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放課後。涼宮透と蓮見翔は駒野場高校サッカー部に入部届を出しに行く。翔はすでに入部済みなので、正確には透が出すのだが。
「何してるんだ、涼宮?」
夕日が差し込む廊下を歩きながら、横でスマホを触っている透の様子を覗き込む翔。
「……親に、またサッカーをやりたいって言っておかないと」
透は親に向けて、サッカー部に入部する意向を伝えていたのだ。
「礼儀正しいな」
「もともと俺が小学校の時の¨我儘¨でやめたようなものだし。それがいきなり高校でまた始めたいって、親にも失礼だし」
「へぇー。今はめちゃくちゃクールなのに、小学生の頃は結構やんちゃだったり?」
「……逆に今の俺ってクールなのか……?」
透が訝しく翔に尋ねると、当の翔もどこか歯切れ悪く、明後日の方を向いていた。
「えっと……いや、普段っていうか試合中は……いや、悪いぜんぜんクールじゃないかも」
「せめて貫こうそこは。いや、貫かせてくれ」
透はげんなりしながら言葉を返す。まあ自分でも、試合中は人格かわっているなぁとは思うので、否定はできないのだ。
親への報告メールを送った透は、逆に質問をする。
「逆に駒高のサッカー部ってどうなってるんだ? 最初まったく入る気なくて、全然調べてもなかったんだけど。こういっちゃ悪いけど」
翔は両手を頭の後ろに回し、気楽そうに答える。
「まあこの高校自体割と新しめだけど、サッカー部はさらに出来立てほやほやって感じかな。設備は新しいんだけど、大会入賞歴は驚異の無し!」
それがさも誇らしいことのように、翔は言う。
大会入賞歴がないこと自体は、透にとってもさしも驚くことではなかった。
埼玉は日本有数のサッカー人気な県の一つだ。浦和や大宮など、強豪校も多い。無論本気でプロを目指すような人物や逸材は、挙って強豪校へと進学を果たし、そこから飛翔するのだ。
「でもだからこそ俺たちで、この駒野場高校に新しい風を吹かすんだ!」
大きなガッツポーズをして、翔は言い切っていた。
やがて二人が向かった先は、職員室。
入ってすぐ、一年生体育の授業担当であり、駒野場高校サッカー部顧問である鷲田純平の元へ向かう。しかし彼の元へ向かう道中、見覚えのある背中がすでに鷲田の前に立っていることに気が付く。
「あいつ……」
翔が呟く。
透も、あっと驚いていた。
「御子柴?」
「ん?」
こちらの声に気が付き、同クラスの少年が振り向く。
その奥では、鷲田が眼鏡を持ち上げて、こちらの様子を伺っていた。




