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セカンドハーフ~夢の後半戦~  作者: ふぉるせ
2章

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19/51

5

 放課後。

 正直言って、この日の授業はどの教科も頭に入らなかった気がする。それほどまでに、この時間を楽しみにしていた自分がいたのだ。

 廊下を歩くのは、この春からの新入生三人トリオ。


「しっかしまぁ驚いた。お前までサッカー部入部希望なんてな!」

「いちいちうるせぇな……。よくこんなうるさいのと一緒にいれるな、涼宮すずみや

「え。いや、まあ、全然うるさくないし、明るくていい人だよ」


 蓮見翔はすみかけるの案内の元、新たにサッカー部に入部する御子柴達樹みこしばたつき涼宮透すずみやとおる

 昨日の鷲田わしだの依頼通り、翔に案内され、二人はサッカー部の部室と練習場まで案内される。


「県立高なのにずいぶんと綺麗だな」


 達樹が言う。まずサッカー部の部室と言うよりは、もはやプロが使うようなクラブハウスの様な豪華さであり、シャワー室はもちろん、筋トレ用のジムや寮設備、ミーティングルームも広々としたものだ。


「最近できたばかりなだけはあるな」


 透もここまで充実しているとは思っておらず、心躍る思いであった。


「驚くのはまだ早いぜ」


 翔は得意げな笑みを見せ、続けて二人を練習場まで案内する。

 やって来たのは体育館、のようなドーム型の施設の前。まさか、とは思ったが、


「お、おい。まさか」

「嘘、だよな……?」


 達樹と透が目の前の施設に対し、揃って驚く。なんならば、冷や汗も感じるほどだ。


「そのまさか。完全室内練習場だ! これで雨の日も廊下で筋トレしないで済むな!」

「いや、そこじゃねえだろ……」


 えっへんと胸を張って言う翔に、達樹が突っ込む。


「こんな予算があったのか、この高校」

「しかも人工芝か。凄ぇな……」


 しきりに周囲を見渡し、ただただ感動している透と達樹。

 

「お、鷲田先生だ」


 翔が上を指さす。

 見上げると、ドーム型の室内練習場の二階、ピッチ全体を俯瞰できるように作られたデッキに、いつものジャージ姿で駒野場サッカー部の顧問は立っていた。

 翔が元気よく手を振っていると、向こうもこちらに気が付いたようで、手を振り返していた。

 やがて鷲田は、三人がいる一階部まで下りてきて、三人を迎えた。


「改めてようこそ、駒野場サッカー部へ」

「よろしくお願いします」


 入部届と交換するような形で、透は鷲田と握手を交わす。

 相変わらずジャージと眼鏡にぼさぼさの髪型であるが、やはり手の力は強く大きく、とても力強い何かを感じる。


「施設は見てもらった? 出来たばかりなだけあって、綺麗だったでしょ?」

「はい。とても整っていると思いました」

「そいつはなにより」


 鷲田は髪をかきながら微笑む。

 しかし次には、一瞬だけ緊張感を漂わせる声音で、こんなことを言ってくる。


「今年はなんでか知らないけど、入部希望者が多くてねぇ。君たちを合わせて一年生だけで20人超えそうなんだよ」

「それって多いんですか?」


 きょとんとする翔が尋ねる。


「多い多い。俺たちみたいな全然名前も知られてないような無名の高校で一つの部活に20人以上なんて、聞いたことないよ」


 確かに。優勝を狙えるような強豪校ならまだしも、中堅レベルの学校でも新入部員が20人を超えることはそうそうないはずだ。


「それゆえ競争も激しくなる。2,3年だっているわけだし。レギュラーはおろか、ベンチ入りすら難しくなる可能性が高い。それでもやる気はあるかい?」

「あります!」

「いや、蓮見おまえはもう入部してるだろう……」


 いの一番に返事をした翔に、鷲田は苦笑する。

 透も達樹も、そんな事を今更言われたところで、迷いはすでにない。


「やります」


 達樹がそう返事をすれば、


「同じく、問題ありません」


 透も力強く頷いた。

 うんうん、と鷲田はどこか満足そうに頷くと、やや芝居がかったような口調と仕草で、手をぽんと叩いた。


「じゃあ早速だけど、君たちを含めた新一年生の実力テストといこうか」

「テスト?」


 達樹が聞き返す。


「そう。名付けて、新一年生チーム対、駒野場2、3年生混成チーム。紅白戦だ」

「駒野場2,3年生混成チームって、それってつまり――」


 達樹がここで今日一番の驚きを見せる。

 鷲田は指を鳴らし、その通り、とウインクをして見せる。


「俺が育てた自慢の一軍チームと戦ってもらうってわけ」

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