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セカンドハーフ~夢の後半戦~  作者: ふぉるせ
4章

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19

 翌日の駒野場高校サッカー部の平日最後の合同練習。今日と明日の練習を以って、いよいよ二回戦の扇大高校との決戦に臨む。フィールド上で今日も今日とて練習を行っている。


「ぱ、パス!」

「あれ!?」

「どんまいどんまいー」

「しまっていこう―」


 チーム立て直し当初よりは形にはなってきている連携面。個々の差は当然あれど、当初よりは戦えるチームはできつつある。

 だが、問題はそこではない。そこでは、ないのだ……。

 じっと生徒たちを見ていた鷲田は、いよいよ、ぼそりと、口を開く。


「いや、なんか、増えてね? 人、増えてね?」


 明らかに自分が記憶していた人数より一人増えてる気がする。

 鷲田が慌てて隣に立つ神楽坂かぐらざかに聞いてみると、彼女は眼鏡をそっと、指で押し。


「この時期、部員が自然と生まれがちです。大切に育てて、花を開かせましょう」

「部員ってそんなピ〇ミン的な概念だったっけ!?」


 当然でしょう、と言わんばかりの神楽坂に鷲田は盛大に突っ込んでいた。


「遅れましたが、こちら、新入部員の入部届です」

「逆じゃない!? 普通順番逆だよね!?」

「日曜日までになんとしてもメンバーを補充する必要があったので、急いでユニフォームと練習着も準備いたしました」

「そこは……相変わらず優秀だよね」


 鷲田はやれやれと肩を竦めつつ、入部届の紙を見る。きちんと、親のサイン入りだ。


雪乃遥人ゆきのはるとくんか。クラスは1-A。……この子は確か、体育の授業のサッカーで涼宮くんにラストパスを出していた子か……」


 面白い、とでも言いたげに含み笑いを零し、フィールド上を見る。

 その視線の先にはSBの位置につき、激しいトランジションに喰らいつき、芝生の上を走る新入部員遥人と、彼からパスを受け、ボールをさらに繋げる動きを見せるとおるの姿があった。


「……君の周りには面白い人材が良く集まっているね……」

「何か言いました?」

「いやなにも。さぁて、日曜の試合に向けてまた戦術も考え直さないとな」


 一転して鷲田はどこか上機嫌となり、楽しそうに考え事をする仕草を見せているのであった。

 一方、フィールドの上で遥人は駒野場サッカー部の練習着を着、SBとしてチームの全体練習に加わっていた。


「ハアハア……。鍛えてるつもりだったけど、やっぱり本物のサッカー部は凄いな……」

 

 汗を流し、ピッチを掛ける敵味方双方を見つつ、遥人は小さくない感動を味わっていた。


「僕がサッカー部の一員として、みんなと一緒に戦っている……!」


 その視線の先には、MFとしてトップ下ポジションに就く涼宮透すずみやとおるの姿があった。

 昨日放課後、サッカー部に()()()()()()にされた遥人。もちろんあの直後の帰り道、透から詳細な説明は受けた。人手が足りなく、2回戦出場自体が、危うかったこと。だがそれを聞いても、遥人は実感がわいていなかった。


 ――僕なんかが入っても、球技も苦手だし、きっとみんなの足手まといになる。


 だから言ったのだ、数合わせだったら、協力すると。

 だが、透はその提案に対し、首を横に振っていた。


 ――数合わせじゃなく、チームメイトとして、なんだと。


 初めての感覚だった。誰か他人に、自分が必要とされているこの感覚は。茜空の下、差し込んだ夕日に照らされ、こちらを真剣な表情で見つめてきた透の顔は、今も色濃く残っている。

 そして彼の表情は、フィールドの上でも同じだった。サッカーと真剣に向き合っている、あの表情だ――。


「――雪乃?」

「わぁあああああ!?」


 気が付けば、透が真横に立って声を掛けてきていて、遥人はびっくり仰天する。


「もう、驚かすのはやめてって!」

「え……。普通に声かけながら近づいたんだけど……」

「それが気付けないんだ!」

「やっぱ存在感ないのか、俺……」


 ただチームとして戦術の話をしたかったのに、と切ない表情をする透であった。

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