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セカンドハーフ~夢の後半戦~  作者: ふぉるせ
3章

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9

 予選トーナメントを戦うメンバー20名が発表された。

 1年生からは、涼宮透すずみやとおる蓮見翔はすみかける神子柴達樹みこしばたつきの3名が選出された。

 その瞬間、まるで時が止まったかのような感覚の後、聞こえてきたのはどよめき声。2、3年生を差し置いて、入部したばかりの1年生がメンバー入りしたことに、サッカー部員たちは驚いているようだ。

 前方から聞こえてくる、上級生たちのひそひそ声。


「御子柴はまぁ、一年の中じゃ一番目立ってたか……」

「蓮見はめっちゃ走ってたしな……。それが認められたのか」

「涼宮って誰……?」「そんなやついたっけ……?」「いたようないなかったような……」


 ……ひどい。

 色々な意味で人知れず涙を呑む隣で翔がガッツポーズを決めており、達樹も安堵の表情を浮かべているようだった。

 

「いきなり選ばれるとか、1-Aのお前らすげぇじゃん!」

「がんばれよ! 応援してるからな!」


 などと、同じ部員となって数日しか経っていないが、結束力も高く同胞たちを応援してくれる1年生たちのエールもあれば。


「まぁ、どうせ初戦敗退だろうし、未来のためって名目で1年生何人か選んだっぽいよな」

「どうせ20人の数合わせだろ。ベンチ入り含めても16人までだしな」


 ひそひそと、そんな声も前方からは聞こえていた。


「以上の20人が、地区予選トーナメントに挑むメンバーだ。拍手」


 鷲田わしだ先生の声により、いったんこの場の全員が、ぱちぱちと拍手を行う。

 続いてキャプテン、度會わたらいからの言葉だ。度會は立ち上がり、鷲田が立っていたスクリーン前に、入れ替わるようにして立ち、サッカー部員たちを、仲間たちの顔を一人一人見渡す。


「キャプテンの度會だ。まずはみんなを代表するキャプテンの役目、そしてメンバー入りさせてくれたくれたことに感謝する。これも全て、日々の練習に一緒に励んでくれたみんなのおかげだ。今回、惜しくもメンバー入りできなかったやつもいる。学年関係なく、悔しい思いはあるだろう。お前たち全員の分も含めて、試合ではベストを尽くす。俺の全力を出す。だから最後まで、お前たち全員全力で、俺についてきてほしい。それがピッチの上からだろうが、ベンチからだろうが、応援席からだろうとかは、関係ない。俺たちは全員で一つの駒野場イレブンだ。必ず勝ち上がって、てっぺん目指すぞ!」


 キャプテンの震える声のこの演説により、どよめき声はいよいよ拍手に打ち消され、今この瞬間は全メンバーの心が一つになっていた気がする。


「……」


 最後尾であったからだろうか。てっぺんを目指す。最後の最後の言葉の瞬間、度會と目と目が合った気がした透は、微かに息を呑んでいた。

 見事メンバー入りを果たした1年生の三人は、神楽坂かぐらざかの前に集まっていた。


「こちらが駒野場イレブンの公式戦ユニフォームになります。ホームがネイビー。アウェイがグリーンです。すでに背番号は刺繍されておりますし、サイズもピッタリのはずです」

「相変わらず俺たちの個人情報はダダ洩れ、ってやつですか」


 達樹は軽口を言いつつだが、ユニフォームを受け取るその表情はやはり喜びを隠しきれていない。


「おおー! これもタダなんですか!? 後でお金請求されませんか!?」

「は、はい……無料です」


 翔は相変わらずだ。


「ありがとうございます。頑張ります」


 透は神楽坂から手渡されたユニフォームをじっと見つめ、それを握る手に力を込める。

 一週間後に迎える北平高校との公式戦。メンバー入りの次は、ベンチ入りか、はたまたスタメンか。明日からの練習は、より一層厳しくなっていくことだろう。

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