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予選トーナメントを戦うメンバー20名が発表された。
1年生からは、涼宮透、蓮見翔、神子柴達樹の3名が選出された。
その瞬間、まるで時が止まったかのような感覚の後、聞こえてきたのはどよめき声。2、3年生を差し置いて、入部したばかりの1年生がメンバー入りしたことに、サッカー部員たちは驚いているようだ。
前方から聞こえてくる、上級生たちのひそひそ声。
「御子柴はまぁ、一年の中じゃ一番目立ってたか……」
「蓮見はめっちゃ走ってたしな……。それが認められたのか」
「涼宮って誰……?」「そんなやついたっけ……?」「いたようないなかったような……」
……ひどい。
色々な意味で人知れず涙を呑む隣で翔がガッツポーズを決めており、達樹も安堵の表情を浮かべているようだった。
「いきなり選ばれるとか、1-Aのお前らすげぇじゃん!」
「がんばれよ! 応援してるからな!」
などと、同じ部員となって数日しか経っていないが、結束力も高く同胞たちを応援してくれる1年生たちのエールもあれば。
「まぁ、どうせ初戦敗退だろうし、未来のためって名目で1年生何人か選んだっぽいよな」
「どうせ20人の数合わせだろ。ベンチ入り含めても16人までだしな」
ひそひそと、そんな声も前方からは聞こえていた。
「以上の20人が、地区予選トーナメントに挑むメンバーだ。拍手」
鷲田先生の声により、いったんこの場の全員が、ぱちぱちと拍手を行う。
続いてキャプテン、度會からの言葉だ。度會は立ち上がり、鷲田が立っていたスクリーン前に、入れ替わるようにして立ち、サッカー部員たちを、仲間たちの顔を一人一人見渡す。
「キャプテンの度會だ。まずはみんなを代表するキャプテンの役目、そしてメンバー入りさせてくれたくれたことに感謝する。これも全て、日々の練習に一緒に励んでくれたみんなのおかげだ。今回、惜しくもメンバー入りできなかったやつもいる。学年関係なく、悔しい思いはあるだろう。お前たち全員の分も含めて、試合ではベストを尽くす。俺の全力を出す。だから最後まで、お前たち全員全力で、俺についてきてほしい。それがピッチの上からだろうが、ベンチからだろうが、応援席からだろうとかは、関係ない。俺たちは全員で一つの駒野場イレブンだ。必ず勝ち上がって、てっぺん目指すぞ!」
キャプテンの震える声のこの演説により、どよめき声はいよいよ拍手に打ち消され、今この瞬間は全メンバーの心が一つになっていた気がする。
「……」
最後尾であったからだろうか。てっぺんを目指す。最後の最後の言葉の瞬間、度會と目と目が合った気がした透は、微かに息を呑んでいた。
見事メンバー入りを果たした1年生の三人は、神楽坂の前に集まっていた。
「こちらが駒野場イレブンの公式戦ユニフォームになります。ホームがネイビー。アウェイがグリーンです。すでに背番号は刺繍されておりますし、サイズもピッタリのはずです」
「相変わらず俺たちの個人情報はダダ洩れ、ってやつですか」
達樹は軽口を言いつつだが、ユニフォームを受け取るその表情はやはり喜びを隠しきれていない。
「おおー! これもタダなんですか!? 後でお金請求されませんか!?」
「は、はい……無料です」
翔は相変わらずだ。
「ありがとうございます。頑張ります」
透は神楽坂から手渡されたユニフォームをじっと見つめ、それを握る手に力を込める。
一週間後に迎える北平高校との公式戦。メンバー入りの次は、ベンチ入りか、はたまたスタメンか。明日からの練習は、より一層厳しくなっていくことだろう。




