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セカンドハーフ~夢の後半戦~  作者: ふぉるせ
4章

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9

 静石しずいしの指示のもと、サッカー部の食堂は利用禁止となった。

 病院での診察の結果がまとまっていない中、まだ断定はできないが、やはり状況的にも食堂で出されたメニューからの集団食中毒が原因と見てほぼ間違いないだろう。


「しっかし、最悪のタイミングだな……。試合まであと5日しかないってのに……」


 サッカー部寮の通路を歩きながら、達樹たつきが嘆いている。


「ていうか俺、めっちゃ食堂の飯食ってたけどなんで平気なんだ……?」


 両手を頭の後ろに交差させながら歩くかけるは、確かに昨日一昨日と、サッカー部の食堂で飯をたらふく食べていたのだが。

 透がぼそりと、


蓮見はすみはやっぱり――」

「馬鹿って言いたいのか!? 今、馬鹿って言おうとしたよな!?」

「い、言ってない言っていない……まだ」

「まだってなんだよー!?」


 喉の下で押し留めたはずの言葉が出てしまい、透は翔によってがしがしと身体を揺すられていた。め、目が回る……。

 

「遊んでる場合か? 度會わたらいキャプテンも三國みくに先輩も間に合わないんだぞ。残ってるメンバーも、俺たち含めて補欠だらけだ」


 5日後の試合を前にして、達樹がやれやれと肩を竦めていた。

 そんな3人が歩いていると、通路の角から見慣れたジャージ姿の眼鏡の男がやってくる。


「――お、お疲れー。あれ、もう静石先生行っちゃったって感じ?」

「「「鷲田監督!」」」

 

 そういえばいつもは必ずミーティングルームに集まる際はいたはずの監督の姿がなかった。どこかに行っていたのだろうか。


「てっきり、監督も胃腸炎かと思いました」


 達樹が言うと、鷲田は笑っていた。


「俺は大人だから、君たちと違って稼いでるんだよ? もっといいもん食ってるって」

「「「じとー……」」」

「うん、わ、悪かった。だからそのジト目はやめてくれ……」


 1年生トリオに揃ってジト目を向けられ、鷲田はぎょっとなっていた。


「何処かに行っていたのですか?」


 透が尋ねる。


「ああ。ちょっと調べ物をね。それよりも静石先生からは聞いたかい?」

「はい。食堂のご飯で、食中毒が発生してる可能性が高いと」

「全く参ったねぇ……。度會キャプテンと三國副キャプテンまでやられちゃうなんて。それ以外の大切な部員も、せっかく北平高校を突破したというのに、スタメン組がほぼ壊滅状態とは」


 鷲田はやれやれと肩を竦める。


「でも俺、諦めてませんよ! 日曜の試合、俺たちは戦います!」


 翔が意気揚々と言えば、透と達樹も揃って頷いていた。

 そんな1年生トリオをじっと見た鷲田は、うんうんと頷いていた。


「無論、俺も諦めてないよ。日曜日に向けて、戦術も組み直さないとね」


 そう言って鷲田は、今いちど1年生トリオ一人一人を見つめ、


「君たちが健康なのは不幸中の幸いだった。日曜の試合、頼りにするよ」

「「「はい!」」」


 じゃあ、俺は静石先生と話さなくちゃいけなから――。

 鷲田はそう言って、その場を後にした。


「鷲田監督もまだ諦めてねぇ。明日から練習、また頑張らないとな」

「だな! 変なもん食うなよ御子柴みこしばー?」

「お前にだけは言われたくねーよ!?」

(俺たちは……風邪ひかないんだろうな……)


 やんややんやと言い合う二人を前に、透も同じ穴のムジナであったことを思い出し、それが良い事なのか悪い事なのか、しばし悩み考え、取り留めのない思いでいたのだった。

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