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セカンドハーフ~夢の後半戦~  作者: ふぉるせ
3章

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51/97

21 駒野場高校 0:0 北平高校

 後半戦セカンドハーフも中盤を迎えようとしている。スコアは微動だにせず、相変わらず0-0のまま。

 一向に得点が決まらない状況にしびれを切らした様子の、北平高校の顧問がテクニカルエリアまで姿を見せ、選手たちに細かく指示を与え始める。


「何をやってるんだお前ら、相手を舐めてるのか!?」


 ボールがタッチラインを割り、選手たちが水分補給をしている最中も、北平の顧問が激昂している。


「……」


 あごの下から水滴を垂らしつつ、それを神妙な面持ちで受け止める北平イレブン。


土佐とさ! もっと攻めろ! このまま延長戦になってもいいのか!?」

「いえ……」

「このまま0-0で万が一にPKでももつれ込んで負けでもしたら、名門北平の恥だぞ!? 万が一そこで負けでもしたら、お前らのインターハイは終わるんだぞ!?」


 矢面に立ってとがを受ける土佐は、一向に得点を奪えないでいる仲間たちを一瞥いちべつしつつ、「はい……」と形式上の返事だけしていた。

 観客たちも今の今まで動かないスコアに、焦燥感を感じているのか、より一層声を張り上げて応援するが、それがますます土佐の心に焦りを生む。

 北平高校は選手交代を行う。主にDFを下がらせ、FWを増やしてきたのだ。戦術としてはやはり、明らかに北平の方が正しい。使用する選手も1年生ではなく、経験豊富な3年生だ。

 しかし焦りは明確に、北平イレブンのプレイに影を生む。

 ファウルを与える機会が増え、カードまで飛び出す始末だ。まだ、初戦だと言うのに……。


「危ないよ、今のプレイ!」


 土佐までも、主審に笛を吹かれ、注意される。

 削ったのは間違いなく、滅茶苦茶なプレイをしてくる蓮見翔はすみかけるとか言う1年相手だ。


(クソクソクソッ! とっとと一点でもいいから決めやがれ! 無能な味方どもが! 連続無失点記録伸ばしてる俺たちがいるから、お前らだって今まで攻撃に専念出来てるんだろうが!)


 このままじゃ監督だけじゃない……! この試合を見に来て、応援している北平校の面々を失望させてしまう!

 試合開始直後は普通に見ることが出来た応援席の方を、今はもう、見ることが出来なくなってしまっていた。


(見るな見るな……! こんな情けない試合展開を、見るな……!)


 俺たちはもっと上の舞台で戦うべき存在なんだ。それが、こんなところで苦戦しているわけにはいかないんだよ……!

 土佐の内面では、そんな激しい激情が渦巻いている。


『駒野場高校、選手の交代をお知らせします』


 後半の途中、相変わらず押しまくる北平の攻撃の最中、コーナーキックのタイミングで駒野場の選手交代のアナウンスが響く。


『背番号7番坂本(さかもと)くんに代わりまして、背番号18番御子柴(みこしば)くん。背番号13番西村(にしむら)くんに代わりまして、背番号20番涼宮(すずみや)くん』


 ベンチに目を向ければ、こちらに向けて吠えている北平の顧問の嫌な姿を挟み、副審の元で軽く跳ねている達樹と、棒立ちのように立っている透の姿があった。

 また昨年の練習試合で見たことがない、1年生であった。


(どうせまた素人だろうが……!)


 後半頭から入ってきていた蓮見翔の無様な姿を思い浮かべ、それより後に入ってくる1年が戦局を変えるとはとても思えない。

 土佐はすぐにその二人から意識を逸らし、度會わたらいを睨みつける。

 相手キャプテンは、交代で入って来た二人に声を掛け、勝負はこれからだ! と言わんばかりの視線をこちらにまっすぐと向けてきていた。

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