14 新入生チーム 1:3 駒野場高校
新入生に得点を許した駒野場サイド。
失点に関与した選手たちが申し訳なさそうな険しい顔を浮かべているが、キャプテンの度會は手を叩き、彼らを鼓舞していた。
「度會――」
頬に一筋の汗を流し、三國が度會の元へ駆け寄る。
「悪ぃ、三國。やられた」
「いいや。俺も後半は前半ほど動けていない」
口元をお互いに抑えながら、真剣な表情で会話をする。2年間同じ釜の飯を食った仲……は言い過ぎかもしれないが、それでも苦楽を共にした仲だ。やり取りは極めてスムーズだ。
「原因は?」
「奴だ。ゼッケン50番」
三國があごをくしゃり、目線だけを泳がせる。
度會もまた、悟られない程度にその番号の持ち主を見る。
「涼宮透、とか言ったか……」
「気づかれないようにしているつもりなんだろうけど、俺の周りを張ってる。さっきの失点もそこのパスカットからだった」
「狙われてたのか……」
「ああ。持ちすぎた西村が苦し紛れに出したパスが、致命的だった。もちろん受けきれなかった俺が悪いけど」
「修正、いけそうか?」
「原因は分かった。大丈夫だ、油断はしない。度會こそ注意してくれ」
「おう」
やがて試合は再開される。
マイボールとなった駒野場高校は、再開早々、三國がボールをドリブルし、新入生チームのエリアへと侵入していく。
(やはり来たか……)
ドリブルで斬り込む三國の前に立ちふさがるのは、MFの透だった。
一見、穏やかで落ち着いた様子の彼。最初の自己紹介の時も、はっきりと言って全く印象に残っておらず、そもそもいたっけ……?と呼べるほど存在感の希薄な人物だった。
それが今や、駒野場の最大の障害として立ちふさがり、事実先ほどの失点は彼のインターセプトからであった。
己の技術に自信がないわけじゃない。実績もある。
三國は透に対し、自身も向かっていくように、ドリブル勝負を仕掛ける。
対峙する透は一瞬だけ驚いたような表情を浮かべたようだが、すぐに感情を落ち着かせ、まずこちらの顔をじっと見つめてから、その視線をこちらの足元に移していく。
(……っ)
三國は得体の知れない気味の悪さを自覚しつつ、足元でボールを急停止させ、身体だけを動かし、つられた相手を引き剝がして加速。
突破をしようと試みる――。
「な……っ!?」
「……っ!」
しかし彼はこちらのフェイントに引っかからず、それどころか敢えて引っかかったかのように見せかけ、急に身体を戻してきた。
「っち」
奪われるわけにはいかない!
とっさにボールを引き戻し、バックステップで彼のタックルを寸でのところで回避した三國は、後方から駆け上がってきてくれた味方にパスをした。
パスは上手く繋がり、駒野場は攻め立て、バイタルエリアへと侵入。
「っ!」
透は三國から背を向け、急いで自陣へと引き返していた。
「……」
その背中をじっと見つめた三國もまた、新入生チームの陣中に入っていくのであった。
それから結局、翔と達樹を下げた新入生チームは攻められ続け、最終的には失点。
ロスタイムを過ぎ、最終スコアは1-4で駒野場高校サイドの勝利となったのであった。




