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セカンドハーフ~夢の後半戦~  作者: ふぉるせ
5章

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115/126

24 駒野場高校 1:1 陽光白崎高校

 前半のうちに同点になり、ゲームは振り出しに戻った。いや、0-0ではなく1-1の振り出しというのは、追いつかれた側に大きな影を落とすものだ。点を取り、勝っていたはずが同点に追いつかれる。それは優位性と言う心の余裕を失うには十分なほどであり、逆に負けている状況から追いついた側は、自分たちの自信へと大きく繋がるものだ。すなわち、スコアは振り出しに戻ったかもしれないが、そのチーム情勢は大きく異なっている。


「くそ……っ」


 あごから垂らす汗が足元のサッカーボールに落ちては弾ける、追いつかれた側の御子柴達樹みこしばたつきと。


「……」


 涼しい顔で配置につき、対面する達樹をじっと見る、追いついた側の神宮司奏多じんぐうじかなた

 主審のホイッスルで試合は再開し、達樹は後方にバックパスを出してから、神宮司の横をマークするように背後に立つ。

 神宮司は敢えて進まず、代わりに味方MFがボールを奪いに行くのを待っているようだった。


「ずっと謎だったんだ、御子柴」

「……」

「そんなに勝ちたいなら、駒野場じゃなくて、陽光白崎に来ればよかったんじゃないのか?」


 味方から受け取ったボールを足元に収め、達樹は神宮司に背を向けつつ、ボールをキープする。


「そんなにサッカーに熱く夢中になって、そうまで勝ちたいなら、来ればよかったんだ、お前も陽光白崎に」

「違う!」


 達樹は前を向き、強引に神宮司を突破しようと試みる。


「じゃあなんだ? 負けるためにやるのか? それとも、楽しむためにやってるなんて言わないよな?」

「それも違う!」


 達樹のドリブル突破は失敗に終わり、神宮司にボールを奪われる。

 達樹は態勢を崩し、前に転がるようにして倒れてしまった。審判によりホイッスルが吹かれ、神宮司のファールとして、駒野場のフリーキックになる。

 達樹はすぐに立ち上がり、クイックリスタートを行い、味方にパスをしようとするが、それは審判によって注意され、不発に終わった。完全に焦りが見られる中、ボールが戻される間も、神宮司は達樹に声を掛けていた。


「昔から自己中だな、お前は。中学の時から変わってない」


 達樹の叫びは、神宮司によって冷徹に、返される。


「自己中だと……!?」

「勝ちたいならなんで俺から逃げた? 俺とレギュラー争いして勝てないから、陽光白崎に来なかったんだろ? 弱小校ならレギュラー掴んで試合出られるからな」

「なんだと……今なんて言いやがった……!」

「俺に勝ちたいっていうのなら、同じ高校で勝てばよかったんだ。結局お前は中学の時に俺に勝てなくて、逃げたんだろ。それがこの様だ。弱小校でレギュラーを勝ち取って、良い気になったな、御子柴」

「んだとてめぇ!」


 ピピピッ! と、言い合う二人を見て主審が止めに入る。

 観客たちは達樹に対して、ブーイングを送っていた。傍から見ても、神宮司の才に嫉妬した哀れな弱小校のFWにしか、今の達樹は見られていなかったのだ。


「神宮司!?」

「御子柴! どうした!?」


 度會わたらい海藤かいとう、両校のキャプテンも出てきて仲裁に入り、その場はどうにかカード無しで収まっていたが。


「御子柴……」


 ベンチからその様子を見守っていたとおるが、拳をぎゅっと握りしめる。

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