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セカンドハーフ~夢の後半戦~  作者: ふぉるせ
5章

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25 駒野場高校 1:1 陽光白崎高校

 度會わたらい海藤かいとうの両キャプテンが仲裁に入るほどまでヒートアップしだした、元同じ中学同士の二人の様相を、駒野場ベンチメンバーも心配そうな面持ちで見ていた。


御子柴みこしばくんになにか、神宮司じんぐうじさんが言ったのでしょうか……? 御子柴くんの周囲との連携も、全然上手くいっていないように思います……」

「同じ中学出身だ。プライドもあるんだろう……」


 遥人はるとが心配そうに呟き、とおるもぼそりと呟く。


「いつもの御子柴じゃないよな、あれ……」


 かけるですら心配そうに見守るほどだ。

 一方で、スタンドに座り、実の弟、神宮司奏多じんぐうじかなたを見守る姉の神宮司遥香じんぐうじはるかは、隣に座る駒野場高校の生徒、毬本澪まりもとみおに聞こえる声で呟く。


「つまんなそう、奏多。真剣ってわけでもないし、タスクをただ淡々にこなしてるって感じ」

「昔から、神宮司君はあんな感じでサッカーをしていたんですか?」


 サングラスをかけたまま(一応、遥香にはつけたままで失礼しますと断りを入れている)毬本が聞く。


「ううん。小学校の時までは楽しくやってたはずだけど、中学になってからはだんだんと今みたいになったって感じ。日本代表とかに呼ばれて、楽しいはずのサッカーがいつしか失敗できない仕事みたいになった、って感じじゃない?」

「なるほど……。活躍すればするほど、社会的な責任感とプレッシャーはありますもんね……」

「そーそー。まあ、大人になるってこういう事よ」

「……」


 楽しいだけがサッカーではない。有名になればなるほど、自身の行動には責任が伴う。それをまざまざと見せつけられているような気がして、毬本は胸に来るものを感じていた。

 

 ――だから、だからこそ目の前に立つ御子柴達樹を、神宮司奏多は否定した。

 かつて天才と称されて日本代表として世界大会に挑み、しかしそこで世界との壁に直面し、試合後にピッチの上で仰向けに倒れたまま動かなくなり、早くに引退したそんな人物も、サッカーを楽しめなくなったから引退を決意したと語った。無論、自分がそんな立ち位置に立ったと言うわけではないが、そんな彼の言っていたことが、高校生になった今ならよく分かる。


(俺にはわからないんだ、御子柴……。なんでそんな苦しそうになってまでサッカーをする? 勝てないとわかっていて、怪我をしたり、身体を痛めたり、時には激しいブーイングに晒されながらも、それでも()()()()()()()に生涯をささげる意味を……)


 それでもお前と戦えば、何かが変わるかもしれない。ひょっとしたら、と思ったこともあった。それが、前半の失点直後の、あのよく分からない感情だ。

 ――だがそれも、今ではもう無駄な感情だと、よく分かった。


「神宮司!」


 味方からパスを受けた神宮司は、そっと自身の足元のボールを見つめ、そして静かに前を向く。


「御子柴。――俺はお前を否定する。それがこの答えだ」


 そうして神宮司が放ったシュートは、GKの手に届かず、駒野場高校のゴールネットに突き刺さる。

 1-2。前半のうちに駒野場高校は逆転を許すのであった。それはただの追加点ではなく、達樹の、そして駒野場の心をへし折るために放たれた、答えのような一撃だった。

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