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セカンドハーフ~夢の後半戦~  作者: ふぉるせ
4章

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32 駒野場高校 2:1 扇大高校

 オーバーヘッドシュート。バイシクルキックとも呼ばれるそれは、サッカーに於いて最も難易度が高く、成功確率も決して高くはない。優れた身体能力と、空間認識力と、少しばかりの運によって成功する難しいシュートを、蓮見翔はすみかけるが成功させ、見事に駒野場に逆転の1点をもたらした。


「よっしゃあ!」

「よくやった、蓮見!」

「ナイスナイス!」


 スーパーゴールを決め、集まって来た駒野場イレブンにもみくちゃにされる翔であったが、次の瞬間、ゴールライン付近に立っていた雪乃遥人ゆきのはるとに向けてグッドポーズをする。


「ナイスパス雪乃! お前ならやってくれるって信じてたぜ!」

「え、あ……」


 バクバクとなる心臓は、まだ落ち着きを取り戻せていない。本当に、点が決まったのか、夢見心地のようだ。

 ベンチを見てみると、鷲田わしだが笑顔で拍手をしており、一緒に座っていたベンチメンバーや、自分と交代した仲間が喜び合っている。続いてピッチの方を見ると、自陣奥深くに立っているとおるも、手を掲げてグッドポーズをしているようだ。


「アシスト、したんだ……。僕が……!」

「よく諦めないでボールに喰らいついたな、雪乃」


 御子柴達樹みこしばたつきも駆け寄ってきて、とんと肩を叩いてきた。


「もう、なにがなんだか。ただ夢中で、必死で、ボールを中にって……」

「ナイスガッツだ。怪我はしてないか?」

「大丈夫。割ってなかったんだよね、ボール……」

「おう。審判も入ってるって言ってたし、ちゃんとゴールだ」


 なぜか確認するように聞く遥人に、達樹も真剣な表情で頷く。


「しっかしまあ、蓮見のやつ。俺の1点が台無しになるみてぇなとんでもねぇゴール決めやがって……」

「蓮見くんの運動神経は、凄いからね……」

「お前の足の速さも負けてねぇと思うけどな。ナイスランだったぜ」


 達樹はどこか悔し気に、しかし笑いながら、翔を見つつも、遥人を労っていた。


「――何やってるんだ!? 相手は控えメンバーだらけなんだぞ!? 逆転されるなんて何事だ!?」


 駒野場の歓喜の瞬間を打ち消すほどの、相手校の監督である毒島ぶすじまの大きな怒鳴り声は、観客がいない試合会場にはよく響いた。

 扇大イレブンは項垂れつつも、毒島のいう事を聞いていた。


「あれを見ると、俺たちのワシ監督が天使に見えてくるな……」


 やれやれと達樹が肩を竦めている。


「うん……」


 あんな不正まがいなことをしてまで、それでも選手に求めるものは求め続ける。

 遥人はどこか切ない思いを抱きつつも、気持ちを切り替える。今はこの試合に勝って、自分たちの正しさを証明し、サッカーを守らないと。


「後半はまだ続いている。絶対に勝とう」


 気合を入れ直すため、擦り傷がついた頬を両手でぱんと叩き、遥人は達樹に言う。

 いい気合いだ、と達樹は頷き、自陣まで共に引き上げていくのであった。

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