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セカンドハーフ~夢の後半戦~  作者: ふぉるせ
4章

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89/100

33 駒野場高校 2:1 扇大高校

 後半も残り時間僅か。駒野場イレブンに鷲田わしだから与えられた指示は、守りを固めることだった。お互いに交代枠も使い切り、残り時間、駒野場は耐える時間となる。あまりハイリスクな攻撃は行わず、消極的なバックパスを中心に回していると。


「ひ、卑怯だな時間稼ぎなんて!」

 

 扇大の監督、毒島ぶすじまが駒野場ベンチに聞こえるような声量で言いだす。


「卑怯はどっちがだよ……」


 鷲田が思わず吹き出しているのを、マネージャー含めたベンチメンバーは首を傾げていた。


「ま、選手に罪はないけど、ウチも負けられないんでね」


 鷲田が睨むピッチ上では、試合終盤となり、互いに消耗し足が重たくなってきた両校の選手が、最後の最後まで諦めずにプレイする光景があった。


「このっ!」


 オフェンシブハーフ寄りになった相手キャプテン、桜井さくらいを中心に、負けられない扇大高校は怒涛の攻めを行ってくる。

 ドリブルで1人をかわし、桜井はアンカーのポジションにつく透の前にまで進む。


(勝負が決まるこの時間帯でドリブル突破。失敗しないためにも、博打は避けて、得意な利き足を使って右へ突破してくるだろう……)


 透は桜井の顔をじっと見てから、足元に視線を移動させる。


「生意気な!」


 桜井は透をかわそうと、斜めにボールを蹴り出すが、透はその動きを読んでいた。前半戦のうちに、キーマンとなるであろう桜井の動きの癖はすでに見切っていたのだ。


中央センターは通させない……!」

「なにっ!?」


 重心を右に寄せ、踏ん張らせていた足を軸に、素早い切り返し。まるで相撲取りが四股をとるような挙動で、透は右足を伸ばしてボールにタッチし、桜井のドリブルの軌道を狂わす。


「っち!」


 桜井はなおも諦めずにボールを追いかけるが、透もまたボールを追いかけ、互いに肩を押しあいながら走る。


扇大おれたちは負けない。なんとしても県大会に行くんだ!」

駒野場おれたちだって、負けるわけにはいかない!」


 あくまでピッチ上では、正統な対戦相手として、全力を尽くして戦う。そうして勝つことこそが、何よりもの、()()()となるのだ。

 

「このっ!」


 透が伸ばした足先に触れたボールが、大きく弾き飛ばされる。ボールをクリアした身体は制御を失い、視界が反転し、天井がいっぱいに広がる。


「――涼宮すずみやくん!?」


 足音に混じって、遥人はるとの声が聞こえる。

 

「大丈夫!?」

「うん。ボールは……?」

「サイドに割ったよ!」


 遥人が両手を差し伸ばしてきて、仰向けで倒れた透を立ち上がらせてやる。

 パラパラと、削れた芝をユニフォームから落としながら、透は立ち上がった。


「すぐに立ち上がる雪乃を見習わないとね」

「もう、冗談言ってる場合じゃないよ!? 守り切らないと!」

「冗談のつもりじゃなかったんだけどな……」


 ふぅと息をつき、透は残り時間を確認する。時間は後半フルタイムを終え、ロスタイムだ。相手GKも上がってきている。全員攻撃参加をしてくる算段だ。

 駒野場イレブンも11人全員が自陣に引き篭もり、守備を固めている。

 サイドスローインから落とされたボールを、味方MFと相手FWが競り合い、扇大がマイボールにする。もう残った時間はない。焦る相手FWは強引なバイタルエリア外からのロングシュートを放つ。放たれたボールは鋭く枠を捉えたが、キーパーのわたりがパンチングで弾き飛ばす。後で聞いたが、もうキャッチは怖くて、パンチングで弾き飛ばすしか選択肢がなかったそうだ。

 弾いたボールが再びタッチラインを割ったとき、主審の長い笛が吹かれた。試合終了の、合図。2-1で、駒野場高校の勝利だ。

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