないんだよな……!」


 あったとしてもギリギリのタイミングだ。

 透はがら空きのゴール前へと、ボールを蹴り出す。

 団子状態となっている相手DFの裏を通す、スルーパスだった。

 直前の手筈通り、それに反応したのが翔である。

 透が蹴ったボールは思い通りに翔の足元に転がっていき、完全フリーの状態で、翔はボールを相手GKと一対一の状況まで持ち込んだ。


「ナイス、涼宮!」

「打て!」


 透の掛け声に呼応し、翔が思い切り右足を振りぬく。


「うわ!」


 相手GKが思わず身をかがむ。それが偶数チームの初めてのシュートだった。

 翔が蹴ったボールはゴールネットに突き刺さり、偶数チームがようやく一点を返した。


「よっしゃあ!」

 

 翔は両手でガッツポーズをし、すぐに振り向いて、透の元まで駆け寄る。


「ナイスパス! いやマジで上手いなお前!」

「あ、ありがとう。現役サッカー部に言われるのは、光栄だ」


 どこか気恥ずかしく、透はぎこちなく視線を泳がせながら、答える。

 いつぶりだろう、こんなに褒められて、感謝されるのは。

 きらきらと眩しい笑顔を見せてくる翔に対し、透は手を掲げ、二人は軽くタッチをしていた。


「まだ一点返しただけだ。もともと俺のミスで一点取られたんだし、今のはお返しって事で」

「え、ミス?」

「い、いや」


 さすがに格好つけすぎたのか、きょとんとする翔に、透はこほんと小さく咳払いする。


「逆転、するんだろ?」

「っ!」


 透の言葉に、翔は両手の握りこぶしで、強く頷く。


「おう、そうだそうだ!」


 思い出したかのように自陣に戻っていく翔と、彼を追うように自身も自陣に戻る透。

 その瞬間、達樹がこちらをじっと見ている事に、透は敢えて気づかないふりで、わざと目線を逸らしたままでいた。

 ――そうでもしないと、こちらの心を、思考を、逆に¨見透かされている¨ような気がするからだ。

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