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セカンドハーフ~夢の後半戦~  作者: ふぉるせ
4章

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6

 未明の駒野場市の市街地。朝露が濃く圧し掛かり、町全体が白い靄の向こうに霞んでいる。まだ日も差して間もない時間帯は、朝刊の新聞配達の原付バイクが走る音や、鳥のさえずりが時折聞こえてくる以外は、ほとんど無人であり、静かなものだ。むしろ、小さな小鳥の囀り程度ならいいのだが、カラスの鳴き声は思いのほか大きく、怖くもあった。


(……っ)


 フードを目深に被り、早朝の駒野場市をランニングしている人影が一つ。背丈はそこまで高くはなく、口元はまだあどけない学生であった。フードを目深に被っているのも、ここら辺は顔見知りがいるので、誰かとばったり出会っても気づかれないようにしているためであろう。つまりは、駒野場の学生である。


(?)


 いつも通りの、見慣れたコースを走る学生の目に、不自然なものが映り、思わず走る速度を緩める。

 閑静な住宅街に似合わぬ高級そうな車が、何かの工場らしき場所の門の前にどかんと停まっているのだ。

 いつもは門は閉まっていて、たまに門が開いているときは大型トラックが行き来しているぐらいであるのだが、このような高級車が停まっているのはどこか違和感があり、工場には不釣り合いだった。


(工場関係の偉い人がプライベートで使ってる車なのかな。でも、それだったら中の駐車場に停めるはずだよな……?)


 などと頭の中で逡巡したが、自分の走るペースまでも消費してまでそこに脳のリソースを割くほどでもない。

 学生は再び、白霧の中に向かっていくように、気に留めず早朝のランニングを続けていくのであった。

 

 ――所と時間は変わって、平日水曜日の駒野場高校の休み時間。

 今日は生憎の雨模様の天気であったが、そんな事が気にならないほどの衝撃の一報が、駒野場高校サッカー部にグループ用SNSを通じて届けられる。


「っ! 涼宮すずみや!」


 トイレ休憩から帰って来たとおるに、達樹たつきが切羽詰まった様子で駆け寄ってくる。


「俺もトイレから戻ってくるときに通知を見て確認した。先輩たちが軒並み、体調不良だって」


 透も眉間を寄せ、芳しくない表情をしていた。

 駒野場サッカー部員たちが次々、体調不良で学校を休んでいる状況なのだ。リアルタイムで今も、体調不良を訴える駒野場サッカー部員からの通知が鳴り響いている状況だ。


「ああ。しかも一人や二人だけなんて問題じゃねぇ……この間のスタメンメンバーの半分以上が体調不良だとか」

「……サッカー部以外で、体調不良とかないよね?」


 あごに手を添えて、透が確認するように言う。


「学校でそんな話は出てねぇはずだ。サッカー部員だけが、ピンポイントで次々体調不良になっていってる……」

「……お祓い、行くか……」

「……ま、まじか涼宮……」


 何か、祟り的なモノでも受けているような感覚に陥り、透と達樹は二人そろって青冷めた表情をする。


「お、俺、盛り塩とか、お守りとか用意した方がいい……?」

「じゃあ俺は、五円玉、いっぱい持っていく……」

「この期に及んでご縁を願ってどうするんだよ……」


 的外れな用意を始めようとする透に達樹がそっと突っ込んでいた。


「わ!? なんかサッカー部の先輩がめっちゃ風邪ひいてるんだけど!?」


 一方でかけるもまた、今更通知に気が付いたようで、教室の中でびっくり仰天している。

 なんだなんだ? と1-Aのクラスメイト達が絶叫する翔の様子を見る中、達樹も翔を見て一言。


「アイツはまぁ……大丈夫そうだな」

「馬鹿は風邪ひかないって言うからね」

「ちょっとそこ聞こえてますけど!?」


 翔がこちらを見て怒って突っ込んでいた。

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