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セカンドハーフ~夢の後半戦~  作者: ふぉるせ
2章

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15

 紅白戦が終わった直後、新入生サイドのベンチは、死屍累々(ししるいるい)と言う言葉が相応しい有様だった。お互いに礼をきちんとした後、もう立っていることが不可能となった面々が、芝生の上に次々と倒れ込む。

 そこには最早格好つけも見てくれも関係ない。己の限界を越えた形容しきれぬ人間(なにか)が、集団でたむろっているのである。


「つ、疲れた……死ぬぅ……ウチ、もうマジむりぃ……」

「あしが、あしが、った……!」


 言語能力を失ってメンヘラ化した御子柴達樹みこしばたつきと、右足をピーンと伸ばす蓮見翔はすみかける

 その他、力を使い果たした新入生たちに混じり、涼宮透すずみやとおるも差し出された備品のアクエリアスをちゅーちゅー吸っていた。


(おいしい……生き返る……)


 首からタオルを下げ、風呂上がりのおっさんのように、透は至福の時を過ごしていた。


「――みんなお疲れー。いやーいい試合だったよ」


 拍手をしながら、監督の鷲田わしだが労いの言葉をかけてくる。


「寮のシャワーとか自由に使っていいからね。汗臭いまま帰るの嫌でしょう?」


 一方で、と鷲田は眼鏡を光らせ、駒野場高校サッカー部の2,3年生たちを見る。

 彼らは疲れこそあるが、全員立ったままで、()()()()()にはなってはいないが。


「きーみたーち? 情けない1失点だねぇ。油断してたんじゃないのー?」

「ぐ……」


 度會わたらいが前に立ち、痛恨の極みと言うような表情を浮かべ、気を付けの姿勢をしていた。


「再来週から始まる地区大会予選トーナメント。そこまでに修正! 各々反省点も纏めるように。明日からまた練習頑張るよー」

「「「うっす……」」」


 先輩方はそろって返事をしていた。

 さぁて、と鷲田は振り向き、今一度新入生たちを一人一人見渡していく。


「改めて入部してくれてありがとう、そしてこれからよろしく、一年生諸君。今日のゲームはもちろんだけど、大事なのはこれからだからね。君たちがこの駒野場高校のサッカー部員として、新しい歴史の一ページを刻んでいくのと同時に、人間としても強く成長してくれるのを期待するよ」

「「「……」」」


 人間としての尊厳を失いかけていた新入生一同も、今一度気を引き締める。


「そして君たちが将来――例えばプロサッカー選手にでもなってくれた時は改めて……」


 鷲田は唇を噛み締め、どこか、湿っぽい雰囲気で、かつ神妙な面持ちで、語り掛けてくる。


「俺を紹介してくれ。俺の功績だって宣伝してくれ。凄腕監督としてテレビとか雑誌の取材受けて、いっぱいギャラ貰いたい。マジで頼む」

「「「いい話だと思ったら極めて不健全だった!」」」


 この突っ込みは……今日一番、新入生チームが団結した瞬間だった気がする。

 

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