表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セカンドハーフ~夢の後半戦~  作者: ふぉるせ
4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
63/100

7

 駒野場サッカー部のスタメン組半数以上が体調不良で学校を欠席し、なおも早退者が続出している。

 そんな異常事態を受け、放課後の練習はスケジュールを変更し、今いる()()()サッカー部員が全員、マスク着用の元、ミーティングルームに集められていた。

 50人ほどいるはずのサッカー部員はなんと、10数名ほどになってしまっている。いつもは先輩が座っている席を1年生が座って前に詰めているという状況だ。


「皆さん通知した通り、現在駒野場サッカー部員で病欠、および早退者が続出している状況です」


 部員と同様にマスクをし、タブレットを触る手ですらビニール手袋を着用した完全装備姿の神楽坂かぐらざかが、この場のサッカー部員全員に改めて状況を説明している。まるで保健所から来た専門家のような佇まいだ。


「皆さん、帰宅したら手洗いうがい、消毒を徹底してください! うがいはイリジンを使ってください!」

「それでどうにかなるのか、これ……」

 

 マスク越しに達樹たつきが呟く。


「ていうかもしも、このまま全員風邪ひいたらどうなるんだ……?」


 かけるがそわそわし、隣に座るとおるに聞く。


「不戦勝。相手校が戦わずして勝ち上がる」

「はぁ!? そんなのずりーよ!」

「……こんなの前例がないから、俺もわからないけど、たぶんそうなるんだと思う」


 透も最悪のケースを想定する。

 トーナメント出場中のこのタイミングで、一斉の体調不良。しかもサッカー部員だけ。体調不良の多くはスタメン組ときた。……それはまるで――。


「まさかガチで、北平の呪いなんじゃねぇの……?」


 数少ない()()()()の1年生メンバーが、そんな事を呟く。

 するとさらに、駒野場サッカー部を地獄へと突き落とす、戦慄の知らせが入る。


「たった今、度會わたらいキャプテンと、三國みくに副キャプテンも高熱を出して早退したと……」

  

 マスクで口元を隠してはいるが、痛ましそうに伏し目になって、神楽坂が言う。


「「「……!」」」


 飛車角両落ち。初戦が北平高校だった時以上の衝撃が、この場の全員に押し寄せる。精神的支柱と絶対的エース。駒野場サッカー部の要であった二人も失い、いよいよ残されたメンバーは悲壮感を漂わせていた。

 この場の誰もが2回戦突破を、不戦敗と言う形で諦めそうになっていたが、唯一……いや、()()諦めていないのが、一年生トリオであった。


「……試合は日曜です。今はこれ以上の体調不良を出さないようにすることと、戦術の見直しが必要かと思います」


 透がぼそりと、モニター前に立つ神楽坂に向けて言う。


「え……。し、しかし、この状況では……」


 神楽坂が残されたメンバーを見渡して言う。しかし、まだ諦めてはいけない、可能性は信じなければいけないのだろう。

 思わず弱気になってしまった自身を否定するように首を振り、神楽坂はこくりと頷いた。


「えっと、対策ですが、やはり手洗いうがいと……」

「――お話し中申し訳ないけど、これは呪いでも単純な感染症でもないわよ」


 急に別の女性の声が聞こえ、駒野場サッカー部員たちは顔を上げる。モニター脇の通路口から、コツコツとヒールの足音を鳴らしながら入ってくる白衣姿の人影が。

 やって来たのは、駒野場高校の養護教諭、静石しずいしであった。

 ……白衣の胸ポケットに堂々と、タバコがぶっ刺さっている……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ