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セカンドハーフ~夢の後半戦~  作者: ふぉるせ
2章

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16

 夕日が差し込む、駒野場高校の帰り道。春の桜の花が舞い散る道路沿いに立つ、放課後の駒野場高校生行きつけのハンバーガーショップに、蓮見翔はすみしょう御子柴達樹みこしばたつきの自転車は停まっていた。

 夕日が差し込む窓際の二階の席に、涼宮透すずみやとおると蓮見翔と御子柴達樹は座り、試合後の打ち上げのようなものを開催していた。二人とも帰り道は逆だったが、自転車と言うこともあり、ここにしたのだ。ちなみに発端は翔である。


「俺、追加でハンバーガーとホットドッグとテリヤキバーガーとポテトで!」

「いやいや頼みすぎだろ、お前……。どんだけ食うんだよ……」

「いーじゃん腹減ったし!」


 QRコードを読み取らせて注文する最中、物凄い量であり、翔は達樹にたしなめられる。

 

「俺、こういう所でみんなとハンバーガー食べるの夢だったんだよなー!」

「低っ! お前の夢のハードル低っ!」

「てっぺん取るって夢はどこに行ったんだ……」


 向かいの席で、すでに注文通り届いたフィッシュバーガーをもぐもぐと食べながら、透は呟く。


「あ、もちろん最終的な夢はサッカーでてっぺん取るって事だけど!」

「てっぺんねぇ。プロサッカー選手にでもなるつもりか?」

「そうだな。そのためにはまずは大会優勝だよな!?」


 翔が目を輝かせて、隣に座る達樹と、向かいに座る透に向けて言う。


「大会って言っても、いろいろあるだろ……」

「ワールドカップとか?」

「そりゃもうプロ入ってるんだよ……」


 ポテトをつまみながら達樹がやれやれと言う。

 

「そう言えば鷲田わしだ先生が言ってたけど、地区大会予選トーナメントって?」

「はぁ……そこから説明しないとダメなのか……?」


 達樹が頭痛を感じる仕草をしながら、ため息をこぼす。

 しかしなんだかんだ教えてあげようとしている姿は、面倒見の良さが如実に出ている。


「インターハイって聞いたことねぇか? 春にやるのはそれの予選だ。俺たち駒野場は新設の高校だし実績もないから、そこの予選トーナメントを勝ち上がらなくちゃならねぇ」

「俺たちはたぶん、埼玉北ブロックだな」


 透がそっと付け足す。


「だな。そこで勝ち上がったチームが、今度は県代表を賭けたトーナメントに進む。そしてそこでも勝ち上がった上位校が、ようやく全国トーナメントに出場できるんだ」

「お、おおう……」


 ナゲットのソースを口の端につけながらもぐもぐと、翔は頭上を見つめ上げる仕草を見せる。


「本当にわかってるのか、お前……」

「まあつまり、全戦全勝すりゃあいいんだろ?」

「うん、そういう事」


 達樹が突っ込む前に、透がそう言い切る。

 ここ数日で翔の扱い方と彼の言いそうなことが、もうわかり始めている。

 一方で、絶句しているのは達樹の方である。


「それでいいのか……?」

「安心しろ。このエースストライカー蓮見翔様がいる限り、駒野場高校の優勝は決まったようなもんだぜ。なんたって二戦連続得点記録保持者だからな!」

「うん、凄いぞ蓮見。この調子で行こう」


 もぐもぐと透がよいしょすれば、翔は照れくさそうに顔を赤くしながらだが、えっへんと胸を張っていた。


「……こいつら、揃って、馬鹿か……」


 達樹は手に持っていたポテトをぽろっと落とし、今更つるむ相手を間違えたと自覚するとともに、時すでに遅しであることも自覚する。


「まあ実際。俺たち三人が力合わせれば、なんたって出来そうな気がするんだ。なんか……エモいな」

「急にしんみりするな気持ちわりぃ!」

「三国志でこういうのあったなそう言えば。俺たちは今日から義兄弟ってやつだな」


 いたって真剣な表情の透が紙コップに入ったドリンクを掲げる。


「おい、マジか、お前」

「お、乾杯か? やろうぜ、乾杯!」


 戦慄する達樹に、翔がノリノリで紙コップを掲げだす。


「ところで義兄弟ってなんだ?」

「同じ穴のムジナってやつだ」

「言い方ァ! せめて出来ればもっと良い言い方してくれないかな!?」


 そして三人は紙コップを掲げるのであった。これが俗に言う、桃園の誓い、ではなく、バーガーショップのムジナの誓い、である。

 ……約一名、納得していない様子の者がいた気がするが、気にしないことにする。あともう一名、いまいちよく分かってない様子の者もいた気がするが、そこも気にしないことにする。

 

 

2章 完

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