表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セカンドハーフ~夢の後半戦~  作者: ふぉるせ
4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
67/99

11

 小雨の木曜日、インターハイ地区予選トーナメント第二回戦まで、残り4日。とりあえず朗報としては、昨日以降新たな発症者は出ていない。通常胃腸炎は潜伏期間があって発症するのだが、サッカー部の食堂が臨時閉鎖された以上、潜伏期間も一通りすぎ、新規感染者のスパイラルは終わったと言えるだろう。ちなみに今回の件が通常生徒の学食にも影響を及ぼしており、学校自体の食堂、売店も臨時閉鎖されている。その原因となった駒野場サッカー部の集団感染も、校内で小さくないニュースとなっていた。皮肉なことにそれが、地区予選トーナメントを戦う駒野場サッカー部の知名度が一時的に上がる要因ともなっていた。


「できれば活躍で有名になりたかったんだけどなー……」


 渦中の人の一員となったかけるも、面白くなさそうにしている。いつも明るく前向きな彼であるが、やはりサッカープレイヤーとしてのプライドはある。こんな形では有名になりたくなかったようだ。

 そんな翔に、とおるはそっとペットボトルに入った水と食料品を差しだす。


「え、どしたの涼宮すずみや?」

「いつも購買の菓子パンとか、食堂でご飯食べてたから。食堂のご飯ならともかく、菓子パンはあまり身体によくないから」


 透は翔に昼ご飯を買ってきてあげていた。タンパク質多めの、健康的なメニューだ。


「涼宮……いいのかよ、これ」

「うん。逆にてっぺん目指すなら、今からでもちゃんとした物を食べてだな……」

「お金……」

「友達に飯を奢るぐらいのお金はある。どんだけ貧乏だと思ってるんだ……」


 ……まあ、余裕があるわけではないが。しかし今は状況が状況だ。

 

「ありがとう! 俺これ、一生大事にする!」

「一生って……気持ちは嬉しいけどできればその日のうちに食べてくれ。腐るから」


 机の上で食べ物を抱きかかえる翔に、透は冷静に突っ込んでいた。


「涼宮くんと蓮見はすみくんは元気そうでよかった」


 クラスメイトの雪乃遥人ゆきのはるとが声を掛けてくる。


「でもサッカー部、大変そうだね。学校中のニュースになってるね……」


 日々話題に飢えている学生たちの間で、今やサッカー部の集団食中毒事件はいい話題のタネとなってしまっているのだ。


「なんだか、全然悪くないはずなのに、俺たちが申し訳なくなってくるな……」


 透も気まずそうな表情をしていた。


「スタメンがいないからみんな負けるだろうとか言ってるけどさ、次の試合も絶対に勝って、実力で有名サッカー選手になってやる!」


 翔は拳を突き上げて、クラス中に聞こえるほどの声量で宣言していた。

 クラスメイト達はそんな翔を見て、笑い声をあげているのだが。


「駒野場高校サッカー部の次の対戦相手って、扇大高校だよね? 扇大市にある、私立校の……」


 急に、小声で透の耳元に顔を寄せて雪乃が声を掛けてくる。


「? そうだよ」

「……」


 透が返事をすると、雪乃は何か思うことがあるかのように、あごに手を添えて考え事をしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ