表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セカンドハーフ~夢の後半戦~  作者: ふぉるせ
2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/47

9 新入生チーム 0:2 駒野場高校

 試合展開は予想通り、駒野場高校が押す一方的な流れになりつつある。

 片や二年間の苦楽を共にし、連携も戦術も確り共有できている、言わば完成されたチーム。そして片や、サッカー未経験者を含む寄せ集めのチームであり、連携も戦術もあってないようなもの。

 どちらが有利かは、言わずもがな。だから、駒野場高校サイドの面々は、このゲームにいったい何の意味があるのだろうかと、疑問符を浮かべながらプレイしている者が大多数に違いない。


(……みんなの動きは悪いな。言語化できないが、やはり手を抜いている気がする……!)


 駒野場のキャプテンであり、CBのポジションに就く度會恭介わたらいきょうすけは、くまなく味方を見つつ、時には指示を出していた。


安藤あんどう! もう少し強くいけ! 手加減するな!」

「はい!」


 言われ、ややびくりと身体を震わせたSBの味方が動き出す。まさか急に言われると思っていなかったのだろう。それも、他高との練習試合でもない、言わば素人との、対戦で。


「――っ!」


 前線からドリブルで強行突破を行って来た相手チームのキャプテン、御子柴達樹みこしばたつき。彼の動きは周りと比べてもかなり光るものを感じ、只者ではないと思わせた。

 ――だが。


「っ!」

「なっ!?」


 度會は強靭な肉体でボディプレスを行い、あっという間に達樹からボールを奪い取って見せる。

 達樹もガタイはいい方であるが、度會のそれは上回れず、文字通り宙を舞ったかと思えば、尻から芝生の上に倒されていた。

 その瞬間、味方の視線から感じる「もう少し手加減しても……」と言ったような無言の同調圧力。そんな空気に辟易へきえきとしながら、度會は直ちに前線へとボールをパスする。


「痛かったか?」


 それでも、倒した相手――大切な後輩に手を差し出すことは忘れない。

 達樹に向けて手をさし伸ばすと、達樹はそれをつかんで、立ち上がる。

 達樹はどこか、不服そうに、


「ずいぶんと余裕そうですね」

「そう見えるか? 舐めてるわけじゃないんだけどな」

「……絶対、負けませんから」


 生意気な奴、とこそばゆい気持ちで内心で笑いかけると、前線の味方から急にバックパスが流れてきた。


「?」


 度會がとっさの判断でそれを受け止めるのと同時に、前線の味方からどこか切羽詰まったような声がする。


「来てるぞ!」

「プレスプレス!」


 なんだと!?

 驚いて達樹の背後を見ると、こちらに向かって物凄いスピードで近づいてくる影が一つ。


「おらー!」


 叫び声を出しながら、蓮見翔はすみかけるが接近していた。


「な……っ」


 度會はたまらず、サイドに展開していた味方にパスを送る。

 しかし思いのほか翔は素早く、そのパスをカットし、マイボールにしてみせた。


「しまった!」


 途端、急いで身体を反転させてバイタルエリアへと戻ろうとする度會。

 そんな彼の進行方向をまるで邪魔するかのように、くるりと裏に回り込んだのは、達樹であった。


(コイツ……!)

(油断しやがって……!)


 反転の瞬間、達樹がニヤリとほくそ笑んでいるのを、度會は見た。

 相手もなにも余裕があるわけでもなく、額から汗を流し輝かせながらだが。


「蓮見!」


 達樹の掛け声に呼応すように、翔は可能性が高い達樹へのパス――ではなく。


「貰った!」


 なんと自身でシュートを選択。

 立ちふさがる駒野場高校GKの真正面に、威力の低いキックを蹴りこむ。

 当然体育の授業のお飾りGKなわけもなく、駒野場高校のGKはそれを真正面からキャッチ。すぐにパントキックを行い、前線へボールを蹴り飛ばした。


「バカヤロー! 今のは俺にパスだろうが!?」

「はぁ!? お前DF引きずってただろう!? 俺の方がチャンスあったって!」

「お前のへなちょこシュートじゃ入らねーよ!」

「うるせー!」


 途端、やんややんやと言い合う達樹と翔の一方、助かったと内心胸を撫でおろすのは度會であった。


「少しヒヤッとしたな……」


 背後で未だがみがみ言い合う後輩たちを背に、度會は呼吸を整える。

 ……それにしても。


「監督にアピールして一年からレギュラー入りするのは俺だー!」

「おめぇは球拾いがお似合いじゃボケぇ!」


 ……一体いつまで言い合っているんだ、あの二人は……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ