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地区大会トーナメント初戦の相手が決まった事を受け、駒野場高校サッカー部員たちは一同、屋内ミーティングルームに集められる。
前面には巨大スクリーン装置があり、それを見下ろすように横長のテーブルが整列している作りのこの部屋は、さながら映画館のようだった。
そしてそんな全面スクリーンを挟んで、鷲田監督と神楽坂マネージャーが立っている。
向き合う駒野場サッカー部員は、度會恭介キャプテンと三國颯太副キャプテンを先頭に、前方から2,3年生レギュラークラス、ベンチクラス、そして1年生が最後尾側と言う風に座っていた。
「北平高校か……。初戦から厳しい相手と当たりましたね」
先頭に座る度會が険しい表情で呟く。
モニターには地区予選トーナメント表が投影されており、紛れもなく駒野場と北平が又別れの下で交差している。
「みんなも知っての通り、北平は一昨年の埼玉北部地区予選優勝校、昨年は準優勝だったが、十分と言っていいほど優勝候補の一角だ」
鷲田が真剣な面持ちで言う。
それを聞いた主に後方、1年生たちが、ざわざわとどよめき声を出していた。
「初戦から優勝候補……」
「しかも一昨年は優勝してるとか……」
続けて、神楽坂が手元のタブレットを操作し、スクリーンに映る画像を北平高校の情報のものに変えつつ、解説する。
「昨年は惜しくも準優勝となりましたが、その実力は健在のはずです。むしろ、三年生キャプテンの土佐道春くんを始めとした組織的な守備力は、さらに磨きをかけています。直近の試合では連続無失点記録を継続して続けているチームでもあります」
「もちろん、攻撃力と走力、持久力も申し分ない。走攻守すべてが揃った隙の無いチームと言えるだろう」
鷲田が付け足す。
「土佐道春か……」
度會が腕を組んで呟く。
「知ってるのか、キャプテン?」
チームメイトが尋ねる。
「去年の練習試合の時、ちょっとな」
度會がどこか思わしくなさそうな、苦い表情を浮かべていた。
一方で、視線を1年側に戻すと、うつらうつらと、今にも気絶しかけている蓮見翔がいた。初日の激しいトレーニングがよほど応えたらしい。
「う、やべ……めっちゃ、眠い……。寝ちゃ、ダメなのに……っ」
さすがの彼でもここで寝るのはダメだと理性が分かっていても、身体がいう事を聞いてくれないようだ。
そんな翔の隣に座る透は、必死に彼の肩をゆすって、彼の意識を下界へととどまらせていた。
「蓮見……ちゃんと起きていないとダメだ」
透がぼそっと、耳元で囁くようにして言う。
「わかってるけど……身体が、いう事、聞かない……。むにゃあ……」
ついには奮闘むなしく気絶してしまい、透は慌てて、翔が起きているように見せるべく、必死に彼の身体を机の下から支えてやっていた。




