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セカンドハーフ~夢の後半戦~  作者: ふぉるせ
1章

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1

四月の埼玉県立駒野場(こまのば)高校。

偏差値、中央値。スポーツ別成績、中央値。学校の横断幕には、個人名を記載したものがぽつりぽつり、県大会ベスト8位入賞等、垂れ下がっている程度の、言わばよくある普通の高等学校である。


「……」


 新品の学生服と学生カバン。新一年生である涼宮透すずみやとおるはそんな横断幕を、眩しいものでも見るような目で見つつ、そこから目を背け、校門を潜る。

 勉強は可もなく不可もなく、理科や数学がやや苦手。スポーツは、"嫌いじゃない"。そんな彼が選んだこの高校、と言うよりは、少ない選択肢の中でベストな進学先が、この高校だったのだ。


「今日熱くね?まだ四月なのにさー」


 校舎に入り、朝のHRが始まる前。同じ中学校出身の友人(残念ながらクラスは別だった)と廊下で会話をする。


「うんうん。春って感じがしないな」


 相手の言うことに素直に頷き、透はため息交じりに呟く。


「それな。春からこんな暑いと体育の授業やってらんねーし、運動部は御免だな」

「あ、部活か……」


 透は思い出し、少しだけ目を細める。

 入学式と初のクラス説明会を終え、初日の授業も終えた直後、待ち受けていたのは学校生活を送る上でも重要なベクトルを占める、学校で所属する部活動の話へ。

 スポーツ特待制度も特段行っていないこの高校では、運動部も文化部もいい意味でフラットでゆるやかな校風が特色のはずだ。つまるところ、どこへ入ってもそつなく学校生活を送れそうなのである。

 ――それは、今の透の過ごし方にピッタリであった。


「涼宮は中学の部活どこだっけ?」

「卓球部だよ」

「そういえばそうだったな。じゃあこの高校でも、卓球部に入るの?」

「わからない。ちょっと見てみないと」

「卓球好きなの?」

「いや、それほどでも」


 ともすれば、透の素っ気ない返答に拍子抜けしたのか、友達は噴き出したように笑う。


「なんだよそれ。じゃあなんで卓球部だったんだよ」

「なんとなく……」


 なんで、と言われても、なんとなくとしか返せない。他に入るべき場所もなく、やりたいこともなかった。しかし部活は入っておきなさいという親の声により、学校の成績表にも部活の事は書かれるのだろうと思い、中学時代はとりあえず卓球部に所属していた。


「じゃあ俺もなんとなく適当な部活でいいかなl あ、運動部以外で」

「疲れるしね」

「だな」


 友人はそこまで言うと、思い出したかのように、ハッとする。


「あ、やべ。一時間目体育だった」

「一時間目から体育は厳しい」

「マジでそれ」


 そして先に奥の方のクラスへと入っていく中学時代の友達。

 透もまた、自分のクラスである1-Aの教室へと入っていく。


(俺の今日の時間割は……)


 確認したところ、直前で話をしたからか、目につくのは四時間目の体育だ。

 昼食休憩直前の体育の授業である。


(まあでも、運動した後はお腹が空くし、アクエリと一緒に食べるおにぎりとかなんか美味しいんだよな)


 悪い気はしない――と思いかけたところで、何を根拠にと首を軽く横に振る。

 卓球部で公式戦に出たこともなければ、そんな感覚を味わうほど真剣に打ち込んだはずもないのに。とすれば、思い出すのは小学生の時代のあの頃まで、遡ったのだろうか。

 今思えば自分でもとても無気力であった中学時代をすっ飛ばして小学校時代のある思い出を思い出すとは、不思議なものである。


 

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