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セカンドハーフ~夢の後半戦~  作者: ふぉるせ
1章

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3

 体育教師の鷲田純平わしだじゅんぺいの一存(?)で始まった1-Aの体育場業でのサッカーゲーム。

砂場のグラウンドに白い粉で引かれただけの簡素なフィールドが二つ。スペースも¨本物¨と比べれば半分の広さだ。

 そこに男子と女子で分かれ、20人ずつの人数が割り当てられた。つまり、10対10のゲームだ。


「チームは出席番号の奇数と偶数で分かれて、偶数チームはゼッケンを着てくれ」


 鷲田の指示により、クラスメイトたちは動き出す。グラウンドによく通る声であり、聞きやすくもあった。

 涼宮透すずみやとおるは、ゼッケン有りの偶数チームへと割り当てられた。


「ゼッケンない人いるー?」

 

 クラスの中心人物的な男子から、透は「はい」と手を指し伸ばし、ゼッケンを受け取る。

 黄色い蛍光色に、9と書かれた文字。ノースリーブのしゃかしゃかとした手触りのそれを手に取った瞬間、少しだけ身体が引き締まるような錯覚を感じた。


「……」


 軽く息を呑んだ透は、次に息を吐き、そのゼッケンに袖を通す。一体、何年振りだろう……。

 

「お前リフティングうまくね?」

「ほれ、ほれ!」


 さっそくサッカー経験者の一部は、まるで隣のコートにいる女子に見せつけるかのように、足元で地面にサッカーボールをつけないように何度も宙に浮かす、リフティングを行う等している。

 

「……」


 そんな人たちをしり目に、透が自身の姿をじっと見おろしていたところ。


「あ、俺も偶数チームだった! ゼッケンゼッケン!」


 思わず自分の視界に広がる、胸から下のゼッケン姿を見つめていた透の身体を押しのけ、元気はつらつなクラスメイトが飛び出してくる。


「わっ」

「あ、ごめんごめん!」


 その少年はとても眩しい笑顔で、しかし申し訳なさそうに謝ってくる。どうやら、今から行うサッカーの授業をとても楽しみにしているようだった。

 まだクラスメイトになってから日が浅いが、それでも知っている。彼の名前は蓮見翔はすみかける。自己紹介で、サッカーが大好きと語っており、サッカー部に入ったはずのクラスメイトだ。


「へへ。体育の授業でもサッカーが出来るなんてラッキー」


 翔はウキウキした様子でゼッケンを身に纏った。


「お、しかも10番じゃん!? いいのかよ俺10番!?」


 10番の背番号。サッカーにおいて10番それは、エースナンバーと呼ばれるものであった。それ以外にも伝統的な意味合いを持つ、言わば特別な称号――。


「たかが体育の授業だろうに……」

「はぁ!? やるからには絶対勝つぞ! いくぞ偶数チーム!」

「めっちゃ本気じゃん……」


 クラスメイトの冷ややかな声にももろともせず、翔は大きな声で拳を突き上げる。

 それはなにも、女子に格好つけたいだとか、学校の成績のためなんかじゃない。

 ただ純粋に、サッカーが大好きなんだろう。


「ははは」


 グラウンドに小さくそよぐ風と同じほど、小さな声と表情で、透も周りにつられて笑っていた。


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