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次戦の相手である扇大高校の情報を神楽坂に聞きに行ったものの、頼みの綱の彼女でさえよく分からないとのことで、結果的に収獲なしとなってしまった1年生トリオ。
「よくよく考えたら、神楽坂先輩だったら情報が分かったらすでにグループSNSに流してきそうだ。それがなかった時点で、神楽坂先輩も情報がない状況だったのだろう」
「あー確かに! 北平高校の時は相手がどんなチームか事細かに教えてくれたもんな」
透と翔がそんな事を言い合いながら、いったん寮の食堂まで戻ってくると、上級生の4人組のグループが机に座っていた。
「お、練習場で練習でもしてたのか? 精が出るな、1年たち」
そう声を掛けてきたのが、駒野場高校の正GKである2年生、原田であった。その他にも、氷室、永井、安藤と言うスタメンのDF陣がおり、みんなで揃って食堂のカレーを食べているところであったようだ。
「お、美味いっすよねここのカレー! 先輩たちもよく食うんですか!?」
ついさっきまで翔も同じのを食べていたため、それを見た翔が嬉しそうに言っている。
「ああ。俺たちの身体の半分はここの食堂でできてると言っても過言じゃないぞ」
原田が笑顔で答える。彼もまた、面倒見が良いよき先輩の一人であった。
「そういえば次の相手、決まってたな」
極度の甘党であり、甘口カレーを食べながら、氷室が言う。
「なんてったっけ?」
「扇大高校。聞いたことねぇ高校だな。私立らしいけど」
最初に米とルーを全て混ぜてから食べている安藤と、セルフの福神漬けをどさどさ掛けている永井もそんな会話をしている。
「俺たちも聞いたことねぇ私立ってことは、相当頭良いって事か?」
「俺たちがバカみたいな言い方やめろって……」
などと、先輩たちも扇大高校について知らないようだ。
「原田先輩たちも、扇大高校は知らないみたいですね」
達樹がダメもとで尋ねてみる。
「そうだな。少なくとも北平よりは全然有名じゃないと思うな。まあ初戦で北平突破出来たんだし、ワンチャンそっちより余裕かもな」
などと原田は、口をもぐもぐとしながら、にこやかに言って来た。初戦で優勝候補であった北平を突破出来たことで、自分たちは強くなったと、幾らか余裕が生まれているのだろう。事実、初戦前と比べて明らかに駒野場サッカー部の空気はよくなっており、県大会出場ももしかしたらあり得るかもしれないと言った雰囲気となっていたのだ。
「……駄目だ、まだ辛いな、これ……」
氷室が更にコーヒー用の角砂糖をカレーに入れ始めた時には、この場の全員がぞっとする面持ちで、彼を見ていたのだが。




