27 駒野場高校 1:2 陽光白崎高校
ハーフタイム終了間際。駒野場ロッカールームには、神宮司を食い止めるべく作戦を話し合うが、未だ重苦しい空気が漂う中、先に涼宮透が帰って来た。
「監督」
度會が腕を組んで悩む鷲田に解決策を求める。
そんな鷲田は、戻って来た透をちらりと見た。
「御子柴は戻ってきてくれそうかい?」
透は心配するメンバー全員を見渡してから、うんと頷いた。
「戻ってきます。絶対に」
「そっか。このゲームに勝つには、彼の力が必要だ。それならよかった」
ほどなくして、達樹がトイレから戻って来て、ロッカールームに入るなり、深く頭を下げだす。
「すみませんでした。チームの輪を乱すような真似をして」
そして申し訳なさそうな表情で、まず三國を見た達樹であったが、三國はいつも通りの無表情で、特段気にもしていなかったようであり。
「全然、いいんじゃないか、あれくらい」
「え……でも俺、先輩に生意気なこと……」
むしろ、と言ってベンチから立ち上がったのは度會だった。
「俺こそ悪かった。せっかく先制点決めてくれたのに、守り切れなくてな。リードした時どうするか、前もってちゃんと意志共有できなかったのも俺のミスだ」
まぁ、と今度はどこか茶化すような笑みを見せ、鷲田を見るのだが。
「監督にはもう少し大きな声で指示が欲しかったですけどね?」
「えー!? ここで俺のせいになっちゃう!? 俺めっちゃ頑張って指示出してたよ!?」
オーバーリアクションで思わず飛びのく鷲田に、駒野場サッカー部員がどっと笑いだし、神楽坂も口元を隠して笑っていた。
「ははは……」
達樹もまた、思わず微笑んでしまう。
「でも、ここだったら今はみんなの声が聴けるし、顔もよく見える。邪魔するものはないんだ。後半の指示をお願いします、監督」
度會が全員を見渡してから、鷲田に問う。
待ってました、と言わんばかりに、鷲田は得意げに笑みを見せる。
「後半メンバーを入れかえる。まずSBに雪乃」
「はい!」
「ウイングには蓮見だ。あれ、蓮見は?」
「トイレです」
透がぼそりと告げる。どうやら、みんなには内緒で彼はトイレまで追ってきていたらしい……。アイツも案外、素直ではないらしい。
「お、おうそうか。じゃあ戻ってきたら伝えてくれ」
鷲田はこほんと咳ばらいをして、最後に透を見た。
「トップ下、シャドウに涼宮。頼んだぞ」
「……はい」
出番を命じられた透は、ふと達樹を見る。
「……」
達樹もこちらを見て、小さくだが、力強く、頷いていた。




